燃料電池とガスタービンを組み合わせた複合発電システムの実証開始
―燃料電池システムの実用化へ前進―
2017年4月3日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
日本特殊陶業株式会社
NEDOは、日本特殊陶業(株)を助成先として円筒形の固体酸化物形燃料電池(SOFC)とマイクロガスタービンを組み合わせた「加圧型複合発電システム」を愛知県小牧市の同社小牧工場内に設置し、運転を開始しました。
今後、日本特殊陶業(株)は本システムの運用効率や運転性、耐久性などの検証を行い、SOFCの実用化を前進させその普及に貢献します。

1.概要
水素などを燃料とし、高いエネルギー効率を持つ燃料電池は、エネルギー消費量や環境負荷の低減に大きく貢献することが期待されており、燃料電池分野の市場拡大に向けて、業務用燃料電池の適用が期待されており、経済産業省が策定した「水素・燃料電池ロードマップ」において2017年の市場導入が目標に掲げられています。このような背景のもと、NEDOは業務用の固体酸化物形燃料電池(SOFC※1)システムの実証試験を実施し、その導入効果の検証および実用化へ向けた課題抽出を行うことにより、これらシステムの開発および初期導入が加速されることを目的としたプロジェクト※2を2013年度より実施しています。
本プロジェクトにおいて、NEDOは日本特殊陶業株式会社を助成先として、同社小牧工場(愛知県小牧市)に円筒形のSOFCとマイクロガスタービン※3を組み合わせた「加圧型複合発電システム」を設置し、運転を開始しました。SOFCは高温作動で発電効率が高く、環境負荷低減への寄与が高いといわれています。今回はマイクロガスタービンとの複合発電でさらに発電効率を上げることが期待できます。
今後、本システムの運用効率や運転性、耐久性などの検証を行い、コスト低減や量産に向けたノウハウなどの課題を探るとともに、本システムで発電した電気や発生させた蒸気は、小牧工場内の生産設備や空調に使用する予定です。また円筒形のSOFCについては、日本特殊陶業(株)が2014年6月に三菱日立パワーシステムズ株式会社と円筒セルスタック※4の量産に向けた業務提携を締結しており、三菱日立パワーシステムズ(株)の持つ円筒セルスタックの開発・設計・製造技術と日本特殊陶業(株)の保有するセラミックスの量産技術を融合させることで、本格的な量産のための生産技術を共同で確立することを目指しています。
日本特殊陶業(株)は、本実証試験を通してSOFCの実用化をさらに前進させ、その普及に貢献します。
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図2 加圧型複合発電システムの構成
【用語解説】
- ※1 SOFC
- SOFCはSolid Oxide Fuel Cellの略称で、電解質としてイオン伝導性セラミックスを用いており、作動温度は700~900℃。燃料には水素の他に天然ガスなどが利用可能。
- ※2 プロジェクト
- 「固体酸化物形燃料電池等実用化推進技術開発/固体酸化物形燃料電池を用いた業務用システムの実用化技術実証/円筒形SOFC-マイクロガスタービンハイブリッドシステムの市場投入に向けた技術実証」(2013年度~2017年度)
- ※3 マイクロガスタービン
- ガスタービンの中で、小型のものをマイクロガスタービンといい、発電量が小さい一方、コストと設置面積を抑えられる特徴を持つ。
- ※4 セルスタック
- 燃料電池の最小単位。
2.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:横本 TEL:044-520-5261
日本特殊陶業株式会社 経営戦略本部 広報部 担当:松野 TEL:052-872-5896
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp