国内初の沖合における洋上風力発電の挑戦―プロジェクト現場レポート―

福岡県北九州市沖 現場レポート

(2012年8月)

2012年8月30日
海岸の地形に合わせたケーブル敷設

写真1枚目

洋上風車から陸上に送電する際、海岸の地形に合わせてケーブルの敷設方法を考える必要があります。

北九州市の海岸は消波ブロックやコンクリートによる岸壁が作られており、海中から陸上までケーブルを引く際に工夫が必要です。

北九州市沖の場合は、陸上と海上の両方に鉄柱を建て、岸壁の上空にケーブル(架空線)を敷設しました。 ケーブルには、6.6kVの電線や光ケーブルなどが詰まっており、陸上鉄柱から海上鉄柱を経由し、洋上風況観測タワーまで、既に敷設が完了しています。

洋上風車の建設が完了する来年3月頃には、洋上風車への海底ケーブルも敷設していきます。

写真2枚目
海上鉄柱:起重機船を利用して鉄柱の据付を行った後、小船で作業員が鉄柱に移り、電線を張る作業などを行って完成です。

2012年8月28日
10種類もの計測装置で捉える気象・海象

洋上風況観測タワー計測装置設置状況図

現場海域の天候や海水面の状況を知るために、設置が完了した洋上風況観測タワーへ、 海面下15mから80mもの高さまで各種計測装置を取り付けていきます。

三杯式風速計や超音波風向風速計など多種多様な計10種類の計測装置により、 風向・風速・温度・湿度・気圧・雨量・海面温度など、様々な測定を行います。

取得したこれらの測定データは、洋上風車の発電量予測や洋上風況の研究などへ利用されます。

※海象(かいしょう) …… 海洋における自然現象

三杯式風速計・写真
三杯式風速計:今回設置の計測装置の一例ですが、 一般に風向計測用として用いられるもので、観測タワーの高さ 30mから80mまで10mおきに取り付けていきます。

2012年8月24日
洋上風況観測タワー設置を振り返る

写真1枚目
現場作業員からは、観測タワー下部(写真中央右側)が「ご安全に!」と敬礼しているように見えると言う声も。

6月末の北九州市沖は、台風が来るなど天候に恵まれず、安全上なかなか作業が進められない日もありましたが、 観測タワー下部の輸送・据付に続き、観測タワー上部の輸送も行いました。慎重に観測タワー下部とのドッキングを試み、 無事に国内初となる洋上風況観測タワーの設置に成功しました (詳しくは、2012年7月3日付けNEDOプレスリリースをご覧ください)。

来年3月頃には、洋上風車の設置も控えているので、現在急ピッチで風車製作作業などを進めています。

写真2枚目
起重機船にて観測タワー下部を据え付ける様子です。
写真3枚目
観測タワー上部を輸送し、下部とのドッキングに向かう所です。

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