「素材開発」、「製造」、「物流・交通」分野で、量子・AIハイブリッド技術を活用した開発・実証を開始
―2035年CO2排出量1342万トン削減、新規市場獲得約650億円に向けて貢献―
2023年6月28日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
NEDOは「量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」において、量子技術と人工知能(AI)を組み合わせた「量子・AIハイブリッド技術」を活用し、従来技術では解決が困難な課題などに対応可能なアプリケーションとライブラリの開発・実証を開始しました。この「量子・AIハイブリッド技術」を産業に応用することで、計算能力の飛躍的向上やデータ利用の高度化を実現し、従来技術では達成できない生産性の向上や省エネルギー化を実現するユースケース創出に取り組みます。
本事業を通じて「素材開発」、「製造」、「物流・交通」の分野における2035年時点での年間1342万トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減と、約650億円の新規市場獲得への貢献を目指します。

1.概要
日本は目指すべき社会像として「Society5.0※1」、「データ駆動型社会※2」を掲げており、これらに関連する産業政策を進める上で、AIは産業競争力の源泉となる重要技術です。また、量子技術はAI技術を飛躍的、非連続的に発展させる鍵となる基盤技術です。
2022年4月に内閣府統合イノベーション戦略推進会議が策定した「量子未来社会ビジョン※3」では、量子技術の研究開発や社会実装を加速・強化し、日本における産業の成長機会創出、カーボンニュートラルなど持続可能な社会の実現に対応することを喫緊の課題としています。併せて、量子技術はAIなどの計算機科学、情報通信技術などにおいて、従来型(古典)技術システムとも密接に関連し、これらと融合、一体化させながら取り組みを推進することが重要であると提言されています。
このような背景の下、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、「量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」を開始します。量子技術(量子inspired技術を含みます)とAIを組み合わせて活用する“量子・AIハイブリッド技術”を産業に応用することで、計算能力の飛躍的向上やデータ利用の高度化を実現し、従来技術では達成できない生産性の向上や省エネルギー化のためのユースケース創出に取り組みます。
本事業を通して、「素材開発」、「製造」、「物流・交通」の分野における2035年時点での年間1342万トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減、および早期にビジネスモデルやサプライチェーン、国際共同開発体制を構築することで約650億円の新規市場獲得への貢献を目指します。
2.採択テーマ
本事業では「量子・AIアプリケーション開発・実証」「量子・AIの最適化等に向けたライブラリ開発」を実施します。
【1】事業名
量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業
【2】予算
2023年度予算 10億円
【3】期間
2023年度~2027年度
【4】研究開発項目
研究開発項目 | 内容 |
---|---|
[1]量子・AIアプリケーション開発・実証 | 「素材開発」、「製造」、「物流・交通」の分野において、量子・AIハイブリッド技術を活用し、従来技術では解決が困難な規模や複雑さを有する事業課題を解決可能なアプリケーション(量子・AIアプリケーション)開発を行います。 また、開発した量子・AIアプリケーションにて、量子・AIハイブリッド技術の従来技術に対する優位性(技術優位性)および事業化に対する有効性(事業有効性)について実環境下での実証を行います。 |
[2]量子・AIの最適化等に向けたライブラリ開発 | 量子・AIハイブリッド技術を活用し、従来技術では解決が困難な事業課題の規模や複雑さに対応可能で、「素材開発」、「製造」、「物流・交通」の単一分野または複数の関連分野で共通的に使用可能なアルゴリズムなどで構成するライブラリ(共通ライブラリ)の開発および有効性の評価を行います。 また、開発した共通ライブラリの「完全性、可用性を維持した継続的な使用」、「より効果的な利用」を可能とし、「開発分野の業界全体での活用および利益創出への貢献」を実現する、共通ライブラリの管理体制(基盤システムなど)の構築・整備を行います。 |
各研究開発項目の実施予定先は、(別紙)実施予定先一覧をご覧ください。
【注釈】
- ※1 Society5.0
- 第5期科学技術基本計画(2016年1月22日閣議決定)において、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された概念で、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)です。
- ※2 データ駆動型社会
- サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムを、IoTによるモノのデジタル化・ネットワーク化によって様々な産業社会に適用し、デジタル化されたデータが、インテリジェンスへと変換されて現実世界に適用されることで、データが付加価値を獲得して現実世界を動かす社会。
- ※3 量子未来社会ビジョン
- (出典)
量子未来社会ビジョン
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO ロボット・AI部 担当:江下、髙岸、吉本
E-mail:quantum_ai[*]ml.nedo.go.jp
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:根本、坂本(信)、橋本、瀧川、黒川
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp
E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。
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