NEDOプロジェクトにおいて、産業技術総合研究所と大日本印刷(株)は、橋梁のひずみ分布を高感度に計測できるフレキシブル面パターンセンサーを開発しました。 本センサーは、安価、低消費電力、高耐久性に加え、橋梁構造体表面に貼り付ける簡易施工で、劣化状態のモニタリングを実現するものです。 2017年4月から高速道路橋に本センサーを貼り付け、ひずみ分布測定と屋外耐久性評価を行うとともに、補修・補強した橋梁の経過観察の実証試験を行います。
橋梁などの社会インフラは老朽化が進み、今後、建設から50年を経過するものが加速度的に増加※1していきますが、対応するための十分な資金や高度な維持管理の専門知識を有する人材の不足が大きな社会問題となっています。近年、橋梁の劣化状態を把握するためにセンサーでひずみ分布をモニタリングする方法が検討されていますが、現行の技術では、値段が高い、消費電力が高い、屋外耐久性が低い、施工方法が煩雑等のさまざまな課題が挙げられています。
そこで、NEDOは、橋梁など既存インフラの状態に応じた効果的かつ効率的な維持管理・更新等を図るために、安価、低消費電力かつ高耐久性を備えたセンサーシステム等の研究開発プロジェクト※2を進めています。
今般、このNEDOプロジェクトにおいて、産業技術総合研究所と大日本印刷株式会社は、MEMS※3技術により極薄化したシリコンセンサーや回路チップをフレキシブル基板上に集積化する技術を新たに考案し、圧電MEMS※4技術で作製した極薄ひずみセンサー(長さ5mm、1mm、厚さ3μm)をフレキシブル基板上に配置して、保護シート、接着シートと一体化したフレキシブル面パターンセンサー※5を開発しました。本センサーは、橋梁を自動車が通過した際の動ひずみ分布を高感度での計測が可能であるとともに、現場での簡便な貼り付けができることから、実際の高速道路橋に開発したセンサーを複数枚貼り付け、車両通過に伴う橋梁の動ひずみ分布をモニタリングすることに成功しています。
センサーを活用した橋梁の劣化状態モニタリング技術を開発することで、近年の老朽化橋梁数の増大に対して、効率的・効果的な保守点検の実現に貢献します。こうしたインフラ維持管理・更新・マネジメント技術は、2030年に約7,000億円超の市場創出が期待される分野です。
2017年4月より、高速道路橋にフレキシブル面パターンセンサーを貼り付け、実際の橋のひずみ分布測定と屋外耐久性評価を行うとともに、補修・補強した橋梁の経過観察の実証試験を行います。また、大判基材の加工によるセンサーモジュールの低コスト化についても検討を進めます。
NEDO ロボット・AI部 担当:安川、森口、内山 TEL:044-520-5241
NEDO 広報部 担当:藤本、髙津佐、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp