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化合物・シリコン積層型太陽電池モジュールで世界最高のエネルギー変換効率33.66％を達成
―太陽電池を搭載した電動車開発に貢献―

2023年10月27日
NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）

NEDOの「太陽光発電主力電源化推進技術開発」（以下、本事業）で、シャープエネルギーソリューション株式会社（SESJ）は、電気自動車や宇宙・航空分野などの移動体用太陽光発電システムの開発に取り組んでいます。今般、世界最高のエネルギー変換効率33.66％を達成した化合物・シリコン積層型太陽電池モジュール（以下、本モジュール）を開発しました。

本モジュールは、化合物2接合型太陽電池セルをトップ層に、シリコン太陽電池セルをボトム層に配置した新構造により、さまざまな波長の光を効率的にエネルギー変換できるほか、従来の化合物3接合型太陽電池モジュールの3分の1以下に薄層化されることにより材料コストの低減を実現できます。

今後、NEDOは移動体への太陽電池の搭載に向けて、引き続き、太陽電池モジュールの高効率化および低コスト化に関する研究開発を進めます。これにより、移動体の温室効果ガス（GHG）排出量削減に向けて、太陽電池搭載の電動車の開発推進に貢献します。

図　世界最高となるエネルギー変換効率33.66％を達成した本モジュールの写真
図　世界最高となるエネルギー変換効率33.66％を達成した本モジュール

1．背景

2050年カーボンニュートラル実現のためには、太陽光発電を主力電源として利活用することが重要となりますが、発電装置の大きさや重量、エネルギー変換効率の問題などにより、太陽電池を設置できる場所が制限されるなど、応用先が限定的であることが大きな課題となっています。

このような背景の下、NEDOは、2020年度から太陽光発電の応用先を拡大し、主力電源化を推進するため本事業※1を実施しています。その一環として、SESJは、より高効率かつ高耐久性が求められる電気自動車や宇宙・航空分野などの「移動体用太陽電池の研究開発」に取り組んでいます。

2．今回の成果

（1）世界最高のエネルギー変換効率33.66％を達成

本モジュールは、化合物2接合型太陽電池モジュール※2とシリコン太陽電池モジュールを組み合わせた太陽電池モジュールです。化合物2接合型太陽電池セルをトップ層に、シリコン太陽電池セルをボトム層に配置した新構造により、さまざまな波長の光を効率的にエネルギー変換することができます。これにより実用サイズモジュール（面積：775cm2）で世界最高のエネルギー変換効率33.66％※3を達成しました。

これは、本事業においてSESJが2022年に化合物3接合型太陽電池モジュールで達成した32.65％の世界記録※4を更新するもので、太陽電池を搭載した移動体への導入効果が大きく期待できます。

（2）従来の3分の1以下となる薄層化により材料コストを低減

本モジュールは、従来の化合物3接合型太陽電池モジュールの3分の1以下に薄層化することができます。また、薄層化による化合物材料の削減や、既に普及しているシリコン太陽電池をボトム層に採用することで材料コストの低減につながります。これにより移動体への搭載について普及・促進が期待できます。

3．今後の予定

NEDOは、電気自動車や宇宙・航空分野などの移動体への太陽電池搭載の普及促進に向けて、引き続き、太陽電池モジュールの高効率化および低コスト化に関する研究開発を進めます。これにより、2050年カーボンニュートラル実現への道筋を示し、移動体のGHG排出量削減に貢献します。

【注釈】

※1　本事業
※2　化合物2接合型太陽電池モジュール
インジウム・ガリウム・リンをトップ層、ガリウム・ヒ素をボトム層とする2接合型の太陽電池モジュールです。
※3　世界最高のエネルギー変換効率33.66％
2023年10月27日現在、研究レベルにおける太陽電池モジュールのエネルギー変換効率として世界最高となります（SESJ調べ）。エネルギー変換効率は、2023年2月に国立研究開発法人産業技術総合研究所にて確認された数値です（モジュール面積：775cm2、最大出力：31.51W）。
※4　化合物3接合型太陽電池モジュールで達成した32.65％の世界記録
（参考）SHARPリリース（2022年6月6日）「別ウィンドウで開きます実用サイズの軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュールで世界最高の変換効率32.65％を達成」

4．問い合わせ先

（本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先）

NEDO　新エネルギー部　担当：吉柳、永田、山崎　TEL：044-520-5270

（その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先）

NEDO　広報部　担当：瀧川、坂本（信）、根本、山脇、柿澤
TEL：044-520-5151　E-mail：nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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