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グリーンイノベーション基金事業で、次世代航空機に関する研究開発事業に着手
―水素航空機向けコア技術の確立と、主要構造部品の飛躍的軽量化を目指す―

2021年11月5日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOは「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、次世代航空機の開発として、水素航空機向けコア技術や航空機主要構造部品の飛躍的軽量化に関する4テーマの研究開発事業に着手します。なお、本事業は総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業の一環で実施するものです。

航空分野でカーボンニュートラルへの取り組みが活発になる中、本事業ではこの動きを国内航空機産業の競争力を飛躍的に強化する機会として捉え、水素や素材など国内の要素技術の強みを最大限活用することで、機体・エンジンの国際共同開発参画比率(現状約2~3割)を向上することを目指します。また、航空分野の脱炭素化に貢献します。

1.概要

日本は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、エネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションといった現行の取り組みを大きく加速させることが必要です。この実現に向け、経済産業省は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などに対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げました。

本基金事業ではグリーン成長戦略※1において実行計画を策定している重点分野を支援対象としており、その重点分野の一つが航空機産業です。航空機産業は広い裾野産業を有し、適用技術が他の分野に波及する効果も期待されます。

航空機産業は現在、新型コロナウイルス感染症の拡大による航空需要の落ち込みにより、世界的に大打撃を受けていますが、IATA(国際航空運送協会)は、今後の航空需要について2024年には2019年と同水準まで回復し、その後新興国などの経済成長を背景に年3%程度の持続的な成長を遂げると見込んでおり、成長を続ける産業といえます。

また、ICAO(国際民間航空機関)において「燃料効率の毎年2%改善」、「2020年以降CO2総排出量を増加させない」というグローバル目標が掲げられるなど急速に脱炭素化の要求が高まりつつあり、欧米OEMメーカーを中心に機体・エンジンの軽量化・効率化や電動航空機に関する技術開発が実施されています。さらに、エアバス社が2035年に水素燃料および燃料電池を活用した「カーボンニュートラル航空機」を市場投入すると発表したことを受けて、水素航空機の開発競争も激化しています。

このような背景の下、NEDOは経済産業省が策定した次世代航空機の開発に関する研究開発・社会実装計画に基づき、このたび「次世代航空機の開発プロジェクト」として計4テーマを採択しました。グリーンイノベーション基金事業の一環として、水素航空機のコア技術開発や、次世代航空機に必要とされる航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化開発に取り組みます。本プロジェクトを通じて、カーボンニュートラルを目指す動きを国内航空機産業の競争力を飛躍的に強化する機会として捉え、水素や素材など国内の要素技術の強みを最大限活用することで機体・エンジンの国際共同開発参画比率(現状約2~3割)向上を目指します。また、航空分野の脱炭素化に貢献します。

2.事業内容

  • :グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト
  • 実施期間:2021年度~2030年度(予定)
  • :210.8億円(NEDO支援規模)

今回の公募で採択したテーマは、以下の4件です。

1.水素航空機向けコア技術開発(別紙2-1)

〔1〕水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発

水素燃焼に適した航空エンジン燃焼器の開発を進めます。また、NOxについても既存エンジンでICAOが定めた目標であるCAEP/8※2比54%の低減を実現します。

〔2〕液化水素燃料貯蔵タンク開発

水素航空機向けの水素燃料貯蔵タンクの開発を進め、タンク重量についても貯蔵水素燃料の2倍以下の重量を達成します。

〔3〕水素航空機機体構造検討

水素航空機の成立性を考慮したベース機体(TRA:Technical Reference Aircraft)を策定します。風洞試験により、2,000~3,000kmの航続性能を有する水素航空機の機体構想を確認します。

2.航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化開発(別紙2-2)

2035年以降に投入される航空機への搭載を目指し、主翼などの重要構造部材に関して、既存の金属部材から約30%の軽量化(既存の複合材部材と比較すると約10%の軽量化)を達成します。

各項目の実施予定先や予算額などは、別紙の実施予定先一覧をご覧ください。

【注釈】

※1 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※2 CAEP/8
ICAOが設置した航空環境保全委員会(Committee on Aviation Environmental Protection)で定められた排出ガス規制値です。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部
担当:佐藤、君塚、前田 TEL:044-520-5220 E-mail:gi-aircraft@nedo.go.jp

(グリーンイノベーション基金事業全体についての問い合わせ先)

NEDO グリーンイノベーション基金事業統括室
担当:井上、堀、茂手木 E-mail:green-innovation@nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:橋本、坂本、鈴木(美)、根本
TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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