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予告「電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業(日本版コネクト&マネージ2.0)/研究開発項目3-2 水力発電の柔軟性向上のための技術開発」に係る公募について(予告)

2025年9月4日

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)は、「電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業(日本版コネクト&マネージ2.0)」の「研究開発項目3-2水力発電の柔軟性向上のための技術開発」を対象に、実施者を一般に広く募集する予定です。複数で受託を希望する企業等でのコンソーシアムによる提案も受け付ける予定です。

対象者、開始予定日など公募概要はこちら

募集事業について

1.事業内容

(1)日本版コネクト&マネージ2.0事業の概要

2021年10月に決定した「第6次エネルギー基本計画」において、2030年の再生可能エネルギー(再エネ)比率として36~38%程度を、2025年2月18日に決定した「第7次エネルギー基本計画」において、2040年の再エネ比率として4~5割程度を実現することが示され、安全性を大前提とし、エネルギーの安定供給、経済効率性、環境適合(S+3E)を同時達成しつつ再エネの導入を進める必要性がますます高まっている。他方、我が国の電力系統の整備状況は、この再エネ導入量を前提としたものに必ずしもなっておらず、再エネ導入量の増加に伴いさまざまな課題が顕在化しつつある。特に、自然条件によって出力が変動し、適地に偏りのある再エネについて、系統制約の課題を解消し電力系統に接続するためのコスト(統合コスト)を抑制し導入を進めることは喫緊の課題である。

本事業では、S+3Eの前提に立ち、統合コストを可能な限り低減し再エネの導入を促進することを目指し、電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発を実施する。具体的には、「DER等を活用したフレキシビリティ技術開発」、「市場主導型制御システムの技術検討」、「バイオマス発電・水力発電・地熱発電の柔軟性向上のための技術検討(水力発電の柔軟性向上のための技術開発)」を一体的に行い、日本版コネクト&マネージ2.0としてシステム全体での最適化を目指す。

(2)「研究開発項目3-2水力発電の柔軟性向上のための技術開発」の概要

【背景】

バイオマス発電・水力発電・地熱発電は、系統混雑時に出力制御を受けることを前提としたノンファーム型接続(新規に接続するあるいは増出力する電源)やFIT切れのファーム型接続が増えることが想定され、現状のように単にkWhで全量売電するのみならず、市場価格に応じた出力調整や、需給調整市場等でのΔkWの取引を行うことを含め、電源の設備利用率の高さが発電事業者にとっては重要となる。そこで、kWhの価値を提供し、再エネ連系量及び発電量を増やす可能性を探るため、出力変化速度の向上や最低出力の引き下げ等といった当該電源の柔軟性向上の限界とその要因を明らかにする「バイオマス発電・水力発電・地熱発電の柔軟性向上のための技術検討」(FS)を2025年5月末までに実施してきた。

特に、国内の一般水力(1,000kW以上)は1,362地点あり、新規水車の導入はさることながら、その大半の既存設備の大改修時代が到来することが見込まれる。ノンファーム型接続及びFIT切れを中心としたファーム型接続の水力発電が、系統混雑にかかわらず需給制約時に火力発電等に代わって調整力を発揮することにより、火力発電等の燃料費・起動費、再エネ出力制御量、CO2排出量の大幅な削減が見込まれる。NEDOによる試算では、2040年に少なくとも国内で190億円/年の燃料費・起動費の削減効果が期待される。

他方、水力発電の柔軟性向上に向け、部分負荷運転や高速・高頻度な出力調整・起動停止にあたっては、水車各部への荷重、振動、壊食、摩耗や水圧鉄管の水撃波伝播などの負担が増加するため、水車の信頼性や耐久性の低下に対する保守コストの増加への対策が必要となる。また、運用面では、出力制御によって短時間で出力を下げる場合、流れ込み式発電所では溢水が発生し、ダム式、調整池式発電所では、無効放流量が増加する可能性があり、その分が減電となるため、経済性の確保が課題となる。逆に出力を短時間で上げる場合は、河川水位が急激に上昇するため、流域の安全性確保が必要となる。

