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中国の海洋エネルギー産業の動向

中国は、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーの開発と普及に力を入れていますが、近年、潮汐、潮流、波力などの海洋エネルギーの研究開発にも力を入れ始めています。

中国における

  1. 海洋エネルギーの政府計画
  2. 海洋エネルギーの研究開発動向

についてまとめました。

本レポートの概要

1.政府の計画 海洋再生可能エネルギー発展 第13次5カ年計画

中国国家海洋局は2020年までに全国海洋エネルギーの総設備規模が5万kWを超え、海洋エネルギーの開発利用において世界先進水準に到達することを目標としている。主な具体目標は以下のとおり。

  • (1)国家海洋エネルギー試験場を建設
  • (2)1万kW級の潮汐エネルギー実証プロジェクトを開始
  • (3)MW級の潮流エネルギーの系統連系モデル基地を建設
  • (4)500kW級の波力エネルギー実証基地を建設
  • (5)全国海洋エネルギーの導入目標5万kW

2.海洋エネルギーの売電状況

潮汐発電は早くから売電が行われている。潮流発電は2016年に売電が始まった。

  • (1)江厦潮汐試験発電所は1980年以来、40年間グリッドに接続しており、累計発電量は2億2000万kWhで年間の売電収入は1800万元に達する。
  • (2)LHDモジュール化大型海洋潮流発電所は累計発電量120万kWh、年間売電収入は130万元。

中国の海洋エネルギーの売電状況

中国の海洋エネルギーの売電状況

3.政府の研究開発支援

2010年5月に海洋再生可能エネルギー特別資金が設けられた。

2019年6月末時点で、海洋再生可能エネルギー特別資金は110件以上のプロジェクトを支援し、国が配分した資金は約13億元(約200億円)となった。

4.潮汐エネルギーの開発動向

  • (1)江厦潮汐試験発電所はもっとも有名な海洋エネルギー発電所。総発電設備容量が4100kW、年間発電量は約700万kWhに達する。
  • (2)海山潮汐発電所は総設備容量250kWで、年間発電量は20万kWhとなっている。設備を増設して発電電力量を2×250kWとする計画がある。

5.潮流エネルギーの開発動向

  • (1)2016年3月、浙江舟山聯合動能新能源開発有限公司(LHD)が3400kW潮流エネルギーユニットを設置、2016年8月系統連系を実現。総設備容量は1700kW累計発電量は約130万kWh。
  • (2)浙江大学が開発した30~650kWシリーズ・セミダイレクトドライブ水平軸型潮流エネルギーユニットは、浮体式の設置方式を採用。2014年から送電を開始し、電力供給を行っている。
  • (3)杭州江河水電科技有限公司と東北師範大学などが300kW水平軸可変ピッチ3枚翼ユニット潮流エネルギープロジェクトを実施。2019年5月に海上試験が実施された、累計発電量は3,500kWhを越えた。
  • (4)ハルビン工業大学は係留型ツインダクトタービン潮流発電技術を開発。水面下でアンカー固定するシステムを備えた浮体式で設置したタービン発電方式を採用、1kW発電装置のプロトタイプを研究開発。

6.波力エネルギーの開発動向

  • (1)2017年、中国科学院広州能源研究所が開発し改良した200kWの浮体式鷹式波力発電設備が設置された。累計発電量は10万4000kWh。2019年3月、500kW2基の増設建設が開始された。
  • (2)いけす養殖設備や航路標識用へ波力発電設備から電力供給する応用も実施されている。

7.海洋温度差発電の開発動向

国家海洋局第一海洋研究所が開発した海洋温度差発電はシステム変換効率3%、最高値で3.8%、連続運行時間が1000時間を超えたとの報道がある。

8.海洋エネルギーの試験・測定センターの整備

  • (1)国家海洋技術センターは、室内において海洋の風、波、流れなどの動力環境を再現する設備を有する。海上では波力・潮流発電装置の第三者試験・評価を行っている。
  • (2)国家浅海海上総合試験場では主に波力、潮流発電装置の小型プロトタイプに対する実海域試験、テストおよび評価が行われている。

9.海洋エネルギーの標準

  • (1)2019年6月末時点で,中国は18件の海洋エネルギー国家規格および業界標準を公布している。
  • (2)2019年6月末時点で、中国では海洋エネルギー分野で合計2,546件の特許および実用新案権を取得されている。

本資料は、NEDO北京事務所の職員が中国の海洋エネルギー産業の把握のための参考資料として収集したものであり、当機構の意見を代表するものではない。

情報の利用に当たっては、適宜原典を参照されたい。

本資料の利用によって生ずるいかなる不利益も、当機構は責任を負わない。

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最終更新日:2020年6月3日