株式会社 Integral Geometry Science
インライン蓄電池電流密度分布検査システムの量産化実証
2024年2月現在
所在地 | 創設年 | 創設者名 |
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兵庫県神戸市 | 2012年 | 木村 建次郎 |
パートナーVC | 直近の資金調達ラウンド | 企業価値 |
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SBIインベストメント | シリーズC | 34,800百万円 |
- 会社連絡先:078-335-6110
- ホームページ:
株式会社 Integral Geometry Science
事業名
ディープテック・スタートアップ支援事業
研究開発テーマ
インライン蓄電池電流密度分布検査システムの量産化実証
事業概要
近年カーボンニュートラルの実現が急務となっており、自然エネルギーを有効活用するために高エネルギー密度を持つ蓄電地の開発が必要不可欠となっている。リチウムイオン電池は鉛蓄電池やニッケル水素電池と比べてエネルギー密度、出力密度の両方に優れており、今後需要が高まり続けると予想される。一方で、電池からの発火事故は年々増加傾向にあり、事実、リチウムイオン電池に原因があるとされた製品のリコール等は昨今メディア等で多数報告されている。我々はカーボンニュートラルの実現に向けた高エネルギー密度を持つ蓄電地の実現というミッションのもと、現行の検査体制をすりぬけ市場に出回った僅かな潜在的不良リチウムイオン電池による出火事故を無くすような電池の品質を保証する新たな電池検査手法の確立、世界中での検査基準としての普及をビジョンとして、電流密度分布という新たな観点から検査可能なインライン検査システムの開発を行ってきた。電池出荷時の検査システムは現状、エージング試験と呼ばれる試験法が広く普及している。しかしエージング試験では均一に微小に電流がリークしている場合と局所的に大きな電流リークが存在する場合に電圧の変化量は等しくなるため、原理的に局所的に大きな電流リークが存在する潜在的な不良品のふるい分けが困難となる。電池は半導体製造プロセスと異なり、電池活物質の粉体を混錬する等、原理的に空間的な“ムラ”が生じるのは必然であり、局所性を有するセルはその後の充放電、電池使用に伴って劣化、不良を引き起こす。このような、エージング試験ではふるい落とせない潜在的な不良を抱えたセルが市場に出回ることで先述の事故につながる。我々の蓄電池検査システムは、蓄電池内部の電流に起因して発生する磁場を超高感度センシングし、得られた磁場分布から蓄電池内部の電流を解析的に映像化、電池内部の電流密度の局所性を評価する。検査システムの基幹技術である電流と磁場に関する基礎方程式の解析解を用いる解析手法はIGS研究グループが世界で唯一開発に成功した方法論であり、逆解析的な本手法は他に類を見ない。IGSはこれまでに量産化前製品としての研究開発を進めてきており、エージング試験では正常品と判定される電池セルにおいても電流ムラの検出に成功している。出荷前検査を既存のエージング試験からIGSの検査システムへと切り替えることで、より高い精度での品質管理を実現する。
事業内容
下記に掲げる開発項目を達成することで、新たなインライン電池検査システムの事業化・普及の達成を目指す。
〔1〕量産タイプインライン検査装置の設計開発
- ア)
- 量産タイプインライン検査装置の製作
- イ)
- ADコンバータの内製化
- ウ)
- 自動測定システムに向けたハードウェア等の測定機構部の最適化
〔2〕防爆設備を備えた実験設備の設立
- エ)
- ロボット導入、アルゴリズム開発
- オ)
- 通信、サーバ保管システムの構築
- カ)
- 発熱モニタなど安全機構設計
- キ)
- 50 Ahクラスセルの爆発に耐える防爆設計
〔3〕自動グレード分けシステムの構築
- ク)
- 良否判定基準パラメータ固定、良否判定スキームの確立
- ケ)
- 自動判定、グレード分けシステム構築
〔4〕システム製造体制
- コ)
- 高感度磁気センサ製造プロセスの最適化
- サ)
- 製造スキームの最適化
フェーズ | 事業領域・分野 | 助成事業年度 | 交付決定額 |
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DMB | モビリティ | 2023~2025年度 | 2,496百万円 |
海外技術実証
対象国・地域 | 海外技術実証内容 |
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アメリカ(ミシガン州、カリフォルニア州)、韓国、中国 |
国連輸送規定UN38.3や各輸送業者の規定により、リチウムイオン蓄電池の海外輸送には大きな制限が課されているため、実証は蓄電池製造メーカの所在国において実施する必要がある。主要蓄電池メーカの所在地であるアメリカ、韓国、中国への事業所設置を目標とする。 達成手段としては、助成期間前半においては海外事務所の設置にて海外主要メーカとの関係を構築する。期間後半においてはこの海外事業所にデモセンターとしての機能を持たせる。またプロセス・生産管理関係者との関係を構築することでインライン検査装置の導入に係る契約交渉を進める。 過去、参加した韓国、ドイツ、アメリカ、カナダの展示会や学会により中国、韓国の主要蓄電池メーカとのつながりを獲得し、各社のトップからは代替手法の存在しない本インライン検査装置に対して高い関心を得ている。今回のNEDO事業における資金等により、インライン検査装置の実用化を加速させ、助成事業期間内に各社にてインライン検査装置のフィジビリティスタディを完了させ、インラインの導入を開始する予定である。 |
最終更新日:2024年10月4日