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「ISGAN Award 2020」最優秀賞を日本初受賞

―スロベニアでのスマートコミュニティ実証事業の功績、将来の有望性を評価―
2020年7月31日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOは(株)日立製作所、スロベニア国営送電事業者のELES,d.o.o.とともに、スロベニアでスマートコミュニティ実証事業を共同で推進しており、今般、本事業の功績および将来の有望性が認められ、国際エネルギー機関(IEA)傘下のISGANが運営する「ISGAN Award 2020」の「Winner」(最優秀賞)を受賞しました。

ISGAN Awardは、世界各国のスマートグリッドに関する優れた取り組みを表彰するもので、NEDOおよび日本企業の最優秀賞の受賞は初めてです。

  • 実証事業のイメージ
    図 実証事業のイメージ

1.概要

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、株式会社日立製作所、スロベニアの国営送電事業者であるELES,d.o.o.と共同で、クラウド型の統合配電管理システム(統合DMS※1)およびエネルギー管理システム(AEMS※2)を用いたスマートコミュニティ実証事業※3を、両国が資金を拠出し推進しています。2016年から2019年にかけての第1フェーズではスロベニアの実配電系統において、クラウド型サービスにより初期投資および保守費用を削減した統合DMSを構築しました。さらに適正電圧の維持、停電時間の短縮や電力需要のピーク抑制など、同国が抱える課題を解決すべく付加価値の高い機能を導入・実証し、その有効性を確認しました。また2018年からの第2フェーズでは実証テーマを拡充し、蓄電池などの分散エネルギーリソースを活用して高度なエネルギー管理を実現する多機能のクラウド型AEMS構築の実証事業を推進しています。本事業は開始当初からスロベニア国内の複数地域にまたがって広く展開されており、スロベニア政府はナショナル・プロジェクトと位置付けていることから、その進捗は同国の経済開発・技術省およびインフラ省に定期的に報告されています。

このたび、本事業の功績および将来の有望性が認められ、NEDOは(株)日立製作所、ELES,d.o.o.とともに、「ISGAN Award 2020」において、最高位である「Winner」(最優秀賞)を受賞しました。本事業では電力ネットワークのデジタル化を通じて、需要家のリソースを効果的に活用する技術の実現を目指しています。これが電力の供給サイドと需要家が互いに利益を享受する形でエネルギー管理の推進を可能とするスマートグリッド技術として評価され、今回の受賞に至りました。なお、NEDOおよび日本企業の最優秀賞の受賞は初めてです。

ISGAN Awardは、世界各国で実施されるスマートグリッドに関する優れた取り組みを表彰するもので、今年で6回目の開催となります。国際エネルギー機関(IEA)傘下で、スマートグリッド関連技術の発展と普及を世界規模で促進することを目的に活動する公的ネットワークであるInternational Smart Grid Action Network(ISGAN)※4が、スマートグリッドの世界的な普及を推進する産業界の国際組織Global Smart Grid Federation(GSGF)※5と共同でISGAN Awardを運営しています。26の国と地域の政府や研究機関、産業界が参加する枠組みにおいて認められたことは、本事業の取り組みが国際的に高く評価されたことを示します。

2.スマートコミュニティ実証事業の概要

実証事業の第1フェーズ(2016年11月~2019年12月)では、複数の配電会社が利用可能なクラウド型統合DMSを開発し、スロベニアの首都リュブリャナ郊外のデータセンターにサーバーを集約・設置し、2社の配電会社に対して統合DMSのサービスを提供しました。統合DMSには基本機能に加え、電圧変動を緩和する電圧最適化機能を持たせることで、再生可能エネルギーの大量導入を阻害する要因の一つを解消しました。さらに停電時間を最小化する配電系統の事故復旧支援機能、電力需要ピークを抑制するデマンド・レスポンス(DR)※6機能など付加価値の高い機能を実装しています。

DR機能に関する実証は、当該事業に参画した地域住民に対して需要ピーク抑制の協力を促すため、スロベニア側の資金により一定期間の電気料金割引を導入するなど、現地関係者の全面的な協力のもと実施されました。その結果、需要ピーク抑制により一部の電力ネットワーク設備の増強が不要となり、電力ネットワーク利用料金の低減を実現することができ、電力の供給側と消費側が互いに利益を享受できる可能性を示唆しました。

実証事業の第2フェーズ[2018年10月~2021年3月(予定)]では、本事業で開発したAEMSと需要家側に設置した蓄電池、BEMS※7、HEMS※8などを連携させ、大口需要家および電力小売事業者向けのエネルギーサービス事業の確立を目指します。具体的には系統事故時の自立運転(アイランディング)、送電事業者への調整力の提供(アンシラリーサービス)、瞬時電圧低下対策などの機能について、第1フェーズとは別の配電会社2社の協力のもと実系統を使用して実証します。

3.今後について

実証事業の第1フェーズは2019年12月に終了しましたが、(株)日立製作所とELES,d.o.o.は実証運転データの分析・評価結果をもとに、クラウド型DMSをサービス形態で提供するビジネスモデルも含めて、実証エリア以外への普及展開を進めています。第2フェーズは実証機器の基本設計、製造を終え、今後は据え付け・運転など、事業の本格化を計画しています。特に実証テーマの一つであるアイランディングは、近年世界的に自然災害による被害が甚大化する傾向の中で、電力ネットワークの強靭化につながる技術として注目されており、早期の社会実装が期待されています。

【注釈】

※1 DMS
Distribution Management Systemの略で、配電系統の制御システムのことです。
※2 AEMS
Advanced Energy Management Systemの略で、大口需要家、電力小売事業者向けのエネルギー管理システムです。
※3 実証事業
事業名:スロベニア共和国におけるスマートコミュニティ実証事業
実施期間:2016年度~2020年度(予定)
※4 International Smart Grid Action Network(ISGAN)
再生可能エネルギー導入拡大、エネルギー消費低減、系統安定化技術の普及など、スマートグリッド関連技術の発展と普及を世界規模で促進することを目的に活動を行っています。2010年の第2回クリーンエネルギー大臣会合において、国際エネルギー機関(IEA)の実施協定として発足した国際的なイニシアティブで、現在、26の国と地域が加盟しています。日本は、経済産業省の指名により、NEDOが参加しています。
※5 Global Smart Grid Federation(GSGF)
世界各国のスマートグリッド関連の産業団体、企業等が集まった国際組織で、スマートグリッドに関する政府・非政府組織の協働支援や、各国の関連技術・施策の共有を行っています。日本からはスマートコミュニティ・アライアンスがメンバーとして参加しています。
※6 デマンド・レスポンス(DR)
電力系統の信頼性低下時などに、系統運用者の要請に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させることをいいます。
※7 BEMS
Building Energy Management Systemの略で、ビル内のエネルギーの流れ、生産、消費状態を管理し、効率的なエネルギーの運用を実現するためのシステムです。
※8 HEMS
Home Energy Management Systemの略で、家庭向けエネルギーの流れ、生産、消費状態を管理し、効率的なエネルギーの運用を実現するためのシステムです。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO スマートコミュニティ部 担当:横田、永吉、熊懐 TEL:044-520-5274­

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤、鈴木(美) TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp