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インフラ点検・災害対応ロボットの普及拡大を目指した人材育成事業に着手
―ロボット性能評価の講座開設や人的交流を実施へ―

2018年7月26日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOは、インフラ点検や災害対応分野におけるロボット活用加速や普及拡大を目指した人材育成事業に着手します。

本事業では、NEDOと経済産業省が公表した同分野におけるロボット性能評価手順書とその性能評価試験を行う場となる福島ロボットテストフィールド(RTF)の社会的認知の向上や社会受容性の醸成を目指し、「人材育成講座」、「人的交流」、「周辺研究」を一体的に実施します。

本取り組みを通じて、同分野のロボット活用加速や普及拡大を担う人材を育成することで、関連するロボット市場の創出を目指します。

事業の全体イメージ図
図 事業の全体イメージ

1.概要

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2016年度から2017年度にかけて、インフラ点検や災害対応分野などにおいて活用が期待される各種ロボット(無人航空機、水中点検ロボット、陸上移動ロボット)について、実現場への導入にあたり必要となる性能の評価軸、評価軸に沿った性能レベル、それを測定するための標準的な試験方法などに関する研究開発を実施し、各種ロボットの性能を実現場へ導入する前に把握するための性能評価手法の原案を取りまとめ、2018年5月に経済産業省とともに「ロボット性能評価手順書※1」として公表しました。また、経済産業省と福島県が整備を進めている福島ロボットテストフィールド(RTF)では、本手順書に基づいた各種ロボットの性能を測定するための試験設備および測定機器を備える予定であり、今年度より順次開所されます。

このような背景を踏まえ、NEDOは、NEDO特別講座※2の一環で、ロボット性能評価手順書とRTFの活用によるインフラ点検や災害対応分野におけるロボット活用加速や普及拡大を目指した人材育成事業に着手します。

本事業では、ロボット性能評価手順書とその性能評価試験を行う場となるRTFが、多くの国内外のロボットメーカーやユーザーに利用されるために、社会的認知の向上や社会受容性の醸成を目指した「人材育成講座」、「人的交流」、「周辺研究」を一体的に実施します。なお本事業は、2017年11月に締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証に関する協力協定※3」に基づき、NEDOと福島県と密接に連携して実施するものです。

本取り組みを通じて、インフラ点検や災害対応分野などで活用が期待される各種ロボット(無人航空機、水中点検ロボット、陸上移動ロボット)の性能評価手順書やRTFが継続的に利用され、当該分野のロボット活用加速や普及拡大を担う人材が育つという「好循環」を形成することを目指します。これにより、2030年に7000億円規模と期待されている社会インフラの維持管理・更新のためのロボット関連市場の創出にも貢献します。

2.事業の内容

本事業は、一般財団法人製造科学技術センターを委託先として、2018年度~2020年度の3年間、以下の(1)~(3)を一体的に実施します。

(1)人材育成の講座の実施

ロボットメーカーや将来のユーザーとなり得る方、また橋梁やダムなどを管理する地方公共団体などを対象とした、ロボット性能評価手法およびRTFでの試験方法などに関する講座を実施します。本講座の開催場所は福島県のほか、全国主要都市から選定する予定です。

また、上記講座の受講を通じて、ロボット性能評価手法およびRTFでの試験方法などを理解した受講者に対して、RTFに設置される試験設備や測定機器の標準的な試験方法の運用に関する知見を体得する実践的実習を実施します。本実習は、福島県と連携しつつ、受講者自らが関連するロボットなどを持ち込み、RTFの有用性検証を行うとともに、RTFの実活用またはビジネスインを想定した企画構想やその実践を求める取り組みも実施予定です。

(2)人的交流等の展開

ロボットメーカーや将来のユーザーとなり得る方を含めた一般聴講者を対象に、ロボット性能評価手順書に関するシンポジウムを毎年度開催する予定です。本シンポジウムでは、ロボット性能評価手順書の社会的認知の向上や社会受容性の醸成を目指します。また併せて、上記(1)の取り組みと連動して、実施した講座の成果など関連した情報発信を行います。本シンポジウムの開催場所は福島県のほか、全国主要都市を選定し、開催する予定です。

また福島県と連携して、福島県の地場事業者との交流会やコンタクトの機会を設けるためのマッチングイベントも開催します。なお、マッチングイベントの開催にあたっては、上記(1)の受講者とも連携しながら、協働作業やマッチング活動を促すことを目指します。

(3)周辺研究の実施

ロボット性能評価手法の見直しおよび改訂、RTFの試験設備や測定機器の適時改修などの課題の取りまとめの検討を実施します。ロボット性能評価手法の見直しおよび改訂にあたっては、有識者で構成する委員会の実施や、上記(1)の受講者が実践して得られた知見やノウハウ、海外の標準化活動の動向、ロボットメーカーや対象ロボットを活用する地方公共団体などのヒアリング調査なども併せて実施する予定です。

【注釈】

※1 ロボット性能評価手順書
具体的にまとめた性能評価手順書は以下の3つで、詳細な内容については、下記ニュースリリースを参照。
  • 【1】橋梁点検のための無人航空機に関する性能評価手順書
  • 【2】ダム・河川点検のための水中点検ロボットに関する性能評価手順書
  • 【3】トンネル災害・プラント災害のための陸上移動ロボットに関する性能評価手順書
※2 NEDO特別講座
日本の産業技術の発展のために、先端分野や融合分野の技術を支える人材の育成と人的交流の面から産学連携を促進するための「場」の形成を目的として、NEDOが企画する講座。2006年度から開始し、これまでに光触媒技術や知的財産経営など17件を開講。本件が18件目。
※3 福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証に関する協力協定
NEDOと福島県の連携を強化し、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、福島ロボットテストフィールドを積極的に活用することでロボット・ドローンの実用化を加速させ、福島イノベーション・コースト構想の推進とロボット・ドローン産業の活性化を図るべく、2017年11月22日に締結した協定。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:宮本、永松、山中 TEL:044-520-5241

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp