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CO2分離回収技術(固体吸収法)の石炭燃焼排ガスへの適用性研究に着手
―分離回収コスト削減に向け発電所での実証を実施―

2020年7月13日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOはCO2分離・回収コストの大幅な低減を図ることが期待される固体吸収法について、実際の石炭火力発電所で燃焼排ガスを用いたパイロット規模の試験を行う研究開発に着手します。委託先として川崎重工業(株)と(公財)地球環境産業技術研究機構を採択し、石炭火力発電所の燃焼排ガスを活用した長期連続運転によるCO2分離・回収試験を行うこととしました。本事業により、2030年までに固体吸収法の技術確立を目指します。

CO2排出量の大幅削減にはCO2を分離・回収し、地中への貯留(CCS)や、原料として利用するカーボンリサイクルを進めていくことが重要です。固体吸収法により、分離回収コストを現状の4,000円程度/t-CO2から2,000円台/t-CO2に低減できる可能性があります。

1.概要

経済産業省は2016年6月に策定した「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」で火力発電からのCO2分離・回収を重要項目と位置付けた上で、2019年6月の「カーボンリサイクル技術ロードマップ」で重要なCO2分離・回収技術として固体吸収法を挙げました。また、2020年1月の「革新的環境イノベーション戦略」ではCCUS/カーボンリサイクルの基盤となるCO2分離回収の技術確立・適用に向け、燃焼排ガス用の固体吸収法に関する研究開発を進めていく方針を示しています。CO2の吸収に固体吸収材※1を利用する固体吸収法はCO2吸収液を用いる化学吸収法と異なり、吸収したCO2の脱離に要するエネルギー消費量を低減できることからエネルギー効率の高い技術として期待されています。また、分離回収コストを現状の4,000円程度/t-CO2から2,000円台/t-CO2に低減できる可能性があります。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2018年から石炭火力発電所向けに固体吸収法(図)の実用化に向けた研究開発に取り組んできました。これまで革新的な固体吸収材の開発を進めてきており、ベンチスケール試験(数t-CO2/d)では目標であるCO2分離・回収エネルギー1.5 GJ/t-CO2※2の達成と、実用化を見据えた設備大型化へのめどを付けました。

これまでの成果を踏まえ、今般、NEDOは実燃焼排ガスを用いた固体吸収法のスケールアップ試験を実施することにしました。石炭火力発電所にパイロットスケール試験設備(数十t-CO2/dを想定)を設置し、長期連続運転によるCO2の分離・回収試験を行います。併せて固体吸収材の性能向上や製造技術・シミュレーション技術の高度化を進め、これらの成果をスケールアップ試験に反映します。本事業により、2030年までに固体吸収法の技術確立を目指します。

  • 石炭火力向け固体吸収法(移動層方式)のイメージ
    図 石炭火力向け固体吸収法(移動層方式)のイメージ

2.事業内容

事業名:
先進的二酸化炭素固体吸収材の石炭燃焼排ガス適用性研究
研究開発項目:
1) 石炭火力発電所などの燃焼排ガスを対象とした、パイロットスケール設備によるCO2分離・回収試験
2) 固体吸収材の性能向上、製造技術およびシミュレーション技術等の基盤技術開発
委託先:
川崎重工業株式会社、公益財団法人地球環境産業技術研究機構
事業期間:
2020年度~2024年度
予算:
63.5億円

【注釈】

※1 固体吸収材
CO2を吸収する性質を持つ固体材料です。NEDOでは、CO2を化学的に吸収するアミンを多孔質支持体に担持させたタイプを研究開発しています。
※2 CO2分離・回収エネルギー1.5GJ/t-CO2
CO2分離・回収プロセス全体で必要となるエネルギーをいいます。経済産業省が2019年6月に策定した「カーボンリサイクル技術ロードマップ」では、現行プロセスとして化学吸収法が2.5GJ程度/t-CO2であるのに対し、2030年目標として固体吸収法は1.5 GJ/t-CO2と、40%程度のエネルギー低減を図ることを目標としています。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:春山、越後、布川 TEL:044-520-5293­

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:佐藤、坂本、鈴木(美) TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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