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Press Release

スロベニアでクラウド型エネルギー管理システムの実証事業を開始へ

―電力系統の事故時の自立運転など、エネルギーサービス事業の実現を目指す―
2018年9月25日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社日立製作所

NEDOと(株)日立製作所は、スロベニアの国営送電事業者であるELES, d.o.oと共同で推進しているスマートコミュニティ実証事業を拡充し、新たに「クラウド型エネルギー管理システム(AEMS)」の実証を2018年10月より開始します。

これに先立ち、NEDOとスロベニアの経済開発・技術省、インフラ省およびELES, d.o.oは、拡充テーマの共同実施に合意し、9月24日にそれぞれ協力覚書(MOC)、議事録(MOM)ならびに基本協定書(MOU)の改訂書を締結しました。同時にNEDOの委託先である(株)日立製作所とELES, d.o.oは、協定付属書(ID)の改訂書を締結しました。

拡充したテーマでは、大口需要家および電力小売事業者向けのエネルギーサービス事業の確立を目指して、工場、ビル、家庭などの需要家側に設置した蓄電池などと連携し、系統事故時の自立運転による停電回避や、瞬時電圧低下対策による工場の電力品質の確保、および送電事業者への調整力を提供する「クラウド型エネルギー管理システム(AEMS)」を構築して実証を行います。

  • 実証事業のイメージを表した図
    図1 実証事業のイメージ

<図1の説明>

今回の実証では、データセンターに構築したクラウド型エネルギー管理システム(AEMS)と、エリア内の需要家側に設置した蓄電池や工場、ビル、家庭などに導入されているエネルギー管理システム(xEMS)、配電会社に設置した制御システム(DMS)、を連携させることで、(1)アイランディング(系統事故時の自立運転)、(2)瞬時電圧低下(瞬低)対策および(3)アンシラリーサービス(送電事業者への調整力提供)などを複数の顧客に対して提供します。

AEMS(Advanced Energy Management System):大口需要家、電力小売事業者向けのエネルギー管理システム。

xEMS(x Energy Management System):FEMS(Factory EMS)、BEMS(Building EMS)、HEMS(Home EMS)などの工場、ビル、家庭向けエネルギー管理システムの総称。

DMS(Distribution Management System):配電系統の制御システム。2016年11月から本事業で実証中。

1.概要

スロベニアは、中央ヨーロッパに位置し、1991年にユーゴスラビアから分離・独立した国です。製造業が盛んで、2004年のEU加盟後は域内有数の高い成長率と豊かな生活水準を誇り、電力需要が増加しています。このような中で、エネルギー政策では、2020年までに最終エネルギー消費量の25%を再生可能エネルギーとし、エネルギー効率を20%改善する目標を掲げており、2016年11月4日に発効した地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を批准しています。一方、配電会社の設備は老朽化が進みつつあり、設備更新に向けた投資費用の増加が予想されています。

これらの状況を踏まえると、今後、スロベニアにおいては再生可能エネルギーおよび電力需要の増加に伴って想定される電圧変動、停電、過負荷、調整力・予備力確保などの問題を解決する、より高度で経済的な配電系統の管理技術が必要になると考えられます。

また、需要家や電力小売事業者は、より高度で経済的なエネルギー管理技術を必要としています。特に、2014年には大寒波を起因とする大規模停電が発生するなど、大停電に備えて病院などの重要設備を保護するといった対応策の重要性が増しています。また、降雪や落雷などにより瞬間的に電圧が低下する瞬時電圧低下(瞬低)の被害は、工場など高品質な電力を必要とする大口需要家に大きな影響を与えるため、対策が必要とされています。さらに今後は、蓄電池などを保有する需要家が増えていくことが予想され、需要家にも系統安定化に貢献することを送電事業者から期待されています。

