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NEDOムーンショット型研究開発事業で、新たに5件のプロジェクトを採択
―自然のCO2吸収能力を人為的に加速させる技術の見極めに着手―

2022年9月26日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは、国が定めたムーンショット目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」の達成に向けて、新たな技術の見極めのためのプロジェクトを5件採択しました。採択した5件では「自然の二酸化炭素(CO2)吸収能力を人為的に加速させて、効率的にCO2を回収・吸収する技術(自然プロセスの人為的加速)」の可能性(効果や普及ポテンシャルなど)を見極めるための研究開発を行います。

これまで、NEDOのムーンショット型研究開発事業では、CO2の削減コストや削減ポテンシャルの検証が比較的容易な工学的プロセスによる大気中からのCO2直接回収(DAC:Direct Air Capture)技術の開発に取り組んできました。今回の公募では、ネガティブエミッション技術にもつながりながら、CO2削減のインパクトも期待できる「自然プロセスの人為的加速」を新たに加えます。バイオマスや炭酸塩化によるCO2吸収能力を人為的に加速させる技術について見極めを行い、「地球温暖化問題の解決(クールアース)」に向けた取り組みを加速します。

持続可能な資源循環の実現に向けた今回の公募の概念図
図 持続可能な資源循環の実現に向けた今回の公募の概念

1.概要

内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)は、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する「ムーンショット型研究開発制度※1」を創設し、現在までに内閣府健康・医療戦略推進本部とともに九つ(CSTI決定:目標1~6、8、9、健康・医療戦略推進本部決定:目標7)のムーンショット目標※2を設定しました。

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、この九つの目標のうち、ムーンショット目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」に向け、経済産業省が策定した研究開発構想をもとに、挑戦的な研究開発(ムーンショット型研究開発事業※3)を2020年度から実施しています。CO2の削減コストや削減ポテンシャルの検証が比較的容易な工学的プロセスで大気中のCO2を直接回収(DAC:Direct Air Capture)して有益な資源に転換する技術や、農地や工場などから低濃度で排出されている窒素化合物を無害化・資源転換する技術、海洋に流出しても適切なタイミングとスピードで生分解するプラスチックの開発などに取り組んできました。

そして、このたびNEDOは本事業の追加公募を行い、「自然の二酸化炭素(CO2)吸収能力を人為的に加速させて、効率的にCO2を回収・吸収する技術(自然プロセスの人為的加速)」に取り組む5件の研究開発プロジェクトと、それらをマネジメントするプロジェクトマネージャーを採択しました。

2.事業内容

今回の追加公募では、「地球温暖化問題の解決(クールアース)」に向けて、以下の挑戦的な研究開発に取り組みます。

【1】実施期間

2022年度から2024年度までの3年間

【2】予算規模

1プロジェクトあたりの上限額は、2022年度から2024年度までで5億円

【3】研究開発内容

ネガティブエミッション技術※4にもつながりながら、CO2削減のインパクトも期待できる「自然プロセスの人為的加速」の研究開発に取り組み、その効果や普及ポテンシャルなどを見極めます。

  • バイオマスによるCO2吸収:
    大量のCO2を吸収することが可能な植物など(樹木や草類、海藻、海草類など)によるCO2の吸収を人為的に加速させる技術
  • 炭酸塩化によるCO2吸収:
    玄武岩などの岩石を粉砕・散布するなど、人為的に風化を加速させる技術(風化促進)

PDF(別紙)採択した研究開発プロジェクトとプロジェクトマネージャー、委託予定先一覧 (54KB)

【注釈】

※1 ムーンショット型研究開発制度
本制度の詳細については、以下を参照ください。
別ウィンドウが開きますムーンショット型研究開発制度
※2 ムーンショット目標
詳細については、以下を参照ください。
別ウィンドウが開きますムーンショット目標
ムーンショット目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
ムーンショット目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
ムーンショット目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
ムーンショット目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
ムーンショット目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
ムーンショット目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現
ムーンショット目標7:2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現
ムーンショット目標8:2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現
ムーンショット目標9:2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現
※3 ムーンショット型研究開発事業
詳細については、以下を参照ください。
概要:サイト内リンク ムーンショット型研究開発事業
※4 ネガティブエミッション技術
DACや生物機能利用と、貯留または固定化などを組み合わせることにより、正味としてマイナスのCO2排出量を達成する技術です。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新領域・ムーンショット部 ムーンショット型研究開発事業推進室

担当:吉田、小林(孝)、村田(穣)

TEL:044-520-5240 E-mail:moonshot-office[*]nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:根本、坂本、橋本、鈴木

TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

  • E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。
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