本文へジャンプ

グリーンイノベーション基金事業、第1号案件として水素に関する実証研究事業に着手
―商用水素サプライチェーンの構築とPower to Xの実現を目指す―

2021年8月26日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOは「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、脱炭素化の実現に必要不可欠な二次エネルギーとして期待される水素に関する11テーマの実証研究事業に着手します。なお、本事業は総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業の一環で実施するものであり、今回が第1号案件となります。

本事業を通じて商用水素サプライチェーンの構築を見通す技術の確立を目指すほか、余剰な再生可能エネルギーの電力を水素に変え、熱需要の脱炭素化や基礎化学品の製造などで活用するPower to Xの実現を目指します。水素需給創出による好循環を通じた自立的な水素の普及拡大・社会実装を促します。

1.概要

2020年10月、日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒すものであり、並大抵の努力で実現できるものではありません。エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取り組みを大幅に加速することが必要です。このため、グリーンイノベーション基金事業により、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などに対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援します。

本基金事業ではグリーン成長戦略※1において実行計画を策定している重点分野を支援対象としており、その一つである水素は直接的に電力分野の脱炭素化に貢献するだけでなく、余剰電力などを水素に変換して貯蔵・利用することで、再生可能エネルギーなどのゼロエミッション電源のポテンシャルを最大限活用することもできます。このためカーボンニュートラル達成に必要不可欠な二次エネルギーとして期待されているほか、電化による脱炭素化が困難な産業分野(原料利用、熱需要)などの脱炭素化にも貢献します。

なお、水素の社会実装を促すためには、供給設備の大型化による供給コストの削減と、大規模な水素需要の創出を同時に行う必要があります。しかし現状では長期の水素需要量が不確実なため、民間事業者が大規模なインフラ投資に踏み出しにくい問題があります。この不確実性を減らすためには既存のインフラを最大限活用しつつ、水素供給量の増大と水素需要の創出を行うことができる社会実装モデルを構築することが必要です。具体的には、大規模な水素需要が見込まれる地域へ海外からの輸入水素などを供給することで集中的に水素の利活用を行うものや、水電解装置を中核として水素の自家消費や周辺地域での利活用を行うものが考えられています。

2.事業内容

この社会実装モデルを構築するため、NEDOはこのたび、経済産業省が策定した水素に関する研究開発・社会実装計画に基づき、「大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト」および「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト」の公募を行い、合計11テーマを採択しました。

本事業を通じて、需給一体となった商用水素サプライチェーンの構築を見通す技術の確立と、余剰な再生可能エネルギーの電力を水素に変え、熱需要の脱炭素化や基礎化学品の製造などで活用するPower to X※2の実現を目指し、水素需給創出による好循環を通じた自立的な水素の普及拡大・社会実装を促します。

なお、本事業は総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業の一環で実施するものであり、今回が第1号案件となります。

大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト

液化水素およびメチルシクロヘキサン(MCH)による大規模水素サプライチェーンの実証研究や液化水素関連機器の評価基盤の整備、直接MCH電解合成などの革新的技術開発を通して、水素供給コストを2030年に30円/Nm3(船上引き渡しコスト)、2050年に20円/Nm3(船上引き渡しコスト)以下まで低減させるための技術の確立を目指します。また、供給側の取り組みと同時に水素ガスタービン発電技術(混焼、専焼)を実機により実証することで、大規模需要を創出する水素ガスタービン発電技術(混焼、専焼)の実現に向け技術の確立を支援します。

再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト

余剰な再生可能エネルギーなどを活用した国内水素製造基盤の確立や、先行する海外市場獲得を目指すべく、アルカリ型※3およびPEM型※4水電解装置の大型化やモジュール化、優れた要素技術の実装、水電解装置の性能評価技術の確立といった技術開発などを支援し、水電解装置コストの一層の削減(現在の最大6分の1程度)を目指します。水電解装置の開発と併せて、ボイラーなどの熱関連機器や基礎化学品の製造プロセスと組み合わせ、再生可能エネルギー電源などを活用した非電力部門の脱炭素化に関するシステム全体を最適化する実証研究を行います。

個々の事業テーマと実施予定先は、別紙の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。

【注釈】

※1 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して「別ウィンドウが開きます 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※2 Power to X
再生可能エネルギー由来の電力(Power)で水を電気分解し、製造された水素を化石燃料や原料など(X)の代替のために活用する技術です。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画 令和3年5月18日)
※3 アルカリ型水電解装置
アルカリ水溶液を用いた水電解であり、白金などの希少金属を使う必要がないため比較的低コストで製造でき、稼働時間が長いという特徴があります。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画 令和3年5月18日)
※4 PEM型水電解装置
プロトンを移動させることができる固体高分子膜(Polymer Electrolyte Membrane)を用いた水電解であり、変動電力に対する柔軟性が高く、比較的コンパクト化が容易という特徴があります。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画 令和3年5月18日)

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO スマートコミュニティ・エネルギーシステム部 燃料電池・水素室
担当:大平、横本、田中、鈴木(敦) TEL:044-520-5261­

(グリーンイノベーション基金事業全体についての問い合わせ先)

NEDO グリーンイノベーション基金事業統括室
担当:井上、堀、茂手木 E-mail:green-innovation@nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、鈴木(美)、橋本、根本
TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

関連ページ