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グリーンイノベーション基金事業「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」に着手
―カーボンニュートラルの実現と農林水産業の国際競争力強化を目指す―

2022年12月19日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOはグリーンイノベーション基金事業の一環として、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、食料・農林水産分野における二酸化炭素(CO2)などの吸収源対策を一層強化するため、「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」プロジェクト(予算総額159.2億円)に着手します。

本プロジェクトでは、「有用微生物の機能を付与した高機能バイオ炭(米のもみ殻、剪定枝などの炭化物)による、農地炭素貯留と農作物の収量増・環境価値向上の実現」、「高層木造建築物などに使用可能な等方性大断面部材の普及による、国産材需要拡大と森林におけるCO2吸収量の増加」、「藻場の回復・造成促進を目的とした海藻バンク整備による、水産資源の維持・増大とCO2吸収源の確保」の実現を目指して研究開発・実証を行います。

NEDOは本事業を通じて、農林水産物を利用したCO2の吸収・削減技術開発を加速させ、カーボンニュートラル実現に貢献するとともに、日本の農林水産業の国際競争力を強化し、将来の成長産業の創出を目指します。

1.グリーンイノベーション基金事業について

2020年10月、日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するには、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取り組みを大幅に加速させることが必要です。このため、経済産業省はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げました。

なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくことを目指し、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト※1」を公開しています。

2.本プロジェクトの概要

本基金事業はグリーン成長戦略※2で実行計画を策定している重点分野を支援対象としており、その一つが「食料・農林水産業」です。

農地や森林などが吸収・固定するGHGは、年間4450万トン(2020年度)にも達することから、食料・農林水産分野における2050年カーボンニュートラルの実現に向け、これらの吸収源対策を一層強化することが求められています。また農地土壌や森林に続くCO2吸収源として、海洋生態系が吸収する炭素であるブルーカーボンについても、国際的な関心が集まっています。

そこで本プロジェクトでは、農林水産業に期待されるCO2の吸収・固定技術を中心に、将来の成長産業の創出につながるインパクトの大きな課題を対象として、これまでの発想や技術的な限界を打ち破るような野心的な研究開発を重点的に推進することを目的としています。

このような背景の下、NEDOは農林水産省が策定した研究開発・社会実装計画※3に基づき、「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」プロジェクトの公募を行い、合計3テーマを採択しました。

NEDOは本事業を通じて、農林水産物を利用したCO2の吸収・削減技術開発を加速させ、カーボンニュートラル実現に貢献するとともに、日本の農林水産業の国際競争力を強化し、将来の成長産業の創出を目指します。

3.採択テーマ

食料・農林水産分野における2050年カーボンニュートラルの実現に向け、農地や森林、海洋生態系などの吸収源対策を一層強化するため、バイオ炭による農地炭素貯留、高層木造建築物の拡大、海藻類によるCO2固定化(ブルーカーボン)などの技術に関する研究開発・実証に取り組みます。

名:
グリーンイノベーション基金事業/食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発
算:
159.2億円(NEDO支援規模)
実施期間:
2022年度~2030年度(予定)
テーマごとにステージゲート審査を設定します。

実施テーマ:

【研究開発項目1】高機能バイオ炭等の供給・利用技術の確立

もみ殻などを炭化(炭素を固定化)させたバイオ炭や炭素固定効果の高い有機物は、CO2を農地に貯留する効果が期待され、脱炭素に向けた有効な手法の一つです。その普及を目的として、土壌中の養分を肥料成分として作物に供給する、作物の健全な生育を助長するなどといった有用微生物の機能を付与した高機能バイオ炭などを開発します。また、これを用いて栽培した農産物の環境価値の評価手法を確立し、農業者の導入インセンティブを高める取り組みを行います。

【研究開発項目2】高層建築物等の木造化に資する等方性大断面部材の開発

国産材を原料とし、従来の材木にはなかった長さと幅の両方向からの荷重に強い性能を持つ等方性大断面部材を、歩留まりが高く効率的に製造する技術を開発します。それにより、高層建築物などにおける国産材需要を拡大し、人工林の「伐って、使って、植える」という循環利用の確立を通じて森林におけるCO2吸収量の増加を目指します。

【研究開発項目3】ブルーカーボンを推進するための海藻バンク整備技術の開発

ブルーカーボン生態系※4の一つである藻場(さまざまな海藻や海草が生える場所)は現在、国内のみならず世界各地で衰退や減少が報告されており、その回復はCO2吸収源の確保と水産資源の維持・増大、防災にもつながる重要な課題です。そこで海藻類の生育を促進する材料を混入した基盤ブロックと、海藻移植用カートリッジの軽量化などの技術を確立し、これらを組み合わせることで藻場を効率的に回復・造成する海藻供給システムを開発します。

事業テーマの詳細と実施予定先は、以下の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。

【注釈】

※1 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト
別ウィンドウが開きます グリーンイノベーション基金事業 特設サイト
※2 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※3 研究開発・社会実装計画
グリーンイノベーション基金の適切かつ効率的な執行に向けて、農林水産省においてグリーンイノベーション基金で実施する「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」プロジェクトの内容を PDFリンク 「研究開発・社会実装計画」として策定しました。
※4 ブルーカーボン生態系
ブルーカーボンとは、海洋生物の作用により、大気中から海中へ吸収されたCO2由来の炭素のことです。
マングローブ林や塩性湿地(海岸にある湿地)、海草藻場などは、海中のCO2を吸収し、海底に有機炭素として貯留するため、ブルーカーボン生態系と呼ばれます。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新領域・ムーンショット部 担当:玉木、矢野、宮本、吉田
TEL:044-520-5240 E-mail:gi-agri[*]nedo.go.jp

(グリーンイノベーション基金事業全体についての問い合わせ先)

NEDO グリーンイノベーション基金事業統括室 担当:木場、茂手木
E-mail:green-innovation[*]nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:橋本、坂本、黒川、鈴木、根本
TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

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