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地熱発電の導入拡大に向けた研究開発に着手
―超臨界地熱資源開発や環境保全対策技術など14テーマを採択―

2021年7月15日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOは「地熱発電導入拡大研究開発」において、重点課題である「地熱資源のポテンシャル拡大」と「地域共生・環境保全」、「発電原価低減化」の解決につながる研究開発に着手します。このたび14件の研究開発テーマを採択し、超臨界地熱資源の詳細な資源量評価や地熱資源探査技術、環境アセスメントに役立つ環境保全対策技術のほか、IoTやAIなどを活用して発電原価を低減する高度利用化技術の開発に取り組みます。

地熱発電は発電コストが低く、安定的な発電が可能な再生可能エネルギーのベースロード電源として期待されています。NEDOは本研究開発を通じて大規模超臨界地熱発電所の実用化を目指すとともに、新たな地熱開発や地熱発電所の性能向上を後押しします。

1.概要

2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」で、地熱発電は発電コストが低く、安定的な発電が可能なベースロード電源と位置づけられました。同時に、エネルギーミックスの中で2030年度に最大で発電容量155万kW、発電電力量113億kWhの導入が掲げられています。

このような背景から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2019年度に国内外の地熱開発・地熱技術開発動向を調査し、2030年の導入目標達成および2050年の社会実装にあたり求められる技術開発テーマを探索・検討しました。そして、「地熱資源のポテンシャル拡大」と「地域共生・環境保全」、「発電原価低減化」を技術開発の重点課題として挙げました。

これらの課題解決に向け、NEDOは2021年度から新たな研究開発プロジェクト「地熱発電導入拡大研究開発」を立ち上げることとしました。本研究開発によって将来の大規模超臨界地熱発電所の実用化を目指すとともに、新規地熱開発や既存の地熱発電所の性能向上を促進し、国内における地熱発電のさらなる導入拡大を推進します。

2.採択テーマの内容

このたび採択した14件の研究開発テーマでは、まず地熱発電ポテンシャルが高いと想定される火山地帯の地表から3~5km深部にあると推定される高温・高圧の超臨界水※1を活用し、従来の地熱発電よりも大規模な出力が期待できる超臨界地熱発電の実現に向けた有望地域の地熱資源量の調査と、探査技術の開発を行います。また、国立・国定公園内での地熱開発や、開発地域のステークホルダーとの合意形成を可能にするための環境保全対策技術開発に取り組みます。さらに、IoTや人工知能(AI)の活用によって地熱発電設備や地熱貯留層の管理を効率化・最適化し、既存発電設備における発電量の引き上げや、新規地熱開発時の発電量向上、コスト削減につながる高度な管理技術の開発を目指します。

研究開発項目1-1「超臨界地熱資源技術開発(資源量評価)」

2020年度までに実施した「超臨界地熱発電技術研究開発」※2の成果を踏まえ、超臨界地熱資源が形成される可能性が高い地域で超臨界水の状態把握と資源量評価などを実施します。また、その資源量評価に基づき2025年度以降の調査井掘削に向けた仕様や安全衛生・環境保全対策の検討、経済性評価を実施し、将来の超臨界地熱発電の実現に取り組みます。対象地域は、八幡平、葛根田、湯沢南部、九重の4地域です。

  • 超臨界地熱資源の資源量評価実施箇所と温度分布図
    図1 超臨界地熱資源の資源量評価実施箇所と温度分布

研究開発項目1-2「超臨界地熱資源技術開発(探査技術)」

従来の探査技術では地下構造の十分な把握が難しい深部について、地震波モニタリング手法による深部地熱資源探査技術と、地震波の計測に用いる、より高温環境に耐えうる光ファイバーをそれぞれ開発します。探査については地熱開発地域およびその周辺での実証試験を実施し、観測・解析手法のマニュアル化を目指します。

  • 地震波モニタリング手法による深部地熱資源探査のイメージ図
    図2 地震波モニタリング手法による深部地熱資源探査のイメージ

研究開発項目2「環境保全対策技術開発」

地熱の環境アセスメントにおいて重要な課題である大気質(特に硫化水素)について、データの質・量を大幅に向上させ、予測・評価精度の引き上げにつながる硫化水素連続モニタリング装置を開発します。また、従来実施してきた気象観測を簡略化して調査期間を大幅に短縮させる気象モデル手法を開発し、環境アセスメントの改善を実現する環境保全対策の技術開発を実施します。

  • 既存の気象データからの気象モデル構築イメージ図
    図3 既存の気象データからの気象モデル構築イメージ

研究開発項目3「地熱発電高度利用化技術開発」

地熱発電所の生産量増大とコスト削減、利用率向上などを目指し、IoTやAIの利活用による地熱発電設備や地熱貯留層の管理効率化・最適化を行うため、貯留層の温度・圧力などの影響や坑内の状況を観測するモニタリング技術の開発や、AIを用いることで早期に異常を検知する手法の開発、また地熱貯留層から坑井・地上設備全体の複雑な循環系を総合管理するシステムの構築などに取り組みます。

  • 地熱総合管理システムの全体イメージ図
    図4 地熱総合管理システムの全体イメージ

3.事業概要

  • 【事業名】地熱発電導入拡大研究開発
  • 【事業期間】2021年度~2025年度
  • 【採択テーマと実施予定先】

【注釈】

※1 超臨界水
温度374℃、圧力22MPa以上の状態の水(純水の場合)。
※2 超臨界地熱発電技術研究開発
サイト内リンク 超臨界地熱発電技術研究開発

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:長谷川、加藤 TEL:044-520-5183­

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、橋本、鈴木(美) TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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