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超臨界地熱資源ポテンシャルの発掘に向けた地表調査を追加実施へ

―超臨界地熱発電技術研究開発事業の補強・加速を図る―
2019年7月1日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOは、超臨界地熱資源への調査井掘削の検討に向け、超臨界地熱資源の存在の可能性が高いと想定される地域で地表調査を追加実施します。本調査を通じて超臨界地熱資源の分布、性状、規模などを把握し、超臨界地熱発電技術研究開発事業の補強・加速を図ります。

  • 超臨界地熱系概念図
    図 超臨界地熱系概念図

1.概要

最近の一定条件を満たす火山地帯の調査の結果、3kmから5kmの深部には、400から500℃程度の高温・高圧の超臨界水※1が存在すると推定され、それを活用して発電する超臨界地熱発電は、従来の地熱発電よりも発電所当たりの大出力化が期待される発電方式です。

超臨界地熱発電技術は、政府が2016年4月に策定した「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI2050)」の中で温室効果ガス排出量を大幅に削減するポテンシャルのある革新技術の一つに位置づけられています。NESTI2050が示すロードマップでは、「実現可能性調査」、「調査井掘削のための詳細事前検討」、「調査井掘削」、「掘削結果の検証と実証実験への事前検討」、そして「実証試験」の5つのステップが組まれており、2050年頃の超臨界地熱発電技術の普及を目指しています。

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、このロードマップを踏まえ、超臨界地熱発電に関する実現可能性調査を2017年度に実施しました。その結果、世界各地の高温地熱地域のフィールドデータや現地調査結果から存在が想定される超臨界地熱システムモデルを元にした数値シミュレーションにより、1坑井※2当たり数万キロワット(kW)の発電が可能であること、および経済性評価については、条件次第では従来の地熱発電と同程度の発電コスト9円/kWhから12円/kWhに収まることが示されました。一方で、ケーシングなどの地下設備の資材開発(コストダウン検討を含む)、地熱熱水に含まれるシリカ成分の配管・タービンなどへの付着による地上設備のシリカスケール※3対策、酸性熱水などによる腐食対策などについて継続調査を行った上で、経済性を再評価する必要があるとの結果を得ました。

この結果を受け、2018年度から(1)超臨界地熱資源源量の調査と調査井に必要な仕様の詳細設計、(2)調査井の資材などの開発、(3)超臨界地熱貯留層のモデリング技術手法の開発、(4)これらを支援する革新的な要素技術の研究開発の4つの研究開発項目を実施しています。

今回NEDOは、超臨界地熱資源の調査井掘削の検討に向け、超臨界地熱資源の存在の可能性が高いと想定される地域での地表調査を追加実施します。本調査を通じて超臨界地熱資源の分布、性状、規模などを把握し、超臨界地熱発電技術研究開発事業の補強・加速を図ります。

当該検討結果については、今年度末に実施する本事業全体のステージゲート審査において、活用される予定です。

2.採択テーマと委託予定先

【事 業 名】超臨界地熱発電技術研究開発/超臨界地熱資源の評価と調査井に必要な仕様の詳細設計
【事業期間】2019~2020年度
【事業規模】3,000万円(2019年度)
【採択テーマと委託予定先】
(1)研究開発項目:超臨界地熱資源の評価と調査井に必要な仕様の詳細設計

採択テーマ名 委託予定先
八幡平地域における超臨界地熱資源の評価に関する研究開発 三菱マテリアルテクノ株式会社

【注釈】

※1 超臨界水
温度374℃、かつ、圧力22MPa以上の状態の水(純水の場合)です。
※2 坑井
地下の地質構造の探査や地下資源の採取などを目的に掘削された穴です。
※3 シリカスケール
地下での地熱水は、高温状態にあるためシリカが多量に溶解しています。この熱水が地上に生産されると、蒸気分離によるシリカ濃度増加と、温度低下による溶解度低下の要因により、熱水はシリカに過飽和となるため、シリカが析出し、配管や還元井に付着することがあります。超臨界地熱環境のような高温・高圧下では過熱蒸気中にもシリカが溶存すると推定されており、その対策が求められています。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:加藤、田口 TEL:044-520-5183

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、中里、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp