IoTデバイス開発のためのオープンイノベーション拠点を構築
―中小・ベンチャーや異分野新規参入を人材・設備面から支援―
2016年9月30日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫
NEDOは、IoT社会を支える電子デバイス開発の新規参入を促すために、高度なオープンイノベーション研究開発拠点を産業技術総合研究所に構築します。中小・ベンチャー・スタートアップや非エレクトロニクス分野の企業等に対して、開発・試作を設備・人材面から支援することで、IoTの新たな技術開発やサービスの実現を加速させます。
1.概要
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT社会を進展させるためには、これまでエレクトロニクス産業の中心で活躍してきた企業だけでなく、IoTサービスに新しいアイデアを持つ中小・ベンチャー・スタートアップ企業や食品・ヘルスケア分野など非エレクトロニクス分野からの参入を促していくことが重要です。しかし、半導体関連の設備は投資額も高く、新規参入企業がIoTデバイス設計・作製のために必要な人材や設備を得ることは容易ではありません。人材や設備がIoT産業新規参入のボトルネックとなっています。
そこで、NEDOは2016年度より、「IoT技術開発加速のためのオープンイノベーション推進事業」を開始しました。この事業では、IoT社会到来により発生する膨大なデータに対応するためのメモリやセンサーなど電子デバイス開発の試作を行うために高度なオープンイノベーション研究開発拠点を構築し、IoT技術開発を加速化することを目的としています。
具体的には、NEDOは国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)にIoTデバイスの開発・試作を行う設計・製造基盤の拠点機能を整備します。この拠点では、IoT産業参入を目指す中小・ベンチャー・スタートアップや非エレクトロニクス分野の企業、IoTデバイスの基盤的な技術の開発を目指す大学・公的研究機関が、その設備を利用することが出来ます。拠点における人材と設備の支援によって、IoTの新たな技術開発やサービスの実現を加速させます。
なお、2016年10月4日(火)~7日(金)の間、幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2016」のNEDOブースにおいて、本拠点に関して展示やパネルを用いて紹介します。
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IoTオープンイノベーション拠点のイメージ
2.事業の内容
中小・ベンチャー・スタートアップや非エレクトロニクス分野企業、自社で半導体デバイスの試作・製造ラインを持たない企業や、IoTデバイスの基盤的な技術の開発を目指す大学・公的研究機関が、IoTデバイス・システムのアイデアを、サンプル試作を経て量産化に繋げる事業化プロセスを支援するための設計・製造拠点機能を整備します。
特に、省エネルギー・省スペースが必要とされるIoTデバイスのために、異なる機能を持つデバイスをウェハ3次元積層するなど、実装・システム化する技術を特徴とした拠点を、産総研の既存設備をベースに迅速に整備します。
また、本拠点を活用する6つのテーマの研究開発を開始します。
テーマ名 | 実施者(順不同) |
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IoTセンシングに向けたマルチスペクトラム赤外イメージングシステムの開発 | アイアールスペック株式会社 |
京セミ株式会社 | |
ビッグデータ解析のための低消費電力演算チップの開発 | ウルトラメモリ株式会社 |
株式会社PEZY Computing | |
IoTネットワークインターフェースデバイス製造技術の開発 | 日本電信電話株式会社 |
NTTエレクトロニクス株式会社 | |
燃焼式水素ガスセンサーチップの開発 | 株式会社ピュアロンジャパン |
プラズモニックセンサー及びIoTデバイスを用いたセンシングシステムの開発 | キッコーマン株式会社 |
高効率な極小RFIDタグの開発による省電力化の実現 | 株式会社エスケーエレクトロニクス |
この6つのテーマでは、産総研の既存共用施設と、本事業で整備する施設を最大限に活用して、低消費電力性・小型・セキュア性・超並列等の特徴を持ったIoTデバイスの研究開発を行います。
3.今後の予定
2017年度半ばまでに、IoTデバイス・システムの開発・試作を行うための設計・製造基盤拠点を整備します。整備された拠点は、上記の6つのテーマに活用するほか、多くの事業者に利用されることを目指します。IoT産業参入を目指す中小・ベンチャー・スタートアップや非エレクトロニクス分野企業、デバイス試作設備を持たない企業、IoTデバイスの基盤的な技術の開発を目指す大学・公的研究機関のためのオープンイノベーション拠点として機能することで、IoT技術開発加速に貢献します。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO IoT推進部 担当:梅田、間瀬 TEL:044-520-5211
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:藤本、髙津佐、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp