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中国の自動運転・コネクテッドカーの関連政策

中国の自動運転は、自動車単独ではなくネットワークに接続して、外部環境からの情報提要・連携などの連携をもとに実施することに重点を置く。このため、政府の計画の中で、自動運転は常に「コネクテッドカー」の一機能として位置づけられる。

このため、自動運転関連政策については、LTE-V2X、5G-V2Xなどのネットワーク整備、電波の割り当てなどが常に含まれる。

本レポートの概要

1.中国の自動運転・コネクテッドカー関連政策の特徴

2015年に中国製造2025のロードマップで自動運転・コネクテッドカーが位置づけられて以来、さまざまな政府計画等に自動運転が位置づけられるようになった。各計画に共通する傾向は以下の通り。

(1) 自動運転の実現にあたり車両単独でなくネットワークとの連携に重点をおく

中国の自動運転は、自動車単独ではなくネットワークに接続して、外部環境からの情報提要・連携などの連携をもとに実施することに重点を置く。このため、政府の計画の中で、自動運転は常に「コネクテッドカー」の一機能として位置づけられる。

このため、自動運転関連政策については、LTE-V2X、5G-V2Xなどのネットワーク整備、電波の割り当てなどが常に含まれる。

図1 ネットとの接続による自動運転の発展イメージ
省エネ車・新エネ車ロードマップ

  • 省エネ車・新エネ車ロードマップ

(2) センサー・レーダー・車載半導体で先進国に後れを取っていると認識し国産化を目指す

自動運転に必要な車載高精度センサー、車載用半導体については国際的な競争力が弱いとして、国産化と国際競争力強化を目指すための研究開発を実施するとの記載が多い。

(3) ネット企業や情報通信機器事業者の競争力の取り込み

2016年省エネ車・新エネ車ロードマップでは、中国のコネクテッドカー分野の強みとしてバイドゥ、テンセント、アリババ等のインターネット企業を有すること、ファーウェイや大唐等のように通信産業で世界に影響力を有する企業を有していることを強みとしている。

(4) コネクテッドカーの走行時のリアルタイム監視

新エネ自動車では、販売後の車両の走行中の位置情報やバッテリーの状態を政府が指定する機関にリアルタイムに送信する制度が2017年からすでに導入されている。コネクテッドカー分野では、自動運転自動車の公道テストの際に、テスト車両の位置や自動運転モードの状態を地方政府が指定する機関にリアルタイムに送付する制度が実施されている。スマート自動車イノベーション発展戦略(2020年2月)ではスマート自動車の個別識別認証と、リアルタイムでの追跡システムの構築を示唆する。

2.スマート自動車・自動運転車の最新の制度整備の計画

(1) スマート自動車イノベーション発展戦略(智能自動車創新発展戦略)

2020年2月に発表された自動運転関連の最新の計画であり、これまでばらばらに自動運転関連政策に対応していた国家発展改革委員会や工業信息化部を含む11省が合同で発表したもの。自動運転関連のコア技術・車載センサー等の技術開発から、自動運転車の運転責任やサイバーセキュリティ等の法律の制定、V2Xなどの通信、インフラ整備まで含む総合的な計画となっている。

特筆すべきは 〔1〕スマート自動車(コネクテッドカーや自動運転車)の参入既定の整備
〔2〕スマート自動車のリアルタイム追跡システムの構築
が盛り込まれた点。

2025年までの展望

標準的なスマート自動車技術、産業エコシステム、関連インフラ、法律法規、製品の監督管理等のシステムが基本的に形成。

  • 条件付き自動運転自動車(L3)が一定規模で生産される。
  • 高度自動運転(L4)が特定の環境下で製品化される。
  • LTE-V2X等が地域をカバーし、5G-V2Xが一部の都市・高速道路で応用を開始する。
2035~50年の展望
  • 中国の標準的なスマート自動車産業体系は全面的に完成する。
  • スマート自動車が人々の美しい生活のニーズを満たす。

(2) 「国家IoV産業規格体系構築ガイドライン」

工業信息化部が中心となり、コネクテッドカー・自動運転・ITC等の今後の標準策定の方針を定めるもの。1つの総論と5つの個別分野ごとのガイドラインで構築され、2018年1月~6月に順次公表。

  • 〔1〕 コネクテッドカーの車両だけでなく、センサー等の車載機器や部品・通信規格なども対象。
  • 〔2〕 地図などの多様な情報サービス、IoV関連の決済手段などの関連サービスまで対象にする。
  • 〔3〕 IoVを活用したナンバープレートの自動読み取り、車両取り締まりが含まれる。
2020年まで
  • 運転支援及び低度自動運転の基礎となるICV規格体系のただき台を構築。
  • 30項目以上のICVに関する重点規格を整備する。
2025年まで
  • ICV標準体系を体系的に構築する。
  • 100項目以上のICVに関する規格を制定し、「知能化 + ネットワーク化」という融合的発展を促進する。

(3) 自動運転の公道テストの規定について

2018年4月に工業信息化部等発表した「コネクテッド自動車道路テスト管理規範(試行)」により、自動運転の公道でのテストの規定が整備された。具体的な運用は地方政府(省・直轄市)ごとに行うとされ、地方政府が具体的な実施規定を策定する。公道テストを行う主体は地方政府に申請する。

( 自動運転の公道テスト制度の特徴 )
  • 〔1〕 自動運転の公道テストの前に当該自動運転システムを閉鎖試験区でテストすることが必要。
  • 〔2〕 公道テスト時にはテストドライバーの乗車が必要で、交通違反は当該ドライバーが処罰を受ける。
    ただし、テスト主体(自動車メーカー等)は500万元(8500万円)の損害保険に加入する。
  • 〔3〕 走行中は、ⅰ)車両の制御モード、ⅱ)車両の位置、ⅲ)車両の速度・加速度等の情報を地方政府が指定する
    クラウドにリアルタイムに送信する。
  • 北京市では、テストドライバーの様子(画像)もリアルタイム送信の対象。

図2 公道テスト制度の特徴

  • 公道テスト制度の特徴

(4) 各地の知能自動車モデル地区

2015年7月から、工業信息化部を中心に自動運転車などの実証事業を行う、「知能自動車モデル地区」が多数計画された。最初の閉鎖テストコースは、2016年3月に上海市で開業したことを皮切りに有力地方都市が競って巨大な自動運転閉鎖テストコースを建設した。また、当初は大規模な公道テストを計画したが、現時点で多くの場合計画は遅延気味。

自動運転車の公道テストを行う制度や基準は各地方(省・直轄市)ごとに異なっており、各都市が他都市の制度を認めていない。多くの場合、ある都市で自動運転の公道テストを行うためには、当該都市内の閉鎖テストコースで走行テストを行うことが必要。

(5) 雄安新区での自動運転テスト

北京の南120kmに建設中の雄安新区では、先行開業したモデル開業地域に自動運転専用レーンを設けるなど、自動運転のテスト走行が実施されている。バイドゥなどの大手IT企業が雄安新区で自動運転車や小型無人配送車・移動自動販売機などのテスト走行を実施。

図3 自動運転レーンの様子とコース

  • 自動運転レーンの様子とコース

図4 テスト中の自動運転車図5 自動走行清掃車(左)と移動自販機

  • テスト中の自動運転車
  • 自動走行清掃車(左)と移動自販機

本本資料は、NEDO北京事務所の職員が中国の自動運転・コネクテッドカーの同行の把握のための参考資料として収集したものであり、当機構の意見を代表するものではない。

情報の利用に当たっては、適宜原典を参照されたい。

本資料の利用によって生ずるいかなる不利益も、当機構は責任を負わない。

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最終更新日:2020年8月26日