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SIP第2期で「サイバー空間基盤技術」に関する14の研究テーマを採択
―Society 5.0実現に向け、府省の枠を超えた連携体制で推進―

2018年12月4日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOは、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の管理法人として、14の研究テーマを採択しました。

本プロジェクトでは、多様なニーズと潜在的なニーズにきめ細かく対応したモノやサービスを提供することで、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会(Society 5.0)を実現するために、ビッグデータをAI(人工知能)で解析し、高付加価値情報としてフィジカル(現実)空間にフィードバックする「サイバー空間基盤技術」の研究開発を府省の枠を超えた産学官連携体制で推進し、社会実装を目指します。

研究開発計画の全体像を表した図
図1 研究開発計画の全体像

1.概要

内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)※1は2014年度から、科学技術イノベーションを実現するために、府省の枠を越え、産学官の連携強化、それぞれ基礎研究から実用化・事業化までを見据えた「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」※2を推進してきました。本プロジェクトは、AI戦略実行会議・座長の安西祐一郎氏(独立行政法人日本学術振興会 顧問、学術情報分析センター所長)をプログラムディレクターにSIP第2期の12の課題の一つとして取り組みを推進します。

今般、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の管理法人として、14の研究テーマを採択し、「サイバー空間基盤技術」の研究開発を開始します。本プロジェクトでは、Society5.0を実現するための中核となる技術である「サイバー空間基盤技術」の中で特に、人とAI(人工知能)の協働に寄与する高度に洗練された(1)ヒューマン・インタラクション基盤技術と、(2)分野間データ連携基盤技術、(3)AI間連携基盤技術を確立し、これによりビッグデータ・AIを活用したサイバー・フィジカル・システム(CPS)※3の社会実装を目指します。

Society 5.0とは、多様なニーズと潜在的なニーズにきめ細かく対応したモノやサービスを提供することで、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会です。Society 5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に集積され、サイバー空間では、このビッグデータをAIが解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間にさまざまな形でフィードバックされることで、新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。

  • サイバー空間のイメージ(内閣府資料より作成)
    図2 サイバー空間のイメージ(内閣府資料より作成)

2.研究開発プロジェクトの内容 (採択テーマおよび委託予定先 一覧は別紙参照)

事業名:
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術
実施期間:
2018年度~2022年度(予定)

研究開発内容:

  • (1)ヒューマン・インタラクション基盤技術
    人の状況変化・会話・表情・身振りなどの情報から、複雑で予測が困難な人の認知・行動を理解するとともに、臨機応変に、迅速に、違和感なく、状況判断やコミュニケーションを支援する基盤技術です。
    本基盤技術は、4つの研究開発項目から成り、認知的インタラクション支援技術(AIとの融合による生産性向上に寄与する作業者の業務訓練・支援システムの開発(採択テーマ〔1〕)など)、高度マルチモーダル対話処理技術(高齢者介護に寄与する対話シナリオを用いた音声対話システムの開発(採択テーマ〔4〕)など)、学習支援技術(最適な学習教材を提案するテーラーメイド教育の開発(採択テーマ〔5〕)など)、介護支援技術(認知症のある人の自立共生支援AI技術の開発(採択テーマ〔8〕)など)を実施します。
  • (2)分野間データ連携基盤技術
    産学官で個別に保有するデータを連携させ、欲しいデータがどこにあるか見つけることができ、分野横断でデータを一括入手できるプラットフォームを構築し、持続的に自立運用可能なシステムを形成する基盤技術です。
    複数分野での相互運用性を確保したデータ活用基盤を開発し、観光アプリケーションなどでの有効性検証(採択テーマ〔11〕)などを実施します。
  • (3)AI間連携基盤技術
    多様なAIで制御されているシステムにおいて、複数のAIが協調・連携することで、より効率的な制御や新たなWin-Win機会を形成する基盤技術です。
    製造・物流分野におけるAI間連携(採択テーマ〔13〕)、健康・医療・介護分野におけるAI間連携(採択テーマ〔14〕)を実施します。

【注釈】

※1 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)
内閣総理大臣、科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーション政策の企画立案および総合調整を行うことを目的とした「重要政策に関する会議」の一つです。
※2 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Programの略称で、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が自らの司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設するプログラムです。
※3 サイバー・フィジカル・システム(CPS)
実世界で起こるさまざまな出来事を、各種センサーなどを介してITの世界に取り込み、適切に処理を行うことで、実世界をより高度に、快適に、そして便利にするシステムのことです。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:小川(泰)、狩野、坂元、花田、小川(隆)、金山 TEL:044-520-5241

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、藤本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp