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「ハイパパラメータ最適化モジュール」の開発を競うコンテストの表彰式を開催
―競争的な環境下で技術開発を促し、AI技術力の底上げを目指す―

2023年4月19日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは人工知能(AI)の社会実装に向けた「次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発プロジェクト」(以下、本事業)の一環で開催した、「HPOモジュールコンテスト」の表彰式を4月24日にオンラインで行います。

NEDOは本事業のテーマの一つとして、AIの開発を効率化する技術の研究開発を行っており、その成果をオープンソースソフトウエア「aiaccel」として順次公開していきます。その第1弾として2022年に、AIの開発現場で時間を要している「ハイパパラメータの最適化(HPO)」を大幅に効率化する機能を実装したモジュールを公開しました。そして今回、競争的な環境下で技術開発を促すため、このモジュールを題材としたコンテスト「HPOモジュールコンテスト」を、2022年12月から2023年3月まで実施しました。

本コンテストでは、予選に参加した25人のうち上位10人で本戦を行い、ベンチマークを上回る性能のモジュールが複数開発されるとともに、新たなアプローチに基づくモジュールも開発されました。これにより、競争的な環境下で新しいアイデアに基づくHPOのアルゴリズムの開発が促進されました。

今後NEDOは、今回開発されたモジュールをオープンソースソフトウエアとして、本事業の研究開発に活用します。また今回の経験を踏まえ、第2回コンテストも予定しています。これらの取り組みにより、日本全体のAI技術の競争力の強化を目指します。

コンテスト(本戦)のホームページ画像

図1 コンテスト(本戦)のホームページ

1.概要

AI技術の社会実装を進める上で、大きな課題の一つが「開発期間の短縮」です。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2018年度から本事業※1で、この課題に対し幅広い技術開発に取り組んでいます。

この一環で国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が中心となって、AIの開発を効率化する各種の基本的なモジュール※2の開発を進めており、それらを統合してオープンソースソフトウエア(OSS)「aiaccel」として順次公開していきます。

その第1弾として、開発現場で時間を要し、効率化が求められているハイパパラメータ※3の最適化(Hyperparameter Optimization、HPO)を実現する機能を開発し、2022年にaiaccelの最初のモジュールとして公開しました。

aiaccelのモジュールは新たに開発したアルゴリズムを組み込み改良することができるため、そのような改良を通じたAI開発の効率化の推進には、大学や企業、海外の研究者など、より広範な参加者の、競争的な環境下での技術開発を促すことが効果的です。そこでNEDOは2022年12月から2023年3月まで、上述のHPOモジュールを題材として、高性能なHPOモジュールの開発を競うコンテスト「HPOモジュールコンテスト※4」(運営事務局を株式会社SIGNATEに委託)を開催しました。厳選な審査の結果、3月31日に入賞者が確定しましたので、このたび4月24日にオンライン(一般公開)で表彰式を行います。

2.コンテストの概要および表彰式

コンテストは予選と本戦の2段階で行われ、それぞれにおいて参加者が既存モジュールの改良や新規モジュールの開発により、その性能を競いました。予選に参加した25人のうち、上位10人が本戦に進み、産総研が運営する「AI橋渡しクラウド(ABCI)※5」を利用して開発および評価を行いました。本戦では、以下の二つの部門で入賞者を決定しました。

  • 【定量評価部門】プログラムで機械的に精度を判定。懸賞金:70万円。対象者数:5人。
  • 【定性評価部門】参加者の説明資料をもとに、開発アプローチの新規性および了解性を有識者が判定。懸賞金:25万円。対象者数:2人。
  • コンテスト本戦の結果画像
    図2 コンテスト本戦の結果(表が定量評価部門の結果。表の下が定性評価部門の結果。)

表彰式は以下の通り実施します。

  • ・開催日時:2023年4月24日(月)17時00分~18時30分
  • ・報告内容:主催者側から今回のコンテストの狙いを説明するとともに、入賞者に、参加の動機、今回のHPOの課題への取り組み方針、特に工夫した点について、簡単にご紹介いただく予定です。
  • ・視聴方法:表彰式はオンラインで視聴することができます。タイムテーブルなど詳細および視聴方法は以下の専用サイトで公開します。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。
    別ウィンドウで開きますHPOモジュールコンテスト表彰式申し込みフォーム

3.得られた成果および今後の予定

本コンテストでは、ベンチマーク※6を上回る性能のモジュールが複数開発されるとともに、新たなアプローチで新規のモジュールも開発されました。これにより、競争的な環境下で新しいアイデアに基づくHPOのアルゴリズムの開発が促進されました。

今後NEDOは、今回開発されたモジュールをOSSとして公開するとともに、コンテストで収集した開発・改良アプローチの調査や分析、入賞者へのヒアリングを行うことで、新たなアイデアの創出や人材の発掘・育成、先端AI関係者間のネットワーク構築の促進につなげていきます。さらに、2023年度に第2回のコンテストを開催し、大学や企業、海外の研究者などから広く参加者を募ることで、より競争的な環境下で技術開発を促し、日本全体のAI技術の競争力の強化を目指します。

【注釈】

※1 本事業
※2 モジュール
プログラムにおける特定の機能を持ったひとまとまりの構成要素です。なお、今回開発したHPOモジュールは、開発環境として産総研所有のAI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure、ABCI)を利用することも可能です。
※3 ハイパパラメータ
機械学習において、学習前に設定しなければならないパラメータです。学習する精度などに大きな影響を与えます。
※4 HPOモジュールコンテスト
※5 AI橋渡しクラウド(ABCI)
参考:別ウィンドウで開きますAI Bridging Cloud Infrastructure
※6 ベンチマーク
コンテストのスコアの基準としてコンテスト事務局が設定したスコアです。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:末岡、中井、新(あたらし)
TEL:044-520-5242(代表) E-mail:ai100145[*]nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:橋本、坂本、黒川、鈴木、根本
TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

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