本文へジャンプ

多種多様な厨房機器データを統一管理するための共通基盤の開発を開始
―食品データの記録・保存負荷軽減と“安全・安心”な食品提供が可能に―

2019年10月24日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOの業界共用データ基盤の開発などを支援する「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」で(一社)日本エレクトロヒートセンター(JEHC)は、複数のメーカーが製造する冷蔵庫など多種多様な厨房機器データを統一管理するための共通基盤となる「厨房機器共通IoTプラットフォーム」の開発を開始します。

具体的には、食の安全・安心につながるHACCPに沿った衛生管理で重要となる「温度などを含む厨房機器の運転データ」を収集・共有するプラットフォームを構築したうえで、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を介して、食品事業者・メーカー・システム事業者などがデータを共有できるシステムの開発を行います。

本プラットフォームを利用することで食品事業者は、改正食品衛生法で求められるHACCPの一部または全部を取り入れた施設運営が容易になり、管理負担を軽減しながら、「食の安全・安心」を志向した食品を提供できるようになります。さらに本事業に参画する厨房機器メーカーは、プラットフォームから得られる機器の稼働データを活用し、故障の早期発見・予防保全などの取り組みにつなげることが可能となります。

図 「厨房機器共通IoTプラットフォーム」活用イメージ
図 「厨房機器共通IoTプラットフォーム」活用イメージ

1.概要

食品事業者は、「HACCP※1」に基づいた食品の衛生管理では、食中毒菌の増殖などを防ぐために食品の適切温度での保存や加熱とともに、その結果を記録し、保管しておくことが必要となります。

しかし、現在これらの管理は冷蔵庫やオーブンなどの厨房機器の表示温度を書き写すなどの手作業で行われており、人手不足などの課題を抱える食品事業者にとって、その作業が大きな負担となっています。この課題解決の手法として、一部の厨房機器メーカーは自動的に温度などのデータを保管するシステムを構築・販売していますが、対応できる厨房機器は一部に限られているほか、それらの記録保管方法は厨房機器メーカーごとに異なっており各社で統一されていません。

そこで今般、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の業界共用データ基盤の開発などを支援する「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業※2」で一般社団法人日本エレクトロヒートセンター(JEHC)は、厨房機器メーカー10社やシステム事業者で構成するワーキンググループを発足し、政府が推進する「Connected Industries」の概念に基づき、複数のメーカーが製造する多種多様な厨房機器のデータを統一して管理する共通基盤「厨房機器共通IoTプラットフォーム」を開発します。

具体的には、厨房機器から得られる温度などの稼働データを収集・共有化するための共通IoTプラットフォーム、厨房機器から本プラットフォームへのデータ連係方法(アップロード)やシステムなどでデータを活用するためのダウンロード方法を定義するアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)※3を開発します。

温度管理や設備管理など、HACCPで求められるユースケースにおいて共通IoTプラットフォームを活用することで、食品事業者は改正食品衛生法※4で求められるHACCPの一部または全部を取り入れた施設運営が容易になり、作業・管理負担を軽減しながら「食の安全・安心」を志向した食品を提供できるようになります。また、本事業に参画する厨房機器メーカー・システム事業者らは、本プラットフォームからAPIを介して得られる機器の稼働データから、故障の早期発見・予防保全などの取り組みにつなげることも可能となります。さらに将来は、本事業で得られるデータを活用し、自動調理やロボット化といった食品業界の新たな課題解決に貢献することを目指していきます。

2.採択テーマと助成事業者

事業名:
Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業/業界共用 データ基盤の開発/厨房機器共通IoTプラットフォームの開発
助成先:
一般社団法人日本エレクトロヒートセンター
助成先ワーキンググループ参画機関:
株式会社アイホー、エレクター株式会社、株式会社コメットカトウ、タニコー株式会社、株式会社中西製作所、ニチワ電機株式会社、日本調理機株式会社、福島工業株式会社、ホシザキ株式会社、株式会社マルゼン、一般社団法人日本厨房工業会、一般社団法人日本ガス協会、一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム、ウイングアーク1st株式会社
事業期間:
2019年度から最長2020年度

【注釈】

※1 HACCP
Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字からとったもので、「危害分析重要管理点」と訳されています。
食品など、事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるための特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会が発表し、各国にその採用を推奨している国際的に認められた手法です。
※2 Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業
Connected Industries重点5分野(自動走行・モビリティサービス、ものづくり・ロボティクス、バイオ・素材、プラント・インフラ保安、スマートライフ)を中心に、海外や他分野に横展開可能で、スタートアップなどの新規プレーヤーに開放的なデータエコシステムの構築につながる業界横断型AIシステムの開発と業界共用データ基盤の開発を通じて、AIシステムとデータプラットフォームが一体となったAI・データエコシステムの成功事例を創出し、国内企業にとどまらない幅広いデータ連携による価値の創出を促進する事業です。
※3 アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)
あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のことです。
※4 改正食品衛生法
改正食品衛生法は平成30年6月13日に公布され、HACCP制度化に関しては公布より2年後に施行、その後経過措置として1年間の猶予期間が設けられております。改正食品衛生法第五十条の二によると「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取り組み」との記載があり、この条文がHACCPによる衛生管理の制度化を指しています。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO IoT推進部 担当:大津、大宮、工藤 TEL:044-520-5211­ E-mail:cip@ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、中里、佐藤 TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

関連ページ