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「ポストコロナ社会におけるイノベーション像」を公表
―コロナ・パンデミック発生による世界の変化、今後求められる技術分野を提示―

2023年8月22日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(コロナ・パンデミック)が発生してから3年間でどのような社会変化が見られ、また、今後の社会において重視するベきイノベーション像は何かについて、さまざまな分野でのイノベーション創出に向けた気づきや議論の土台となるよう、多様な分野における専門家・有識者の意見をまとめた、TSC Foresight短信レポート「ポストコロナ社会におけるイノベーション像」(以下、本レポート)を公表しました。

今後、重要性が浮き彫りとなった各分野で、技術戦略を策定し、プロジェクトの企画・立案を行い、技術の社会実装への道筋を着実に進めていくとともに、グローバルかつ多様な視点で社会の変化を敏に捉え、将来像を描き、「イノベーション・アクセラレーター」としての役割を強化し、世界的な課題解決に貢献します。

1.概要

2020年6月にTSC短信レポート「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」(以下、コロナレポート2020)を公表してから3年がたち、コロナ禍だけでなくロシアによるウクライナ侵略や米中覇権争いの激化、2050年のカーボンニュートラルに向けた機運の高まりなど、世界情勢は大きく変化し、さまざまな課題が浮き彫りになりました。

今般、コロナレポート2020で想定した予測などが実際どの程度進展したのか、また、ポストコロナ社会における新たな潮流やイノベーション像について、多様な分野における専門家・有識者に対してアンケート調査(以下、調査)を実施しました。この3年間の変化・動向を、さまざまな分野でのイノベーション創出に向けた気づきや議論の土台となるよう、調査結果をまとめた、TSC Foresight短信レポート「ポストコロナ社会におけるイノベーション像」を公表しました。

2.調査の詳細

コロナレポート2020で想定した社会変化およびイノベーション像を起点とし、以下二つの観点で調査を行い、本レポートをまとめました。

【1】コロナ・パンデミック発生後の社会変化

今回の調査から見えてきた社会変化として顕著な進展が見られたのは、デジタルシフトです。日本を含めて世界的に着実に進展しましたが、日本はデジタルシフトの恩恵を十分に享受していない状況も明らかになりました。

また、ロシアによるウクライナ侵略という想定外の国際情勢の変化の影響もあり、エネルギー・経済・食料の三つの安全保障にかかる課題が世界に突き付けられました。特に、サプライチェーンでは特定国依存からの脱却の意識も強まりました。

このような国際情勢の変化を受けた産業構造の変化に対して、主要各国ではエネルギー・気候変動対策とサプライチェーン強じん化のための大型予算を導入するなど、産業政策と技術開発を一体で進める新たな潮流が見られました。

日本では政府の戦略や制度にあわせてグリーンイノベーション基金や経済安全保障にかかる基金が造成されたように、主要各国にこのような産業構造の変化がありました。こうした状況を踏まえ、研究開発支援だけではなく、技術の社会実装に向けた制度やインフラ整備も含めた多角的・多層的な支援を加速し、世界の潮流に迅速に対応することが重要であるという課題も浮き彫りとなりました。

【2】ポストコロナ社会におけるイノベーション像

今後、NEDOが注目するべきであるイノベーション像は何かについて調査を行ったところ、持続可能な社会の実現に向けた「再エネ・エネルギーシステム」が特に重要という結果となりました。加えて、「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」や「環境材料・バイオ生産」といった循環型システムも重視するべきであるとの意見も多く、これまでの持続可能な社会だけではなく、「循環型・脱炭素型の持続可能な社会の実現」が期待されていることが分かりました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けては、人工知能(AI)をさらに活用する重要性に言及する意見が多く挙がりました。その応用分野として、高齢化社会や人口減などの日本を取り巻く課題に対して労働力の補完を目指す「製造業サプライチェーン」や、医療クオリティーを維持・向上させるための「医療・介護分野」が期待されています。今後の新たなパンデミックやクライシスへの備えという観点からも、「AIのさらなる活用によるDX」の重要性が改めて浮き彫りとなりました。このようなイノベーション像の実現には、コロナ・パンデミック前には強く意識されなかったサプライチェーンや経済安全保障といった観点を捉えて、求められる技術開発を進めていくことが必須となることから、新たな国際連携や国際協調の意義も強調されました。特に日本は、価値観を共有する国々と戦略的に信頼を築き上げていくことの重要性も示唆されました。

3.今後の予定

NEDOは、重要性が浮き彫りとなった各分野で、技術戦略を策定し、プロジェクトの企画・立案を行い、技術の社会実装への道筋を着実に進めていくとともに、グローバルかつ多様な視点で、社会の変化を敏に捉え、将来像を描き、「イノベーション・アクセラレーター」としての役割を強化し、世界的な課題解決に貢献します。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 技術戦略研究センター 担当:海外技術情報ユニット
TEL:044-520-5150 E-mail:tsc-global-unit[*]ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:黒川、瀧川、坂本(信)、根本
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

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