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非アルコール性脂肪肝炎治療アプリの臨床研究開始
―アプリ経由で患者に適切な治療法を配信―

2016年9月30日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDO事業において、(株)キュア・アップは、東京大学医学部附属病院と連携して、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療アプリの臨床研究を開始します。

本臨床試験では、患者が治療アプリから個別に配信される適切な医学的なガイダンスを受け治療に取り組むとともに、医師がその治療効果を評価し、日々の治療の進捗、達成したプログラムなどの治療アプリが収集した情報を外来診療に役立てます。


図 脂肪肝の病態と治療戦略

1.概要

NEDOは、将来のメガベンチャーの創出と日本のエコシステムの形成を目的に、シード期の研究開発型ベンチャー支援事業※1を実施しています。本支援事業において、株式会社キュア・アップは東京大学医学部附属病院のグループと共同でNASH※2専用の治療アプリ開発を行っています。本アプリは、外来診療の時間以外も継続して患者に応じ個別化した食事、運動、行動療法などのガイダンスを行う、NASH治療を目的に開発しているものです。

今般、(株)キュア・アップは東京大学医学部附属病院と連携して、共同開発したNASH専用の治療アプリの臨床研究を開始します。

臨床試験では、患者が1日10分から15分程度、治療アプリを用いて自身のスマートフォンから個々の患者の情報を入力し、さらにアプリを経由して収集されるデータから、個別に配信される動画やテキストによる医学的なガイダンスを受け治療に取り組みます。治療の効果を担当医師が外来診療時に評価するとともに、日々の治療の進捗、達成したプログラムなどについて治療アプリが収集した情報を外来診療に役立てます。

肥満を背景に発症するNASHは国内に200万人程度(予備軍は推定1000万人程度)存在すると考えられていますが、現状確立された治療法がなく、減量のための栄養指導や医師からの運動の励行など個々の施設の取り組みに留まっています。外来受診時の限られた時間で患者に適切な行動療法を行うことは現実的に困難であり、個々の患者に最適化された診療ガイダンスを外来受診時以外もアプリが継続的に行うことで、患者と医療従事者双方の負担を著しく増やすことなく効果が得られれば、NASHに対する有望な治療法になると期待されます。また、患者の認知と行動の改善を通じた減量による治療が達成されれば、NASHにより生じる肝硬変や肝がんのみでなく、肥満がリスクとなり生じる他の疾患の予防にもつながり、日本の医療費削減への貢献も期待されます。

2.事業背景

日本の成人の肥満者数(BMI≧25kg/m2)は、男性1300万人、女性は1000万人に上ります。また、健診受診者のうち男性の約40%、女性の約20%がアルコール摂取と関連のない脂肪肝があると報告されております。食事の欧米化に伴い、脂肪肝の患者は年々増加しており、現在国内で約1000万人程度と推定されます。その中で、将来肝硬変や肝がんに進展する危険性のあるNASH患者は、200万人程度存在すると考えられ、健康寿命に著しい影響があると考えられております。国内外における疫学研究において、NASHと診断された患者は肝硬変や肝がんのみでなく、心筋梗塞などの発生により死に至るリスクが高いことが示されています。

糖尿病の治療薬がNASH患者の肝臓の状態を一時的に改善する可能性を示した報告は過去にありますが、長期的な安全性や有効性は示されておらず、現状NASHに対する確立された薬剤による治療は存在しません。現状ガイドラインで示されている最も信頼性の高い治療法は食事や運動療法による体重減少であり、元の体重の7%の減量が具体的な目標として掲げられています。しかし、一般の外来診療の限られた時間の範囲内で食事や運動療法を行っても治療効果が乏しい場合が多く、未だに疾患負担の軽減には至っていません。

【用語解説】

※1 シード期の研究開発型ベンチャー支援事業
本事業は、NEDOが認定した国内外のVC等から出資または出資意向確認書を得たSTSを公募し、その研究開発および事業化に必要な資金についてNEDOが助成金を交付するものです。助成金の交付決定にあたっては、VCが一定額を出資していることが条件となります。NEDOとVC等が協調した切れ目ない事業化支援により、将来のメガベンチャーとなるSTSを創出・育成するとともに、VC等の日本での活動を活性化し、STSとVC等がともに成功事例を連鎖していくエコシステム形成を目指します。
※2 NASH
NASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO イノベーション推進部 担当:塚越、松永、橋詰 TEL:044-520-5173

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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