社会のさまざまな課題を解決するため、技術戦略に基づいたチャレンジングな研究開発を推進し、新たな産業システムへの変革や徹底した省エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの導入加速等、世界に先駆けたイノベーション実現を目指します。
エネルギーシステム分野
エネルギーシステム技術
蓄電池/水素エネルギー/燃料アンモニア/スマートコミュニティ/系統制御
水素エネルギー分野では、水素利活用の大幅な拡大に向け、燃料電池、水素ステーション、水素発電、大規模水素サプライチェーン、Power to Gasなど、水素の製造から輸送・貯蔵、利用に至る技術開発を推進しています。蓄電池分野では、現行のリチウムイオン電池の性能を凌駕する全固体リチウムイオン電池や新原理の革新型蓄電池の研究開発を行います。
また、再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車、ヒートポンプなどの分散型エネルギー資源の効率的かつスマートな活用による、強靱で持続可能なエネルギーシステムの構築を目指し、系統制約の克服などにかかわる国内での技術開発に取り組むとともに、世界のさまざまな事業環境下での実証をとおして、技術、ビジネス面からエネルギーシステムの有効性を検証しています。
再生可能エネルギー技術
太陽光/風力/バイオマス/地熱/再生可能エネルギー熱利用
再生可能エネルギーの大量導入と主力電源化等を図るため、太陽光、風力、バイオマス、熱利用分野について、コスト低減等に係る技術開発や導入に向けたガイドライン等の策定を進めています。太陽光分野では壁面や移動体等の新市場への用途拡大や長期安定利用に係る技術開発、風力分野では浮体式風力発電システムの実証や、ウィンドファーム開発支援等を行っています。また、バイオマス分野では持続可能な航空燃料(SAF)や木質バイオマス燃料に係る技術開発および実証、熱利用分野では超臨界地熱に係る技術開発や再生可能エネルギー熱(地中熱、太陽熱等)利用システムの技術開発等を行っています。
省エネルギー・環境分野
省エネルギー技術
革新的な省エネルギー技術
政府が策定した「第6次エネルギー基本計画」では、2030年度までに最終エネルギー消費を原油換算で6,200万kL程度削減する徹底した省エネルギーが求められています。NEDOは日本の経済成長と両立する持続可能な省エネルギーの実現を目指し、産業、民生、運輸、エネルギー転換・供給、部門横断など多岐に渡る革新的な省エネルギー技術の研究開発等を推進しています。
次世代火力・CCUS技術
高効率火力発電/二酸化炭素分離・回収、有効利用、貯留/水素還元製鉄
2050年カーボンニュートラルに向け、様々な技術が求められています。NEDOでは、CO2排出量の低減を目指し、より高効率な発電技術や、CO2の発生しないアンモニア利用技術、並びに水素還元の製鉄技術の研究開発を進めています。あわせて、CO2を固定化する技術として、排出されたCO2を分離・回収して有効利用や貯留する技術(CCUS、カーボンリサイクル)の研究開発に取り組んでいます。
環境・省資源技術
3R/フロン対策/水循環
環境・省資源技術分野では、都市鉱山を活用した有用金属、廃プラスチックおよびアルミニウム素材のリサイクルシステム構築による資源循環利用を推進するための技術開発に取り組んでいます。
また、温室効果ガスの一種であり、現在大幅に排出量が増加している冷凍空調機器分野の代替フロン(HFC)について、HFC冷媒を使用する冷凍空調機器に対し低温室効果冷媒への転換を促進する技術開発を行うことで、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。さらに、省エネルギー・低環境負荷の水循環システムや、海水淡水化等、日本の持つ水処理技術・システムの海外実証を行い、日本の水関連産業の国際競争力強化に取り組んでいます。
産業技術分野
ロボット・AI技術
人工知能(AI)/ロボット/ドローン/空飛ぶクルマ/航空機電動化
人工知能(AI)技術については、「生産性」「空間の移動」等の重点分野におけるAI技術の社会実装、人と共に進化するAIシステムやAIを活用した革新的リモート技術、量子・AIハイブリッド技術を活用したユースケース創出のための次世代AI技術の開発に挑戦するなど、「Society5.0」の実現に向けた研究開発を推進します。
ロボット技術については、多品種少量生産現場や配送事業をはじめとするロボット未活用領域においても対応可能なロボットの開発を推進します。
