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洋上風力発電の低コスト化に向けた新たな技術開発に着手
―建設コスト20%低減を目指し、導入拡大に貢献―

2018年9月10日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOは、洋上風力発電施設の建設コスト低減を目指す「洋上風力発電低コスト施工技術開発」に着手します。

本事業では、日本に適した低コストの基礎構造および施工技術に関する実証に先立ち、適用する海域の特性を把握し、コスト低減の目標を設定するためのフィージビリティ・スタディ(FS)を実施します。

本事業を通じて、2022年度までに洋上風力発電施設の建設コストの20%低減が可能な技術を確立することで、洋上風力発電の導入拡大に貢献します。

1.概要

再生可能エネルギーの利用拡大を目指し、洋上風力発電の普及が期待されています。しかし、日本近海の海底地盤に岩盤が多いことや施工インフラが整っていないことなどの要因により、普及が先行する欧州に比べて、洋上風力発電の建設コストは約1.5倍かかるといわれています。

今般、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、洋上風力発電の建設コスト低減を目指す「洋上風力発電低コスト施工技術開発」に着手します。

本事業では、洋上風力発電施設の低コスト化に向けた基礎構造および施工技術に関する技術の実証に先立ち、実際にこれらの技術の適用が想定される海域の特性などを踏まえた詳細な適用範囲やコスト低減の目標を設定するため、以下の2件のフィージビリティ・スタディ(FS)を実施します。

今後、FSで当初の低コスト目標が実現可能と判断されたものは、実証研究に移行して低コスト技術を確立し、2022年度までに洋上風力発電施設の建設コストの20%低減を目指し、洋上風力発電の導入拡大に貢献します。

(1)JIP方式※1による基礎構造の低コスト化技術の調査

サクションバケット基礎※2(図1参照)を対象として、風力発電事業者による協議会を設置し、技術の検証を行うことでユーザー側からの低コスト化に向けた技術課題を抽出し、検討することで低コスト化を目指します。

(2)ジャッキアップ型作業構台※3を活用した基礎構造物の施工

石油掘削リグを改造したジャッキアップ型作業構台(図2参照)を活用することで、着床式洋上風力発電施設の施工および運用保守の効率化を図ることで低コスト化を目指します。

  • サクションバケット基礎のイメージ図
    図1 サクションバケット基礎
  • ジャッキアップ型作業構台のイメージ図
    図2 ジャッキアップ型作業構台

2.採択テーマと助成予定先

【事業名】
洋上風力発電低コスト施工技術開発
【事業期間】
2018~2019年度
採択テーマ名 助成予定先
JIP方式による基礎構造の低コスト化技術の調査 株式会社風力エネルギー研究所
日立造船株式会社
ジャッキアップ型作業構台を活用した基礎構造物の施工 株式会社吉田組
むつ小川原港洋上風力開発株式会社
若築建設株式会社

【注釈】

※1 JIP方式
Joint Industry Program方式の略。発電事業者を主体とし、民間事業者からも開発資金を拠出する形の市場プル型の開発事業のこと。
※2 サクションバケット基礎
茶筒状構造物の開口部を下に向けた構造形式。海底地盤上に設置し、ポンプにより基礎(茶筒)内部の水を強制排水することで基礎内外に発生する水圧差(サクション力)を利用して、海底地盤中に根入れを行う基礎構造物のこと。
※3 ジャッキアップ型作業構台
昇降可能な長い脚によって支えられ、海面より上で作業可能なステージのこと。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:岡田、佐藤 TEL:044-520-5273

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp