「製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン」を公開
―工場などの製造現場で最適な無線通信技術の導入、社会実装の促進を目指す―
2024年1月30日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
NEDOは、「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」(以下、本事業)の一環で、「製造現場における無線通信技術の活用と課題に係る調査」(以下、本調査)を行い、今般、製造現場への無線通信技術の活用における課題、課題解決のための要件、導入・運用の際の留意すべきポイントについてまとめた「製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン」(以下、本ガイドライン)を公開しました。
本ガイドラインでは、無線通信技術を製造現場で活用する上で参考となるような先行実証実験や導入事例、導入から運用に至るまでに検討すべき事項などについて、活用シーンとそれに合わせた解説をしています。
今後、本ガイドラインが、工場など製造現場で無線通信技術の導入を検討している製造事業者に活用され、社会実装の促進につながることを目指します。
1.背景
世界的な新型コロナウイルス感染症の流行や世界各地での地政学的リスクの増長、国内災害の多発など、サプライチェーンの寸断リスクを引き起こす「不確実性」は今後もさらに高まることが予想されます。製造事業者では、こうした状況下で柔軟・迅速な対応によりサプライチェーンを維持するためのダイナミック・ケイパビリティ※1の強化が一層重要な課題となっています。
こうした課題解決につながるものとして期待されているのが、第5世代移動通信システム(5G)をはじめとした無線通信技術です。5Gは超高速・多数同時接続・超低遅延といった特長を持ち、高精細映像の伝送、機器の遠隔制御、多数のセンサーの活用などにサービスを提供することができます。
NEDOは2021年度から本事業※2を実施するとともに、製造現場で5Gなどの無線通信技術を活用した、柔軟・迅速に組み換え・制御が可能な生産ラインや、IT/OTのシームレスなデータ連携によるサイバーフィジカルシステムなどの構築を通じて、工場の自律的かつ全体最適な稼働を可能とすることで、製造現場におけるダイナミック・ケイパビリティの強化を目指しています。
一方、工場内のような障害物がある環境においては、ローカル5G(28.2~29.1GHz帯)のような直進性の強い電波は、障害物の影響を受けやすく、通信範囲が限られる可能性があります。そのため導入を検討する製造事業者は、電波伝搬特性をよく理解した上で、製造現場の環境やユースケースに適合した通信設備を導入する必要がありますが、実際には理解しにくいことが課題としてあります。
NEDOは、このような課題を解決するため、2023年度に本事業の一環で、5Gなど無線通信技術を製造現場に本格活用するための具体的課題の把握とそれらの体系化を行い、課題解決すべき要件の検証・分析を通じて、技術の普及のための方策ガイドラインをまとめることで、製造現場での5Gなどの無線技術の活用・社会実装の促進を目的として、本調査※3を実施しました。今般、製造現場への無線通信技術の活用における課題、課題解決のための要件、導入・運用の際の留意すべきポイントについてまとめた本ガイドラインを公開しました。
2.本ガイドラインの概要
タイトル:製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン
~無線活用シーン・ユースケースに応じた導入・運用のポイント~
- 第1章 はじめに
- 第2章 製造現場での無線通信技術の活用に必要な基礎知識
- 第3章 製造現場における無線通信技術の導入事例
- 第4章 無線通信技術の導入にむけて
- 第5章 おわりに
第2章では、これから初めて無線通信技術の導入を検討する製造事業者を対象に、無線通信技術の概要や電波の特徴などについて説明しています。
第3章では、すでに無線通信技術の仕組みに一定の理解がある製造事業者を対象に、製造現場における無線通信技術のユースケースやそこから浮かび上がった課題を多数掲載し、活用事例の収集に役立つ内容としています。
第4章では、第3章に掲載したユースケースをもとに、検討項目やつまずきやすいポイント、導入時の実践的なステップや留意点について詳細に記述し、実際の無線通信技術の導入・運用にむけて参照できるよう、一連の実施事項や進め方をケーススタディーも交えて解説しています。
本ガイドラインでは、無線通信技術を製造現場で活用する上で参考となるような先行実証実験や導入事例、導入から運用に至るまでに検討すべき事項などについて、活用シーンとそれに合わせた解説をしています。
今後、本ガイドラインが、工場など製造現場で無線通信技術の導入を検討している製造事業者に活用され、社会実装の促進につながることを目指します。
なお本ガイドラインは、以下よりダウンロードできます。
製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン
【注釈】
- ※1 ダイナミック・ケイパビリティ
- 環境や状況が激しく変化する中で、企業が、その変化に対応して自己を変革する能力のことです。(出典:経済産業省 2020年版ものづくり白書)
- ※2 本事業
-
- 事業名:5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業
- 事業期間:2021年度~2025年度
- 事業概要:5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業
- ※3 本調査
-
- 事業名:5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業/製造現場における無線通信技術の活用と課題に係る調査
- 事業期間:2023年度
- 事業概要:「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業/製造現場における無線通信技術の活用と課題に係る調査事業」に係る実施体制の決定について
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO IoT推進部 担当:大田、小野寺、小川 TEL:044-520-5211
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:坂本(信)、瀧川、山脇、柿澤
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp
E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。
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