バイオマスエネルギーの地域での利用拡大を促進
―地域特性を活かした最適システムを目指す8テーマを新たに採択―
2018年12月12日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭
NEDOは、地域特性を活かした最適なバイオマスエネルギー利用システムを構築するため、地域自立システム化技術開発事業で1テーマ、事業性評価(FS)で7テーマの計8テーマを採択しました。
本事業では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)や補助金などに頼らないことを念頭においた、オンサイト小型バイオガス発電システムの実現を目指す愛知県での技術開発事業や、バイオマス種ごとに最適なバイオマスエネルギー利用システムの構築に向けた国内各地でのFSを通じて、バイオマスエネルギーの地域での利用拡大を推進します。
1.概要
バイオマスエネルギーは、再生可能エネルギーの中でも安定的に発電可能で、地域活性化にも寄与する電源として、普及拡大が期待されています。バイオマスエネルギーの利用拡大を推進するためには、熱利用などを効率よく運用するとともに、地域の特性を活かした最適なシステム化が必要です。
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、地域の特性を活かした最適なバイオマスエネルギー利用システムを構築するために、2014年度から「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業※1」を実施しています。本事業では、バイオマス種ごとに地域自立システムとしての事業性評価(FS)、実証事業、および技術開発事業を実施し、その成果を導入要件や技術指針※2に反映させるとともに、これら成果を毎年度公開していきます。
今回、バイオマスエネルギーの地域での利用拡大の推進のため、地域自立システム化技術開発事業とFSについてそれぞれ新たに公募を実施し、計8テーマを採択しました。
具体的には、地域自立システム化技術開発事業では、地域に分散する小規模酪農家向けに、災害に強く、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)や補助金などに頼らないことを念頭においたオンサイト小型バイオガス発電システムについて、小規模酪農家でも投資可能な低コストでの実現を目指します。家畜ふん尿をメタン発酵させるとともに、副産物である消化液の処理を含めた全体システムの効率的な運用を図るために必要な「(1)家畜ふん尿の堆肥化処理コストの低減、(2)発酵槽の低コスト化と発酵効率向上、(3)小型エンジンの総合効率向上、(4)消化液利用および浄化処理」の技術開発を実施します。
また、FSでは、バイオマス種ごとに、FITや補助金などに頼らないことを念頭においた事業運営を実現するために、長期的な燃料調達計画や、エネルギー需要先確保、設備を安定稼働させるための基本設計、システム全体のコスト分析、資金調達の検討などに取り組みます。
2.採択テーマおよび委託・助成予定先
採択テーマ | 助成予定先 | 実施地域 |
---|---|---|
オンサイト小型バイオガス発電システムの要素技術開発事業 | アイシン精機株式会社 | 愛知県 |
採択テーマ | 委託予定先 | 実施地域 |
---|---|---|
栃木県におけるエリアンサスを含めたバイオマス資源を利活用した公共施設への地域自立システム化の事業性評価(FS) | 高砂熱学工業株式会社 一般社団法人日本有機資源協会 |
栃木県 |
産業拠点において低質バイオマスを段階的利用する熱電自給・小規模熱利用システムの事業性評価(FS) | 山室木材工業株式会社 | 滋賀県 |
早生樹を軸とした農林エネルギー地域循環サスティナブル事業の事業性評価(FS) | 一般財団法人石炭エネルギーセンター 遠野興産株式会社 |
福島県 |
山村における木質バイオマス地域熱供給モデル構築事業の事業性評価(FS) | 一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会 | 高知県 |
性状の異なる原料を用いたバイオマスガス化電熱併給事業の事業性評価(FS) | 株式会社日本総合研究所 | 東京都 |
大分県臼杵市における木質バイオマスの熱エネルギー有効活用の事業性評価(FS) | ワタミファーム&エナジー株式会社 | 大分県 |
混合バイオマスによるガレージ式乾式メタン発酵システムの事業性評価(FS) | 株式会社サナース 山興緑化有限会社 |
島根県 |
【注釈】
- ※1 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業
- 事業期間:2014~2020年度
事業予算:23億円(2018年度) - ※2 導入要件や技術指針
-
- バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針 (2017年9月)
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:森嶋、石川、中島、浅野 TEL:044-520-5271
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:佐藤、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp