リチウムイオン2次電池の自己放電箇所を非破壊で検出する電流経路映像化システムの開発/株式会社Integral Geometry Science


代表取締役 木村 建次郎 さん
2012年 | 応用数学史上の未解決問題である波動散乱逆問題の解析解の導出に世界で初めて成功し、Integral Geometry Instruments合同会社を設立。 |
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2013年 | 世界初の積分幾何学を用いて微細な電気信号を再構成する数学ならびに計測機器の開発に成功し、高分解能電流経路(電気信号)映像化システムを販売する。 |
2015年 | 株式会社Integral Geometry Science 設立。 |
2017年 | 第1回日本医療研究開発大賞において、内閣官房健康・医療戦略室より日本医療研究開発機構理事長賞を受賞。 NEDO「ベンチャー企業等によるエネルギー革新技術支援事業」フェーズABCDに採択され、蓄電池の健全性診断技術と社会インフラへの展開、蓄電池の発火を未然に防ぐ世界初の発電状況画像診断の実用化に向け研究開発を行う。 |
2020年 | 世界最高性能の超高分解能UWBレーダの開発に関してi-construction大賞を受賞。国土交通省にて国土交通大臣より表彰。 時価総額177億円(2020年12月時点)となり、医療画像診断技術、ハードウェアからシステムまで開発するスタートアップとしては国内最大規模となっている。 |
Q1. NEDO支援事業をどのように活用?
蓄電池電流密度分布映像化装置の実用化に向けて NEDO にご支援いただきました。国内外の企業、研究所が製造した市場流通品、研究開発品としての蓄電池における欠陥や劣化を分析する実証試験を実施し、その有効性を確認しました。さらに、事業期間内に、主に製造現場における抜き取り検査を想定したハイスループットタイプの蓄電池電流密度分布映像化装置を開発することに成功しました。超高感度磁気センサー間の干渉を防ぎながら、世界的にも最大規模の2次元アレイ化を達成し、国内外の製造現場や研究機関から高い評価を得ることができました。
- リチウムイオン電池非破壊検査機
Q2. Integral Geometry Science の“その先”とは?
蓄電池電流密度分布映像化装置を電池の生産ラインへ導入するために、計測フローの高速化、全自動化に向けた装置開発に着手しています。アフターコロナ社会におけるEV(電気自動車)市場の回復に向けた、車載用高性能電池の開発競争が世界的にも激化しており、エネルギー密度、寿命と共に “高い安全性” を保証する技術が、覇権獲得競争の鍵となっています。現在、世界の主要蓄電池製造メーカー、ユーザーメーカーが高い関心を示しており、当社としては、日本の蓄電池が世界で最も優れたものとして流通するために、装置基本性能の向上に資する研究開発、あらゆるタイプの蓄電池検査への普及活動の双方を精力的に進めていきたいと考えています。
NEDO担当者からのコメント
みえないものがみえる非破壊画像診断システムは、未然に蓄電池のトラブルを防ぐ世界初の画期的装置です。現在はインライン生産機の試作を電池製造メーカーの要求に合わせて進めており、早期の事業化が期待できます。
本記事は、2021年12月発行の広報誌Focus NEDO No.83に掲載された内容となります。
最終更新日:2022年4月7日