地熱エネルギーのさらなる高度利用を目指す技術開発8テーマを採択
―未利用エネルギーの活用とIoT・AIによる発電システムの運転高度化目指す―
2018年7月4日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
NEDOは、地熱エネルギーのさらなる高度利用を目指した8件の技術開発テーマを新たに採択しました。
本事業では、これまで未利用であった酸性の地熱流体の活用のための腐食対策などを行う技術開発や、IoT・AI技術などを用いて地熱発電システムの運転管理などを高度化する技術開発を行います。
本取り組みを通じて、未利用の地熱エネルギー活用を目指すとともに、地熱発電所におけるトラブル発生率20%低減と利用率10%向上を目指し、地熱発電の導入拡大に貢献します。
1.概要
再生可能エネルギーの導入拡大が望まれる中、地熱は太陽光や風力とは異なり、安定した出力が得られることからベースロード電源として活用可能であり、世界第3位となる地熱資源ポテンシャルを有する日本では、地熱発電に大きな期待がかかっています。2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」においても、2030年までに地熱発電の導入見込量(地熱発電容量)として最大で約155万kWの導入拡大が掲げられています。
このような背景のもと、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2030年の目標達成に向け、地熱発電の導入拡大を促進するため、2013年度より「地熱発電技術研究開発※1」を立ち上げ、小型バイナリー発電システム※2の開発や環境保全対策に関する技術を開発するなどの成果を上げてきました。
今般、NEDOは、地熱エネルギーのさらなる高度利用を目指した技術開発として、これまで腐食性などにより従来未利用であった酸性の地熱流体の活用のための腐食対策などを行う技術開発を行う2テーマと、IoT・AI技術などを用いて地熱発電システムの運転管理などを高度化する技術開発を行う6テーマを新たに採択しました。本技術開発を2018年度から2020年度にかけて実施し、未利用の地熱エネルギー活用を目指すとともに、発電所のトラブル発生率の20%低減、発電所の利用率の10%向上を目指し、地熱発電の導入拡大に貢献します。
2.採択テーマと委託・助成予定先
採択テーマ名 | 委託予定先 |
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酸性熱水利用のための化学処理システム開発 | 西日本技術開発株式会社 国立大学法人九州大学 国立大学法人富山大学 |
未利用地熱エネルギーの活用に向けた技術開発 (在来型地熱資源における未利用酸性熱水活用技術の開発) | エヌケーケーシームレス鋼管株式会社 地熱技術開発株式会社 国立研究開発法人産業技術総合研究所 国立大学法人京都大学 |
採択テーマ名 | 委託予定先 |
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地熱発電システムにおける運転等の管理高度化に係る技術開発 | 地熱技術開発株式会社 西日本技術開発株式会社 三菱日立パワーシステムズ株式会社 学校法人早稲田大学 |
地熱発電システム(冷却塔排気)の管理高度化に関する研究開発 | 東北緑化環境保全株式会社 一般財団法人電力中央研究所 学校法人東京農業大学 |
硫化水素の高精度モニタリング装置に関する研究開発 | 株式会社ガステック 東北緑化環境保全株式会社 国立大学法人東北大学 |
地熱資源適正利用のためのAI-IoT温泉モニタリングシステムの開発 | 地熱エンジニアリング株式会社 西日本技術開発株式会社 横河電機株式会社 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
IoT-AI適用による小規模地熱スマート発電&熱供給の研究開発 | 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 一般財団法人エンジニアリング協会 一般財団法人電力中央研究所 国立大学法人熊本大学 |
採択テーマ名 | 助成予定先 |
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地熱発電所の利用率向上に関する研究 | 東芝エネルギーシステムズ株式会社 |
【注釈】
- ※1 地熱発電技術研究開発
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- 事業期間:2013~2020年度
- 事業予算:約87億円(2013~2020年度)
- ※2019年度以降の予算は予定額。 内容については、以下のURL参照。
- ※2 バイナリー発電システム
- 地熱流体が150℃程度以下の中低温の場合、分離した蒸気では直接タービンを回すことができないため、低沸点媒体(水より沸点が低い媒体)と熱交換し、この媒体の蒸気でタービンを回す発電方法。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:加藤、丸内 TEL:044-520-5183
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp