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高度専門支援人材の登録、蓄積、運用を開始
―ネットワーク化によるベンチャー・エコシステムの安定的な発展を目指す―

2019年6月27日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOは、研究開発型ベンチャーの創出・成長のための支援的知見やオープンイノベーションスキルの素養を持つ人材を高度専門支援人材として登録し、蓄積した人材一覧をWEBサイトに掲載し、これらの運用を開始しました。

高度専門支援人材は、一般的な企業支援人材とは違い、技術をはじめとした専門性をベースとして、イノベーションの創出に向け高度で複雑な事業課題を有する研究開発型ベンチャーの支援に適応した専門人材として活躍が期待されます。

今後、NEDOではこうした専門支援人材の蓄積と拡充を通じて、研究開発型ベンチャーの高度専門支援人材のネットワークを整備し、日本のベンチャー・エコシステムの底上げと、安定的な発展への貢献を目指します。

1.概要

研究開発型ベンチャー※1は技術イノベーションや産業競争力向上の担い手であり、研究開発の成果や知的財産権の社会実装の手段として、こうしたベンチャーの設立を目指すケースが増えています。こうした事業化の現場では、早期に企業化という選択肢を見通して、これを適切に牽引できる支援者の質やパフォーマンスが非常に重要です。しかし、研究開発の社会実装を目指す現場などでは、こうした支援的知見を有する人材が不足しているのが現状です。

このような背景の中で、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業※2では、日本のベンチャー・エコシステム※3を下支えするための公益的視点と、広い知見や高い専門性を持って研究開発型ベンチャーの成長を伴走支援できる人材の育成を目的に、高度専門支援人材※4育成プログラム「NEDO Technology Startup Supporters Academy(以下、SSA)※5」を2017年から開始し、上記人材の育成・輩出に取り組んできました。しかしながら、研究開発型ベンチャーを少しでも多く成功に導くためには、単に支援人材の一過性の育成・輩出だけでは不十分であり、人材を蓄積し、その質を維持・メンテナンスしていくための持続可能な人材プラットフォーム機能を「車軸の両輪」として整備する必要があります。

そこでNEDOは、支援人材という「点」をエコシステムという「面」に展開してネットワーク化し、研究開発型ベンチャーやその起業家支援網の強化に向けたソフトインフラ環境の整備と、その支援的知見や必要なオープンイノベーションスキルの素養を備えた人材のキャリアパス※6形成や活躍を促すという両側面からの貢献を目指し、SSAプログラムの過程を修了した高度専門支援人材を登録し、蓄積した人材一覧をWEBサイトに掲載し、これらの運用を開始しました。

高度専門支援人材は、産・学・官・公・民の研究開発型ベンチャー支援の現場における中核人材として活躍が期待されるとともに、本事業の運用を通じて、研究開発型ベンチャーの創出・支援環境の整備と、高度専門支援人材のネットワークを整備し、日本のベンチャー・エコシステムの底上げと安定的な発展に貢献します。

2.運用内容について

【1】研究開発型ベンチャーの高度専門支援人材を登録

SSAプログラムの修了者などを対象に、研究開発型ベンチャー支援を通じて日本の産業イノベーション創出やベンチャー・エコシステムの発展に貢献する高い意欲と支援的見識、実績などを有する者の中で、登録申請があった者を高度専門支援人材として登録します。

【2】人材一覧の掲載

NEDOのWEBサイトに、登録人材の氏名や所属など一覧を掲載します。

【3】「NEDO SSAフェロー」の名称使用

登録人材は、「NEDO SSAフェロー」の名称を使用できます。

【4】NEDOによる登録人材向けサポート

  • 定期的にNEDO事業やオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)※7などの支援情報を提供
  • 最新のイノベーションに関する知見や研究開発型ベンチャーの動向などの情報を提供
  • 支援者と起業家または支援者同士の集合研修やネットワーキングの機会、支援スキルの維持・向上などの研修を開催
    (※本人材登録の運用では業務の斡旋は行いません。)

