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NEDO事業に参画した研究者が「第57回市村賞 市村地球環境学術賞 貢献賞」を受賞しました
―燃料電池システムシミュレーター「FC-DynaMo」を開発―

2025年4月18日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOの「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」(以下、本事業)に参画していた、「京都大学大学院工学研究科 特定助教 長谷川茂樹氏」、「東京農工大学大学院工学研究院 准教授 金尚弘氏」、「京都大学大学院工学研究科 教授 河瀬元明氏」が、「第57回市村賞 市村地球環境学術賞 貢献賞」を受賞しました。

受賞者らは、本事業において、燃料電池スタックとその周辺機器を含む包括的で革新的な燃料電池システムシミュレーター「FC-DynaMo」を開発しました。

「FC-DynaMo」は国内204の団体と個人に提供され、燃料電池研究開発の先導的な役割を果たすとともに、水素社会における日本の競争力の強化に貢献しています。

1.背景

地球温暖化対策の一つとして利用時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素の利用が注目されています。水素からのエネルギー変換方法として、乗用・商用車、定置用発電機、鉄道、船舶などへの燃料電池システムの展開が期待されています。しかし、燃料電池システムの構成は複雑であり、システム内で複数の物理現象が同時に起こることから、その開発は試行錯誤的に進められてきた点が課題でした。

2.今回の成果

本事業※1において、京都大学らは、燃料電池システムの主要な構成要素である燃料電池スタック、水素システム、エアシステム、冷媒システム内の現象をモデル化し、各種部品の特性や作動条件とシステム全体の性能の関係を定量的に計算する燃料電池システムの数値シミュレーター「FC-DynaMo」を開発しました。

実際の燃料電池自動車(トヨタ自動車の第2世代MIRAI)に搭載されている燃料電池システムの仕様を基に開発された「FC-DynaMo」は、実製品の挙動を広い運転条件で再現できます。材料・部品・制御仕様の変更を容易に行えるプログラム構成を採用したことで、自動車以外のさまざまな用途にも展開可能であるという特徴があります。

2025年3月28日現在、国内204の研究機関・事業者に「FC-DynaMo」を提供するとともに、2022年から4回、使用方法の実践解説を行うワークショップを開催してきました。また、ユーザーからのフィードバックを受けて新機能を継続的に追加し、燃料電池システムの先端技術・製品の開発に貢献しています。最新バージョンでは長期間運転後の性能低下量を予測するモデルを実装し、耐久性の評価を机上で実施することで、耐久試験にかかる費用・期間の大幅な削減が可能となりました。

このたび、本事業での功績が認められ、「第57回市村賞※2」において、本事業に参画した研究者が「市村地球環境学術賞 貢献賞」を受賞しました。

  • 受賞者:京都大学大学院工学研究科 特定助教 長谷川茂樹氏
  • 東京農工大学大学院工学研究院 准教授 金尚弘氏
  • 京都大学大学院工学研究科 教授 河瀬元明氏

3.今後の予定

本事業で開発した「FC-DynaMo」を産業界および学術界へ引き続き展開することで、燃料電池分野への新規プレーヤーの参画を促進するとともに、多様なアプリケーションでの燃料電池利用の推進に貢献します。

【注釈】

※1 本事業
名:燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業/共通課題解決型基盤技術開発/長寿命化・高性能化達成のための設計シミュレーターの開発
事業期間:2020年度~2024年度
事業概要:燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業
NEDO水素・燃料電池成果報告会2024 発表資料
※2 市村賞
公益財団法人 市村清新技術財団が日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をした研究者・グループを表彰する、権威ある技術賞の一つです。その中でも市村地球環境学術賞は、地球温暖化防止・対策に関する技術分野の顕著な業績を表彰するものです。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 水素・アンモニア部 水素共通基盤ユニット

TEL:044-520-5261 E-mail:fuelcell[*]ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 経営企画部 広報企画・報道課 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

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