このような背景の下、2016年11月25日に国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とスロベニアの経済開発・技術省、インフラ省は、スマートコミュニティ実証事業の実施を合意しました。また、NEDOと委託先の(株)日立製作所は、スロベニア国営送電事業者ELES, d.o.oと共同で事業を実施することで合意し、2019年12月までの予定で、配電会社向けに配電系統の制御システム(DMS)を構築し、実証事業を進めてきました。

今般、NEDOとスロベニアの経済開発・技術省、インフラ省およびELES, d.o.oは、大口需要家および電力小売事業者向けに実証事業のテーマを拡充し、新たにクラウド型エネルギー管理システム(AEMS)の実証事業を開始することで合意し、9月24日にそれぞれ協力覚書(MOC)、議事録(MOM)ならびに基本協定書(MOU)の改訂書を締結しました。また、同時に(株)日立製作所とELES, d.o.oは、この新たな実証テーマを共同で実施することで合意し、協定付属書(ID)の改訂書を締結しました。

今回新たに開始する実証においては、アイランディング(系統事故時の自立運転)、瞬時電圧低下(瞬低)対策、アンシラリーサービス(送電事業者への調整力の提供)などの機能を有したクラウド型エネルギー管理システム(AEMS)を構築し、大口需要家および電力小売事業者向けのエネルギーサービス事業の確立を目指します。

また、今後、(株)日立製作所とELES, d.o.oは、本実証の分析・評価結果をもとに、先行して実施しているクラウド型DMSとともに、クラウド型AEMSをサービス形態で提供する欧州を中心としたビジネスモデルの展開について検討していきます。

2.実証事業の内容

1)実施期間:
2018年10月~2021年3月(予定)
(なお、先行実施分のクラウド型統合DMS実証は、2016年11月~2019年12月(予定))
2)クラウド型エネルギー管理システム(AEMS) 実証テーマの概要:
(1)アイランディング
停電時にDMSと連携し、病院などの重要施設を含むエリアを系統から切り離し、蓄電池から電力を供給することにより、長時間停電を回避します。

(2)瞬時電圧低下対策
高品質な電力供給を必要とする工場などで、降雪や落雷などの自然災害を起因として発生する瞬時電圧低下(瞬低)に対して、エリア内に設置した蓄電池を活用し、需要家の重要負荷設備を瞬低から保護します。

(3)アンシラリーサービス
蓄電池およびエリア内の需要家に設置されたxEMSと連携し、系統安定化に寄与する周波数制御のための調整力を送電事業者に提供します。
3)実施者・体制:
NEDOのMOC締結先:スロベニア経済開発・技術省
NEDOのMOM締結先:スロベニアインフラ省
NEDOのMOU締結先:スロベニア国営送電事業者ELES,d.o.o.
(株)日立製作所のID締結先:スロベニア国営送電事業者ELES,d.o.o.

  • 実証実施体制図を表した図
    図2 実証実施体制図
  • スロベニア周辺国の地図を表した図
    図3 スロベニア周辺国の地図

3.締結式

9月24日(現地時間)にスロベニア首都リュブリャナ市で行われた締結式において、本実証事業の推進に伴い協力体制を確立するために、福田在スロベニア日本国大使、ポチバルチェク経済開発・技術大臣、ブラトゥシェク副首相兼インフラ大臣(元首相)立会いのもと、NEDO石塚理事長とカンタルッティ経済開発・技術副大臣、クーマー・インフラ副大臣およびメルバールELES,d.o.o.社長が協力覚書(MOC)、議事録(MOM)ならびに基本協定書(MOU)の改訂書を締結し、(株)日立製作所 野本技監とメルバールELES,d.o.o.社長が協定付属書(ID)の改訂書を締結しました。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO スマートコミュニティ部 担当:横田、佐野、出脇 TEL:044-520-5274
(株)日立製作所 社会システム事業部 電力情報制御本部 担当:深澤 TEL:080-2016-5034(直通)

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、坂本、髙津佐 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp