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「バイオものづくり革命推進事業」で6件の研究開発に着手
―バイオものづくり製品の社会実装を推進し、産業競争力の強化を目指す―

2023年9月26日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは「バイオものづくり革命推進事業」(以下、本事業)の第1回公募において、バイオものづくり製品の社会実装促進に向けた研究開発テーマ6件を採択しました。

本事業では、多様な原料と製品を出口とした、バリューチェーンの構築に必要な課題について技術や社会システムの実証を行い、バイオものづくりへの製造プロセスの転換と、バイオものづくり製品の社会実装を推進し、日本の産業競争力の強化と社会課題解決を目指します。

1.概要

植物細胞や動物細胞、微生物などを用いて物質を生産する技術(バイオものづくり※1)は、医薬品や食品にとどまらず、化学品、素材、繊維、燃料など多様な産業領域での活用が見込まれています。従来の化石資源を原料とした、さまざまな製造プロセスの代替となる「持続可能なものづくり」として、次世代の産業基盤となり、日本の競争力の核となることが期待されます。

このような背景の下、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は本事業※2で、未利用資源の収集・原料化や物質生産に用いる微生物などの改変技術、製品の生産・分離・精製・加工技術、社会実装に必要な制度や標準化など、バイオものづくりのバリューチェーン構築に必要となる技術開発および実証を一貫して支援します。

今般、本事業の第1回公募において、バイオものづくりのバリューチェーン構築に向けた研究開発テーマ6件を実施予定先※3として採択しました。

今後、より多様な原料と製品を出口としたバリューチェーンを構築すべく、第2回の公募を実施予定です。NEDOは本事業を通じて、バイオものづくりへの製造プロセスの転換とバイオものづくり製品の社会実装を推進し、日本が抱える社会課題の解決に貢献していきます。

2.実施テーマ

経済産業省が定める「バイオものづくり革命推進事業研究開発計画※4」に基づき下記の研究開発を実施します。

【研究開発項目〔1〕】未利用資源の収集・資源化のための開発・実証

(a)未利用資源の収集のためのサプライチェーン構築に向けた調査

国内の未利用資源を収集し、バイオものづくりの原料とするために必要となるサプライチェーンの構築を実施する上で必要な調査を実施します。

(b)未利用資源の原料化のための開発・実証

国内の未利用資源をバイオものづくりで一般的に利用される糖や油脂、その他有機物などの原料に変換する上で必要となる技術の開発と、未利用資源の収集および原料化実証を行い、国産バイオマス原料の価格水準を海外と同等以下まで低下させる技術を確立します。

(c)循環型バイオものづくりを進めるための原料としてのバイオ製品等の収集実証

未利用資源をバイオものづくりの原料として変換する原料化プロセスでは、対象とする未利用資源の種類や品質によって技術課題が異なり、商業生産時に使用される原料と近い条件の原料調達が必要となります。今回、未利用資源の収集や分別回収などのサプライチェーンを構築するための実証を行います。

【研究開発項目〔2〕】産業用微生物等の開発・育種及び微生物等改変プラットフォーム技術の高度化

(a)産業用微生物等の開発・育種

未利用原料などを利用して物質を生産する機能をもった微生物などの物質生産機能の向上や、高い物質生産機能を保ったまま従来とは異なる原料を利用可能で、かつ最終製品を市場投入可能な価格水準(代替候補製品の1.2倍以下)で生産可能な性能をもつ微生物などを開発します。

(b)産業用微生物等の開発・育種を通じたプラットフォーム技術の高度化

産業用微生物などの開発・育種を通じ、バイオ×デジタル技術を駆使して微生物などを効率的に改良することが可能な改変プラットフォーム技術の開発を行います。

【研究開発項目〔3〕】微生物等による目的物質の製造技術の開発・実証

大量培養など、商用スケールを視野に入れたバイオものづくり技術のスケールアップの開発や生産実証を行います。

【研究開発項目〔4〕】微生物等によって製造した物質の分離・精製・加工技術の開発・実証

発酵や大量培養といったバイオものづくりによって生産した物質などを培地などから分離・精製し、最終製品へと加工する一連の技術の開発と生産実証を行います。

研究開発項目〔3〕および〔4〕の実施によって、未利用原料などからバイオものづくりで生産した物質の製造コストについて、最終製品を市場投入可能な価格水準(現行製品の1.2倍以下)まで低下させる技術を確立します。

【研究開発項目〔5〕】バイオものづくり製品の社会実装のための評価手法等の開発

Life Cycle Assessment(LCA)評価や国際標準などの社会実装に必要な仕組みづくりに向けて、開発・検討や事例創出を行います。

実施予定先と事業テーマの詳細は、以下の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。

3.今後の予定

NEDOは本事業を通じて、バイオものづくりへの製造プロセスの転換とバイオものづくり製品の社会実装を推進し、日本が抱える社会課題の解決に貢献していきます。

また、より多様な原料と製品を出口としたバリューチェーンを構築すべく、2023年10月上旬以降に第2回の公募を開始する予定です。

【注釈】

※1 バイオものづくり
遺伝子改変技術などにより、微生物などが従来保有する物質の生産能力を増加したり、新しい目的物質の生産能力を獲得させる、あるいは酵素分解などにより目的物質を得るといったテクノロジーです。新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画(令和4年6月7日閣議決定)においても科学技術・イノベーションの柱の一つと位置づけられるなど、経済成長と社会課題の解決の二兎(にと)を追えるイノベーションとして、政府が強力に推進していくべきである重要技術と考えられています。
※2 本事業
※3 実施予定先
実施予定先が採択条件を満たさない場合は不採択扱いとなる場合があります。
※4 「バイオものづくり革命推進事業研究開発計画」
バイオものづくり革命推進基金の適切かつ効率的な執行に向けて、経済産業省においてバイオものづくり革命推進基金で実施する内容を「研究開発計画」として策定しました。
PDFバイオものづくり革命推進事業研究開発計画(1.4MB)

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部バイオものづくり基金事業推進室 担当:大石、長谷川、阿部
TEL:044-520-5220 FAX:044-520-5223
E-mail:bio-revolution[*]nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本(信)、瀧川、黒川、根本
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

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