「次世代コンピュータが実現する革新的ビジネス」シンポジウムを開催へ
―量子コンピュータ/アニーリングマシンの最新動向を発信―
2019年3月18日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭
NEDOは、経済産業省と共に、次世代の革新的なコンピューティング技術のトップランナーである量子コンピュータ/アニーリングマシンの実ビジネスへの適用を見据え、その最新動向を発信するシンポジウムを、2019年5月20日に東京国際フォーラムで開催します。
近年、ビッグデータやIoT、AI技術などの普及により、ビジネスで扱う情報量が増加の一途をたどる中、無数の情報の組み合わせから瞬時に最適な答えを導くことが可能な技術として期待されているのが、アニーリングマシン等を用いた次世代コンピューティング技術です。
本シンポジウムでは、国内の先進的なユーザー企業や研究開発の第一人者、海外のリーディングカンパニーから、ビジネスへの適用事例、あるいは研究開発の動向などを紹介し、将来、本技術がもたらす革新的ビジネスの可能性について、発信します。
1.概要
情報通信技術の普及に伴い、世界の情報量は2年毎に倍増しているとされ、増大する情報を処理するIT機器の消費エネルギーも増大の一途をたどっています。その課題に対して従来のIT機器は、ムーアの法則というメガトレンドにのっとり、半導体の微細化による性能の高度化を解決アプローチの一つとしてきました。しかし、微細化の限界からムーアの法則の終焉が叫ばれ、既存技術の延長によるアプローチは限界を迎えつつあります。
こうした中、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、既存のIoT技術の高度化のみならず、ポストムーア時代の従来技術の延長にない情報処理技術の研究開発を推進するため、「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」プロジェクトを2018年度に開始しました。
本プロジェクトでは、無数の情報の組み合わせから瞬時に最適な答えを導くことが可能な技術として量子コンピュータの一種である量子アニーリングマシン※など、各アニーリングマシンを含む革新的な次世代のコンピューティング技術の開発を進めています。既に一部の基礎的な技術を用いた実用化が進められているものの、未だ多くの開発領域が残されており、ハードウェア、ソフトウェアの双方を高度化し、次世代のコンピューティング技術を実用化することで、情報処理に関して従来のコンピューティング技術との比較で1000倍以上のエネルギー効率を達成できるとも期待されています。
本プロジェクトの成果は、既存のコンピューティング技術に置き換わるイノベーションのトリガーとなる可能性を秘めている一方で、実用化からのビジネス化、社会実装を速やかに達成するためには、研究開発の段階から積極的な情報発信を行うだけでなく、導入が想定される業界の動向等も情報収集する必要があります。
そこで、NEDOは経済産業省と共に、量子コンピュータ/アニーリングマシンの実ビジネスへの適用を見据え、その最新動向を発信するシンポジウムを2019年5月20日に東京国際フォーラムで開催します。本シンポジウムは、NEDOプロジェクトの研究開発の一環として行うものであり、開催を通じて研究開発とその成果の普及が加速することが期待されます。
2.シンポジウムについて
【1】本シンポジウムの内容
本シンポジウムでは、アニーリングマシンの基礎理論から、ビジネス応用が期待される分野、現在開発が進められているより高度な方式、開発の最前線までを取り上げます。量子アニーリングマシンの理論提唱者として知られる国立大学法人東京工業大学の西森秀稔教授や、世界に先駆けて事業化を進めているD-Wave Systems Inc.のDan Cohrs氏らの講演に加え、その高度化や革新的な方式の研究開発事例について、NEDOプロジェクトを含め、研究開発を進める各社から紹介します。
■主たる講演内容
- アニーリングマシンとは何か、何故ビジネスに適用できるのか
- 先進的なユーザー企業による活用状況、今後のビジネス戦略
- ユーザー企業ハブ(※)における新たな適用領域の開拓状況
- アニーリングマシン開発の最前線、将来の可能性
※ 大学がハブとなり、ユーザー企業参画の下、ビジネスへの新たな適用領域の開拓等を進める取り組み。
当日のプログラムや講演者等の詳細:こちらの WEBサイト。
【2】日時・場所等
シンポジウムタイトル:経済産業省 政策シンポジウム
次世代コンピュータが実現する革新的ビジネス
~量子コンピュータ/アニーリングマシンが切り開く未来~
- 日時:
- 2019年5月20日(月)13時00分~16時50分(受付開始:12時15分)
- 場所:
- 東京国際フォーラム ホールB5(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)
- 参加費:
- 無料(事前登録制)
- 定員:
- 300席(申し込み多数の場合は、先着順)
【3】参加登録
申込はこちらの WEBサイト。
【4】開催体制
- 主催:
- 経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
- 共催:
- 学校法人早稲田大学、日本電気株式会社、株式会社日立製作所、
国立研究開発法人産業技術総合研究所、日本電信電話株式会社、富士通株式会社 - 後援:
- 一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人電子情報技術産業協会
- 事務局:
- 豊田通商株式会社
【注釈】
- ※ 量子アニーリングマシン
- アニーリングは無数の組み合わせの中から最適解を求めることを目的とした「組合せ最適化問題」における解探索を行うアルゴリズムであり、別名焼きなまし法と言われる。CMOSアニーリングやデジタルアニーラ、量子アニーリングなど、複数の方式が存在する。
そのうち量子アニーリングマシンは、量子コンピュータの原理である量子ゆらぎを用いて、「組合せ最適化問題」の解決に特化した専用計算機。従来のコンピュータにおける演算が1と0の2進数によるビット列で行われるのに対し、量子コンピュータの演算に用いられる量子ビットは1と0の2つの状態が重ね合わせの状態にあることから、理論的には1と0からなる膨大な組み合わせを一度に表現することが可能となる。そのため量子アニーリングマシンでは通常の情報処理に比べて大幅に計算時間を短縮させつつ、適切な回答が導かれることが期待できる。現在は、東京工業大学の西森秀稔氏らによって1998年に考案されたアイディアを用いて、カナダのD-Wave Systems Inc.が量子アニーリングマシンを実用化している。ただし、処理可能な情報の規模にかかる量子ビット数や結合方法、得られた回答の正確さと量子ビットが理想的な動作をするために必要な重ね合わせの保持時間、そして専用ソフトウェアと組み合わせたコンピューティング技術など、量子アニーリングそのものの方式を含めて開発領域は多数残されているだけでなく、量子アニーリングマシンを用いたビジネス領域の模索も開発と並行して積極的に行われている。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO IoT推進部 担当:岩本、遠藤 TEL:044-520-5211
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:藤本、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp
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