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700℃級蒸気に耐えられるニッケル基合金の信頼性向上を目指す技術開発に着手

―2020年代に先進超々臨界圧火力発電の市場投入目指す―
2017年6月1日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOは、次世代石炭火力発電の一つである先進超々臨界圧火力発電(A-USC)に適用可能な700℃級の高温蒸気に耐えられるニッケル(Ni)基合金の信頼性向上を目指した技術開発に着手します。

本技術開発では、A-USCの発電設備への適用に向け、700℃級の高温蒸気下でNi基合金の疲労試験など、信頼性向上のための試験を実施し、その成果を活用して2020年代にA-USCの市場投入を目指します。

1.概要

NEDOは、石炭火力発電の効率の大幅向上により、CO2排出の削減に寄与する革新的な石炭火力発電技術の確立を目指して「次世代火力発電等技術開発※1」を実施しています。

本事業の一環としてNEDOは、高効率石炭火力発電技術のうちの一つである先進超々臨界圧火力発電(A-USC)※2の早期実用化に向けて、A-USCに適用可能な700℃級の高温蒸気に耐えられるニッケル(Ni)基合金の信頼性向上を目指した技術開発に着手します。

火力発電設備の高効率化のためには蒸気タービンへ投入する蒸気温度を高温化させる必要があり、本技術開発では、従来型石炭火力発電の中で最高効率であり、主蒸気温度は630℃程度が限界といわれていた超々臨界圧火力発電(USC)※3のさらなる高効率化を目的とした、主蒸気温度が700℃以上のA-USCに適用可能とするNi基材料の信頼性向上技術開発を実施します。A-USCへの適用に向けて、Ni基材料の適用はボイラ熱交換部、配管および蒸気タービンなどを想定しており、長期高温環境下での使用を想定したNi基材料の長時間のクリープ疲労試験※4の実施など、さらなる信頼性の向上のための試験が必要であり、例として、大径管クリープ試験装置を用いた実機サイズの配管に対する応力解析や蒸気タービンの高温箇所へNi基材料を適用するため異材溶接部の健全性評価などを実施します。(図参照)

2020年以降に増大する経年石炭火力の建て直しや熱効率向上需要に対応し、送電端効率※546%(高位発熱量基準※6)を達成可能な商用プラントへ適用する高温材料信頼性向上技術開発および保守技術開発を完了させることを目指します。

また今後、本技術開発の成果を活用して、2020年代にA-USCの市場投入を目指します。

【事業概要】

  • (1) 事業名:次世代火力発電等技術開発/次世代技術の早期実用化に向けた信頼性向上技術開発
  • (2) 事業期間:2017~2020年度(4年間)
  • (3) 事業総額:6.4億円規模
  • (4) 助成予定先:
    株式会社東芝、株式会社IHI、新日鐵住金株式会社、一般財団法人電力中央研究所、
    一般財団法人発電設備技術検査協会、富士電機株式会社、三菱日立パワーシステムズ株式会社
  • 高温材料信頼性向上技術開発の概要図
    図 高温材料信頼性向上技術開発の概要

【用語解説】

※1 次世代火力発電等技術開発
高効率次世代火力発電技術開発を目的としたNEDOプロジェクトであり、酸素吹石炭ガス化複合発電や1700℃級ガスタービンの技術開発などが含まれている。
※2 先進超々臨界圧火力発電(A-USC)
A-USCは、Advanced Ultra Super Criticalの略で、従来の微粉炭火力による発電方式の延長線上の技術であり、700℃級の主蒸気温度を適用した発電システム。
※3 超々臨界圧火力発電(USC)
USCは、Ultra Super Criticalの略で、主蒸気温度600℃級を適用した発電システム。
※4 クリープ疲労試験
物体が一定応力のもとで時間の経過とともに変形を増す現象をクリープといい、金属試験片に一定荷重を長時間加えて、生ずる変形と経過時間との関係を測り、クリープ限度などを調べる試験方法。
※5 送電端効率
発電効率には、発電端効率と送電端効率があり、発電端効率は発電機端子で計測した電力量を用い、送電端効率は発電機端子で計測した電力量から所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いた電力量を用いる。
※6 高位発熱量基準
燃料が燃焼した時に発生するエネルギー(発熱量)を表示する際の条件を示すもので、燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱も発熱量として含めたもの。高位発熱量は、総発熱量とも呼ばれる。高位発熱量から燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を除いた低位発熱量(真発熱量)に比べ、見かけ上の熱効率が低く表示される。高位発熱量基準は、政府のエネルギー統計、電力会社の発電効率基準、都市ガスの取引基準等に用いられている。

2.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:足立、中元、在間 TEL:044-520-5293­

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp