背景と目的について

 日本の風力発電においては、開発に伴い陸域での適地が減少しており、広大な適地が確保できる洋上への展開が望まれています。着床式は実用化が進みつつありますが、近海の水深が急激に大きくなる日本では浮体式の実用化が必要不可欠です。

 本プロジェクトは、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託により、比較的浅水域となる水深50~100mを対象に、日本近海の気象・海象条件に適した低コストの次世代浮体式洋上風力発電システム及び施工方法の開発・検証を行うことを目的としています。 国内外において提案されている各種浮体形式・風車規模の浮体式洋上風力発電システムについて安全性・性能・コストなどを整理し、実海域における実証試験をはじめとした調査により得られたデータを基に、日本近海の多様な気象・海象条件に適した低コスト化の設計手法を明らかにします。

 

研究体制

 本プロジェクトは実証研究(バージ型)チーム、実証研究(要素技術実証)チーム、基盤調査チームの3チーム体制で実証研究を進めています。

 実証研究(バージ型)チームでは、浮体式洋上風力発電としては比較的浅水域となる水深50~100mを対象に、浮体式洋上風力発電システムの低コスト化を実現するため、実海域における浮体式洋上風力発電システムの実証研究を行っています。

 実証研究(要素技術実証)チームでは、浮体式洋上風力発電の低コスト化に向け、2030年に発電コスト20円/kWh以下を目指す技術の実証研究を行っています。

 基盤調査チームでは、海外における浮体式洋上風力発電に関する最新情報の収集を行うと共に、技術委員会を設置し、実証研究の課題等の検討を行います。また、実証研究チームの成果と合わせ、ホームページ等を通して成果の発信を行います。

 

研究体制の図

実証研究(バージ型)

 十分な事前調査を実施した上で2枚翼風車とバージ型鋼製浮体を組み合わせた実証機を響灘沖約15kmの位置に設置し、次の課題に取り組んでいます。

  • 2枚翼風車、バージ型鋼製浮体を組み合わせた洋上風力発電システムによる低コスト化
  • 水深50-100m程度の比較的浅い海域に適した係留システムの確立
  • 浮体式洋上風力発電設備における最適な保守管理技術の確立
実証運転中の「ひびき」、「ひびき」の設置位置

実証研究(要素技術実証)

 浮体式洋上風力発電の低コスト化に向け、2030年に発電コスト20円/kWh以下を目指す技術の実証研究に着手しています。

  • ガイワイヤ支持や、タレットを用いた一点係留による、浮体・タワー・係留システムの軽量化など、発電コスト低減につながる先進的な要素技術を用いた浮体式洋上風力発電システムの実現可能性や事業性を評価するフィージビリティ・スタディ(FS)を実施
  • 実現可能性や事業性が認められた場合、実際に浮体式洋上風力発電システムを製作し、実海域での1年以上の運転試験を行い、性能やコストを検証する予定
コスト削減に向けた要素技術の一例

本プロジェクトの研究チーム

実証研究(バージ型)チーム
丸紅株式会社
日立造船株式会社
株式会社グローカル
東京大学
コスモエコパワー株式会社
九電みらいエナジー株式会社
実証研究(要素技術実証)チーム
豊田通商株式会社
株式会社グローカル
海上・港湾・航空技術研究所
佐賀大学
東京大学
株式会社寺岡
基盤調査チーム(2019年度~)
一般財団法人日本気象協会
共通基盤チーム(~2018年度)
国際航業株式会社
東京大学
株式会社風力エネルギー研究所

バージ型「ひびき」

ライブデータ(気象データ・海象データ)

東京大学 鈴木研究室へリンク 東京大学 鈴木研究室へリンク

バージ型関連投稿論文等一覧

OPTIFLOW通信

(要素技術実証の紹介サイト)

NEDOの洋上風力発電プロジェクト

国内初!沖合における洋上風力発電への挑戦 銚子沖・北九州沖 着床式洋上風力発電 洋上風況マップを表示 NeoWins(洋上風況マップ)