さらに、ドローンや空飛ぶクルマについて、安全に飛行できる社会の実現に向けた性能評価基準の開発や運航管理技術など、次世代空モビリティの実現に必要な研究開発の他、最新の航空機用電動推進システムの研究開発等に取り組みます。
IoT/電子・情報技術
IoT(Internet of Things)/コンピューティング/パワー半導体
IoT・AI・ビッグデータを活用し社会の課題を解決するため、実社会のデータを収集し、蓄積、解析、制御・サービスとして実社会への適用・フィードバックを行う各段階での研究開発を実施しています。また、省電力・高速処理を可能とする電子デバイスや省エネルギーの鍵となるパワー半導体、RISC-Vシステム設計プラットフォーム開発など、ハード・ソフトの両面から推進しています。
IoTを活用する企業、大学、研究機関などと連携し、個別の技術開発のみならず、既存のビジネスにとらわれない新しい事業や社会課題解決につながるサービスを生み出し、IoTの社会実装に貢献します。
ものづくり技術
ダイナミック・ケイパビリティ/積層造形
エネルギー消費を大幅に削減できる少量多品種生産に対応した製造システムや、サイバー空間を活用した新たな製造システム等の実用化に向けた研究開発に取り組んでいます。具体的には、5G等の活用によるダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた技術や、高付加価値な部品等の製造に適した三次元積層造形技術(3Dプリンター)等の開発と社会実装を推進し、「Society 5.0」の実現を支えます。
材料・ナノテクノロジー
構造材料/機能性材料/化学品製造/インフォマティクス
金属・樹脂・セラミックスをはじめとする日本の材料産業は、世界的に高い技術力を有しており、製造業全体を支える重要な基幹産業となっています。ナノテクノロジー(物質の構造をナノ領域(10-9m)で制御する技術)を材料開発に生かしつつ、川上・川下産業、異分野異業種の連携を図り、革新的な材料を創出することで、日本の産業技術力強化を目指しています。
バイオエコノミー関連技術
セルロースナノファイバー(CNF)/バイオものづくり/海洋生分解性プラスチック
近年のバイオテクノロジーの革新により、日本においても当該分野での競争力強化が急務になっています。将来の石油枯渇リスク等に備え、CNFを用いた樹脂複合材料等の関連技術開発、海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発、植物や微生物を制御・改変してバイオによるものづくりを実現させる技術開発や実生産への橋渡しを効率的に行うバイオファウンドリ基盤の整備等に取り組んでいます。
新産業創出・シーズ発掘等分野
スタートアップ含む中小企業の事業化支援
技術シーズの発掘から実用化研究まで支援を実施
技術シーズの発掘から実用化研究開発まで様々なフェーズを対象として、分野横断的な支援を行います。また、事業化に向けてベンチャーキャピタルや法律・会計・知財等の専門家からの助言を行う制度も設けています。技術面のみならず、ビジネス面での支援も行い、技術シーズを事業化につなげることを目指しています。
オープンイノベーションの促進
マッチング支援・オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)
新たなビジネスモデルの創出のために外部の技術・アイデア等を活用するオープンイノベーションの推進を目的として、NEDO事業者と外部企業等とのマッチングイベントやオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会におけるピッチイベントの開催、国内外成功事例の調査・共有を通じて、オープンイノベーションの促進に努めています。
2040年以降を見据えた産業技術の芽を育成
NEDO先導研究プログラム
脱炭素社会の実現や新産業の創出に向け、2040年以降に実用化・社会実装を見据えた革新的な技術シーズを発掘・育成します。これにより、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目指します。
若手研究者発掘支援
官民による若手研究者発掘支援事業
実用化に向けた目的志向型の創造的な基礎または応用研究を行う大学等に所属する若手研究者を発掘し、若手研究者と企業との共同研究等の形成を促進する等の支援をすることにより、次世代のイノベーションを担う人材を育成するとともに、日本の産業技術力向上に貢献することを目指します。