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グリーンイノベーション基金事業、「次世代船舶の開発」に着手
―ゼロエミッション船の普及をけん引―

2021年10月26日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOはグリーンイノベーション基金事業の一環として、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、海上輸送の脱炭素化に必要不可欠な水素やアンモニア、LNGなどを燃料とする次世代船舶の社会実装を進めるためのプロジェクト「次世代船舶の開発」に着手します。本事業は総額320億円で、水素やアンモニアを燃料とするエンジンの開発など4テーマに取り組みます。これにより、運航にあたって温室効果ガスを実質排出しないゼロエミッション船の商業運航の実現を目指します。

本事業を通じてゼロエミッション船など次世代船舶の普及を後押しする技術開発を加速させ、日本の造船業・舶用工業の国際競争力を強化するとともに、海運業も一体となった社会実装を進め、ゼロエミッション船の普及をけん引していきます。

1.概要

2020年10月、日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、並大抵の努力で実現できるものではありません。エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取り組みを大幅に加速させることが必要です。このため、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業により官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを対象として、研究開発・実証から社会実装まで、継続して支援します。

本基金事業はグリーン成長戦略※1で実行計画を策定している重点分野を支援対象としており、その一つが「船舶産業」です。水素やアンモニア、LNGなどを燃料とする次世代船舶の商業運航を実現させれば、海上輸送の脱炭素化に貢献できます。また本基金事業の別プロジェクトでは、水素燃料やアンモニア燃料のサプライチェーン構築などを計画しており、次世代船舶がこれらのプロジェクトによって供給拡大、低コスト化された水素・アンモニア燃料などの利用先となることにより、世界全体のCO2排出量の約2.1%を占める国際海運全体でよりいっそう脱炭素化を促進することが期待されています。

一方で、水素やアンモニアを燃料とするエンジンは技術的な課題が多く、世界的にもいまだ開発されていません。例えば、燃焼制御技術の向上など水素・アンモニア燃料特有の課題を解決する必要があります。また、常温常圧で気体状態である水素やアンモニアは、輸送効率向上のために液化されますが、液体状態でも従来燃料に比べて体積が大きくなるため、貨物スペースを圧迫しない革新的な液体燃料タンクの開発が必要となります。さらに、LNG燃料船はすでに実用化されていますが、カーボンリサイクルメタンを活用して実質ゼロエミッション化するためにはメタンスリップ※2の課題を克服する必要があります。

これらを踏まえて次世代船舶の社会実装を進めるため、NEDOはこのたび、国土交通省が策定した研究開発・社会実装計画に基づく「次世代船舶の開発」の公募を行い、合計4テーマを採択しました。

2.事業内容

本事業を通じて、運航にあたって温室効果ガスを実質排出しないゼロエミッション船など次世代船舶を社会実装するための技術開発を加速させ、日本の造船業・舶用工業※3の国際競争力を強化するとともに、海運業も一体となった社会実装を進め、ゼロエミッション船の普及をけん引していきます。

  • :2021年度~2030年度(予定)
  • :320億円
  • 実施テーマ:
  • 舶用水素エンジン及びMHFS※4の開発
  • アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発
  • アンモニア燃料船開発と社会実装の一体型プロジェクト
  • 触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発
  • 個々の事業テーマの詳細と実施予定先は、別紙の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。

【注釈】

※1 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※2 メタンスリップ
燃料であるメタンの一部が未燃の状態で大気中に排気されることを指します。
※3 舶用工業
船舶に搭載するエンジン(ディーゼル機関など)、プロペラ、航海用機器、荷役機械などを製造・供給する産業であり、常に世界のトップクラスを維持してきた日本の海事産業を支えている重要な産業です。
※4 MHFS
舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システムです。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新領域・ムーンショット部 担当:片山、矢野、吉田
TEL:044-520-5240 E-mail:gi-ship-kobo@nedo.go.jp

(グリーンイノベーション基金事業全体についての問い合わせ先)

NEDO グリーンイノベーション基金事業統括室 担当:井上、堀、茂手木
E-mail:green-innovation@nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:根本、坂本、鈴木(美)、橋本
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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