3.今後の予定

NEDOは、こうした研究開発型ベンチャーの高度専門支援人材の拡充による起業環境の整備とともに、支援人材の活躍を促すためのキャリアパス形成やネットワーク化の後押しを通じて、日本のベンチャー・エコシステムの構成員として有用人材を蓄積・根付かせるとともに、その支援的知見やスキルなどの質の維持・向上の機会を提供していきます。

なお、当面はSSAプログラムの修了者などを中心に本事業の運用・検討を重ね、今後、NEDOカタライザー※8や他事業から育成され活躍する人材への登録対象の拡大も検討していきます。また、研究開発型ベンチャーの高度専門支援人材の間でイノベーションの創出・支援の取り組みや事例を共有し、切磋琢磨することにより、成功事例を積み重ねながら、イノベーション創出環境の整備を目指します。

また、現在、本件の関連事業である、SSAプログラムの2019年度公募を7月初旬に開始する予定です。詳細は、下記のWEBサイトの公募情報をご参照ください。

【注釈】

※1 研究開発型ベンチャー
新規性、革新性の高い自社技術、Deep Tech、研究開発成果等を活用して事業を行うベンチャーやスタートアップ企業のことです。
※2 NEDO事業
事 業 名:研究開発型ベンチャー支援事業
事業期間:2014年度~2019年度
事業予算:17億円(2019年度)
※3 ベンチャー・エコシステム
起業家、既存企業、大学、研究機関、金融機関、公的機関などの各構成主体が共存共栄し、企業の創出、成長、成熟、再生の過程が循環する仕組み(生態系)です。
※4 高度専門支援人材
ここでは、先端技術の開発や膨大な時間と多大な資金調達の必要などさまざまな困難が伴う研究開発型ベンチャーに関する課題について、ベンチャー創出に関するプロジェクマネジメントの遂行から、必要なオープンイノベーション的知見や所作、起業家・ベンチャーとの伴走支援などといった、研究開発型ベンチャーの創出・成長に必要なスキル、専門性を有する人材を言います。
※5 NEDO Technology Startup Supporters Academy(SSA)
日本のベンチャー・エコシステムを下支えするための公益的視点と広い知見と高い専門性を持ち、研究開発型ベンチャーの創出や成長を伴走支援できる高度専門支援人材を育成するプログラムです。本プログラムの期間は約4ヶ月間で、アカデミーの名に相応したイノベーションやベンチャーなどの研究の第一線にいる有識者や実務家、起業家からの講義やワークショップ、研究開発型ベンチャー支援スキルの実践的なOJT機会を通じて、質の高い支援者の養成を目指すものです。
関連リリース 研究開発型ベンチャーの支援人材育成プログラムを実施へ
※6 キャリアパス
企業の人材育成制度の中でどのような職務にどのような立場で就くか、またそこに到達するためにどのような経験を積みどのようなスキルを身につけるか、といった道筋のことをいいます。
※7 オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)
オープンイノベーションの推進事例の共有や啓発普及活動、政策提言などを実施するため、民間事業者が主体となった協議会(オープンイノベーション協議会:2015年2月設立)と、ベンチャー創造協議会(ベンチャー創造協議会(2014年9月設立))が合併し、民間事業者の「オープンイノベーション」の取り組みを推進するとともに、「ベンチャー宣言」を実現することにより、日本の産業のイノベーション創出および競争力の強化に寄与する活動を行っています(運営事務局:NEDO)。
※8 NEDOカタライザー
NEDO研究開発型ベンチャー支援事業における、TCP(NEDO Technology Commercialization Program)事業やNEP(NEDO Entrepreneurs Program)事業、旧SUI(Start Up Innovator)事業などで委嘱・登録された専門家のことです。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO イノベーション推進部 担当:橋詰、谷口、梶原、杉山、吉田(剛)
TEL:044-520-5173 E-mail:tech-ssa@nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、中里、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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