すなわち、水力発電の柔軟性向上にあたっての問題は、運用上の溢水と減電による収益減と水車・発電機の劣化であり、これらを技術開発により解決することが必要である。

【内容】

本事業では、今後ノンファーム型接続をする中小水力発電については多数の水車導入による運用台数の制御によって、ファーム型接続済みの大規模水力発電については単機容量の運用幅の拡大によって発電量の柔軟性を向上させるため、以下の2点に対する技術開発を一体的に実施する。

  • 〔1〕中小型水車の設計・解析支援技術

運用の柔軟性向上のための中小型水車メーカへの技術支援及び発電事業者等における水車のトラブル対応支援を行い、また、柔軟性の高い運転が可能な水車形状を設計するため、中小型水車の設計標準化による低負荷時の高効率運転技術と高速・高頻度出力調整時の過渡応答抑制技術を開発する。

  • 〔2〕大型水車の極低負荷運転時の水車評価手法と最適運用・制御システム

極低負荷運転の可否を容易に判断できるようにするため、極低負荷運転に特徴的な流れの挙動を簡易に評価可能な手法等を開発し、模型試験により本手法の妥当性を検証する。さらに、運転や機器の状態等のデータと既存の制御システムとの取り合い方法などを標準化するとともに、高速・高頻度な出力調整の抑制に資するシステムとの協調制御を検討し、実機検証を行うことを通じ、発電電力量の向上と機器損耗の低減等を可能とする最適運用・制御システムを構築する。

・最終目標(2028年度末)

揚水式水力発電を除く一般水力を対象に、以下の〔1〕〔2〕を一体的に行い、中小型水車に関しては河川や農業用水等への多数の水車導入による運用台数の制御によって、大型水車に関しては単機容量の運用幅の拡大によって発電量の柔軟性を向上させる。

  • 〔1〕中小型水車の設計・解析支援技術の開発

模型試験プラットフォームを構築し、設計や過渡応答評価に必要な手法やツールを整備・公開する。さらに、中小型水車の導入を促進するため、様々な落差・流量に対応する種々の形式の水車について、標準設計(比速度70~600程度)として公開する。

  • 〔2〕大型水車の極低負荷運転評価手法と最適運用・制御システムの開発

実機検証を行うことを通じ、発電電力量の向上と機器損耗の低減等を可能とする最適運用・制御システムを構築する。極低負荷運転の評価手法や既存の制御システムとの取り合い方法などはメーカや発電事業者等に公開する。

・中間目標(2026年度初頭)

必要な検証の実施体制を構築し、技術開発・検証を2028年度末時点で完了する見通しを得る。

(3)事業期間

2025年度~2028年度(予定)

(4)公募期間

2025年10月上旬頃から1カ月程度

2.応募方法等

公募要領等の詳細は公募開始日にNEDOのホームページに掲載します。

e-Rad

府省共通研究開発管理システム(e-Rad)に提案内容等をご登録いただく必要がございます。提案内容のご登録方法等、詳細は公募要領等をご覧ください。e-Radをご利用になるためには、御所属の研究機関(企業、国立研究開発法人、大学等の法人)又は研究者本人がe-Radに登録され、ログインID、パスワードを取得しておく必要がございます。登録方法については以下のページをご覧ください。

新規タブで開くe-Rad ポータルサイト

なお、e-Radへの登録に日数を要する場合がありますので、2週間以上の余裕をもって登録手続きをしてください。

e-Radへの登録に関するヘルプデスク
電話番号:0570-057-060(ナビダイヤル)、03-6631-0622(直通)
受付時間:午前9時00分~午後6時00分(平日)
(土曜日、日曜日、国民の祝日及び年末年始(12月29日~1月3日)を除く)

3.その他

応募状況等により、公募期間を変更することがあります。公募期間を変更する場合には、NEDOホームページにてお知らせします。

公募情報に関するお知らせはNEDO公式X(旧Twitter)にて随時配信しております。ぜひフォローいただき、ご活用ください。

募集要項

技術・事業分野 電力ネットワーク
プロジェクトコード P24007
事業名 電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業(日本版コネクト&マネージ2.0) (研究開発項目3-2水力発電の柔軟性向上のための技術開発
事業分類 研究(委託、共同研究、助成)
対象者 企業(団体等を含む)、大学等
公募開始予定日 2025年10月上旬

問い合わせ先

再生可能エネルギー部
担当者:小笠原、下里、知念
E-MAIL:powergrid*nedo.go.jp(*を@に変えてください。)

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