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グリーンイノベーション基金事業、「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に着手
―CO2資源化によるバイオものづくり製品の開発と社会実装、産業構造の変革を目指す―

2023年3月22日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOはグリーンイノベーション基金事業の一環として、「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」(予算総額1767億円)に着手します。

本プロジェクトでは、「有用微生物の開発を加速する微生物等改変プラットフォーム技術の高度化」、「CO2を原料に物質生産できる微生物等の開発・改良」、「CO2を原料に物質生産できる微生物等による製造技術等の開発・実証」の実現を目指して研究開発・実証を行います。

NEDOは本事業を通じて、CO2資源化によるバイオものづくり製品の開発と社会実装により、カーボンニュートラル実現に貢献するとともに、産業構造の変革を目指します。

1.グリーンイノベーション基金事業について

日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど現行の取り組みを大きく加速させる必要があります。このため、経済産業省はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げました。

なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくことを目指し、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト※1」を公開しています。

2.本プロジェクトの背景

本基金事業はグリーン成長戦略※2で実行計画を策定している重点分野を支援対象としており、その一つが「カーボンリサイクル・マテリアル産業」です。日本の部門別の二酸化炭素(CO2)排出量(電気・熱配分後)のうち、製造業・工業プロセスが占める割合は36.7%です。このうち化学製品、繊維製品、食品飲料の製造業からは21.9%の年間8901.7万トンのCO2が排出されており、これらの業種では、特に、CO2を原料に植物や微生物などの生物を用いて物質を生産できるバイオものづくり技術を普及させることで、CO2排出量の削減が期待できます。

また、国内の発電所や工場などから排出されるCO2を効率良く利用できるようになれば、バイオマス資源由来の糖や油脂を原料とするよりも、国内での炭素固定化やバイオマス資源運搬時のCO2排出量削減にも寄与できる可能性があります。

これらを踏まえ、NEDOは経済産業省が策定した研究開発・社会実装計画※3に基づき、このたび「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進※4」プロジェクトの公募を行い、三つの研究開発項目で合計6テーマを実施予定先※5として採択決定しました。

3.事業内容

「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向け、CO2を原料とした新しいバイオものづくり製品の開発と社会実装により、カーボンニュートラル実現に貢献するとともに、CO2の資源化による産業構造の変革を目指し、以下のテーマに取り組みます。

名:
グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進
算:
1767億円(NEDO支援規模)
実施期間:
2023年度~2030年度(予定)
テーマごとにステージゲート審査を設定します。

実施テーマ:

【研究開発項目1】有用微生物の開発を加速する微生物等改変プラットフォーム技術の高度化

2030年までに、DBTLサイクル※6の1サイクルあたりの時間を短縮するための技術開発と、サイクル回数を削減しコストを低減する技術を確立することで、有益な働きをする微生物(有用微生物)の開発期間を最大10分の1程度に短縮する技術を確立します。

【研究開発項目2】CO2を原料に物質生産できる微生物等の開発・改良

2030年までに、一般的な天然株と比較して物質生産機能またはCO2固定化能を5倍程度向上させ、商用レベルで物質生産できる微生物(商用株)を開発、もしくは既に物質生産機能またはCO2固定化能の高い微生物にゲノム編集などを行って生産機能などを保ちながら従来とは異なる原料・目的物質を利用可能な微生物を開発します。

【研究開発項目3】CO2を原料に物質生産できる微生物等による製造技術等の開発・実証

2030年までに、微生物などを用いて、CO2を原料として生産した物質の製造コストが、2030年時点の代替候補の製品の1.2倍以下となる技術を開発します。

事業テーマの詳細と実施予定先は、以下の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。

【注釈】

※1 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト
別ウィンドウで開きますグリーンイノベーション基金事業 特設サイト
※2 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日に経済産業省が関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※3 研究開発・社会実装計画
グリーンイノベーション基金の適切かつ効率的な執行に向けて、経済産業省においてグリーンイノベーション基金で実施する「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」プロジェクトの内容を「研究開発・社会実装計画」として策定しました。
※4 バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進
別ウィンドウで開きますバイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進
※5 実施予定先
実施予定先が採択条件を満たさない場合は不採択扱いとなる場合があります。
※6 DBTLサイクル
設計(Design)、構築(Build)、評価(Test)、学習(Learn)のワークフローを指します。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部 担当:矢追、林(智)、西潟、向井
TEL:044-520-5220 FAX:044-520-5223 E-mail:gi-bio[*]nedo.go.jp

(グリーンイノベーション基金事業全体についての問い合わせ先)

NEDO グリーンイノベーション基金事業統括室 担当:井上、堀、茂手木
E-mail:green-innovation[*]nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:橋本、坂本、黒川、鈴木、根本
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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