本文へジャンプ

航空機エンジン向け材料開発・評価システム基盤整備事業

事業・プロジェクト概要

事業期間:2021年度~2025年度、予算額:12.4億円(2023年度)

本事業では、航空機の燃費改善や環境適合性向上の要請に応えるため、航空機エンジン部品の量産に欠かせない製造プロセスの効率化・高度化に取り組みます。また、マテリアルズ・インフォマティクスなどの情報科学を活用した、航空機エンジン向け高機能材料に必要なデータ駆動型の合金探索システムを開発します。さらに、国産材料の競争力強化に向け、関連企業や研究機関などと連携し、航空機エンジンに関する材料データの蓄積や強度評価、性能評価などに必要なデータベースを構築します。

これにより、航空機エンジン向け新合金の開発を目指すとともに、海外OEMとの連携に不可欠な認証取得に耐えうるデータベースを構築し、将来の航空機エンジンへの適用および日本の航空機エンジン産業の国際競争力強化を目指します。

次世代ジェットエンジンの構造を表したイラスト画像と航空機の写真
次世代ジェットエンジンの模式図と航空機の写真

研究開発内容

研究開発項目〔1〕「革新的エンジン部品製造プロセス開発」

本研究開発事業では、特に鍛造プロセスに焦点を当て、製造プロセスの効率化・高度化を目指します。具体的には、従来の鍛造プレス機は金型材が高温下で酸化しやすいことから加工時に真空引きをする必要がありましたが、空気中でそのまま加工しても酸化しにくい金型材の適用により、鍛造プロセスを効率化します。また、多品種生産に対応できる金型加熱装置を開発することで、設備投資額を削減します。

研究開発項目〔2〕「革新的合金探索手法の開発」

航空機エンジン向け材料は、高温、高圧という過酷な環境に耐えることが必要であり、複数の金属元素を適切に組み合わせることで、従来製品よりも軽量で、耐熱性、耐摩耗性、熱伝導性、導電性などに優れた「全く新しい合金」の開発が可能となります。

合金特性は金属元素の組み合わせとプロセス条件で決まりますが、その組み合わせは膨大な数に上るため、従来型の実験方法では天文学的な時間が必要となります。そこで合金探索に必要な良質のデータを大量かつ高速に収集し、マテリアルズ・インフォマティクスを利用して所望の特性を有する合金の探索時間を大幅に短縮するデータ駆動型の革新的な合金探索手法を開発することで、航空機エンジンへの適用可能性を模索します。

研究開発項目〔3〕航空機エンジン用評価システム基盤整備

最終製品として求められる安全性・信頼性の高さ故、航空エンジンは材料の段階から厳しい認証基準などが求められます。国産材料の競争力を高め、材料データを効率的に取得するために企業や研究機関などと連携し、製造時の欠陥の影響なども含む実用的なデータベースを整備します。また、構築したデータベースに基づいて実際に部材を製造し、性能評価試験などを実施します。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーの写真
飯山 和尭

本事業では、航空機エンジン向けの材料及び部品製造における日本の競争力向上に向けて、部品製造プロセスの効率化、計算機科学を活用した国産材料の開発、航空当局の認証取得に向けた航空機エンジン用材料のデータベース構築を実施します。2022年度から実現した、基礎開発から応用開発、量産技術開発まで一貫した実施体制により、国際競争力向上に向けた取り組みを一層強化します。2050年までのカーボンニュートラルが掲げられ、CO2削減が強く求められているところ、本事業が開発を目指す耐熱性に優れた新規合金が、航空機エンジン部材として実装されることで、CO2排出量削減に貢献することを目指します。

基本情報

技術・事業分野 材料・部材
プロジェクトコード P21007
担当部署 材料・ナノテクノロジー部 (TEL:044-520-5220)

詳細資料

最終更新日:2024年2月22日

関連ページ