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NEDO事業の成果を基に、乳房用の超音波画像診断装置を開発・販売開始
―被ばくリスクや痛みがない、女性に優しい乳がん検査を実現―

2021年5月10日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOが研究開発型スタートアップの実用化開発支援を目的に進める「シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(STS事業)」での成果を基に、(株)Lily MedTechはこのたび、乳房用の超音波画像診断装置を開発しました。4月28日に医療機器製造販売認証を取得し、5月10日から販売を開始します。

同社は東京大学による散乱像再構成技術「リングエコー撮像法」を基に、2015年度第2回公募のSTS事業に採択され、視野内を均質に高解像度で撮像する機能を実現した乳房用画像診断装置を試作しました。乳がん検診で一般的な乳房X線検査(マンモグラフィ)で課題となるX線被ばくのリスクや痛みをなくし、女性に優しい乳がん検査の実現を後押しします。

販売を開始した「乳房用リング型超音波画像診断装置COCOLY」の図
図 販売を開始した「乳房用リング型超音波画像診断装置COCOLY」

1.概要

持続的かつ強じんな社会・経済構造の構築を視野に、スタートアップなどを支援することによってイノベーション・エコシステムを維持する重要性が指摘されています。これを踏まえ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は研究開発型スタートアップの実用化開発支援を目的に、2015年よりベンチャーキャピタルなどと協調支援を行う「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(STS事業)」※1に取り組んでいます。

こうした中、NEDOは2015年度第2回公募のSTS事業※2に株式会社Lily MedTechが会社設立前のチームとして応募した研究開発テーマ「超音波リングアレイを用いた乳がん検診・診断・治療装置」を採択し、同社はこれを機に2016年5月に会社を設立しました。同社はSTS事業終了後も実用化に向けた開発や臨床研究に取り組み、その結果、会社設立から5年という短期間で「乳房用リング型超音波画像診断装置COCOLY」として医療機器製造販売認証(認証番号:303AIBZX00011000)を取得し、このたび販売を開始することとなりました。NEDOは今後も社会ニーズに応えるスタートアップの起業を支援し、早期の社会実装に貢献します。

2.今回の成果

乳がん検診で一般的な乳房X線検査(マンモグラフィ)はX線被ばくのリスクや痛みを伴うだけでなく、乳腺と腫瘍の判別が困難という課題があります。また乳腺が発達した乳腺比率の高い女性の場合はエコー(超音波)検査を併用することも多く、受診者の負担軽減が求められていました。

こうした課題の解消を掲げ、(株)Lily MedTechは2015年度第2回公募のSTS事業において超音波で乳房の断層写真を撮影できる診断装置の開発に本格的に着手しました。STS事業では国立大学法人東京大学による散乱像再構成技術「リングエコー撮像法」※3を基に超音波振動子をリング状に並べることで、視野内を均質に高解像度で撮像する機能を実現した乳房用画像診断装置を試作しました。

このたび開発・販売する「乳房用リング型超音波画像診断装置COCOLY」はベッド型の検査装置で、受診者はベッド上でうつ伏せになります。ベッド中央にある穴に乳房を片側ずつ挿入するとリング型振動子アレイがリングエコー撮像法によって乳房をスライスするように撮像し、乳房断面の画像を作成します。既存の検査手法に比べ自然な形に近い乳房全体の3D画像が得られることに加え、被ばくや痛みがありません。乳腺比率が高い女性にも適しており、幅広い世代の女性に寄り添った乳がん検査が可能となります。

(株)Lily MedTechは今後、国内外で本診断装置の普及を目指すとともに、人工知能(AI)を組み合わせた診断支援ツールの開発なども進める予定です。これにより撮影に携わる技師のスキルに依存せず、読影の負担も軽減される新たな製品・サービスの実現につなげます。なお、本装置の詳細は(株)Lily MedTech の別ウィンドウが開きます ホームページをご参照ください。

【注釈】

※1 STS事業
サイト内リンク 「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(Seed-stage Technology-based Startups : STS事業)」
※2 2015年度第2回公募のSTS事業
(株)Lily MedTechの事業名称は「超音波リングアレイを用いた乳がん検診・診断・治療装置」
(2016年6月29日~2017年2月28日)
※3 リングエコー撮像法
リング状に配列された超音波振動子アレイの一部の素子から超音波を送信し、散乱波を全素子で受信することでエコーデータを取得。送信素子を1周させエコーデータを重ね合わせることで、均質かつ解像度の高い散乱像作成を可能とする撮像技術。東京大学大学院工学系および医学系研究科での医用超音波技術を基に開発された。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO イノベーション推進部 担当:塚越、中原 TEL:044-520-5173  E-mail:vc-vb@nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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