本文へジャンプ

国内初の竹を有効利用したORC熱電併給設備が完成、実証開始へ

―エネルギーの有効利用と竹林荒廃などの地域課題の解決を目指す―
2019年8月29日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
バンブーエナジー株式会社

NEDOのバイオマスエネルギー導入促進プロジェクトにおいて、バンブーエナジー(株)は、国内初の竹によるORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備を備えたバイオマスプラントを熊本県南関町のバンブーグループ敷地内に完成させました。

本施設では、各地域で荒廃が進み保全が課題となっている竹と、有効利用が課題となっているバーク(樹皮)を原料に用いて、バイオマス燃焼炉とORC熱電併給設備で熱・電気を作り出し、隣接する同じ竹材を材料とする製品加工工場で最大限活用します。今後、試運転を行い、2019年10月より本格的に実証運転を開始する予定です。

本事業を通じて、竹林の荒廃という地域課題を解決するべく、竹の総合利活用と高付加価値化、さらに地域に存在するバイオマス資源を最大限に活用することを目指し、地域経済循環の向上を実現するバイオマスエネルギーシステムの構築を目指します。

  • バイオマス燃焼炉(左)およびORC熱電併給設備(右)の外観を表した図
    図1 バイオマス燃焼炉(左)およびORC熱電併給設備(右)の外観

1.概要

バイオマスエネルギーは再生可能エネルギーの中でも安定的に発電可能で、地域活性化にも寄与する電源として、普及拡大が期待されています。中でも竹林の土地所有者の高齢化などに伴う竹林の荒廃が日本の各地で課題になっており、有効利用策が模索されていましたが、バイオマス原料としての竹は、内部が空洞でエネルギー密度が低く、伐採収集システムが確立されておらず、さらに燃焼すると、竹中の灰分が溶けることによる燃焼阻害や竹に含まれる腐食成分によりバイオマス燃焼炉を傷めることから、エネルギー利用が難しい原料というのが現状でした。

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、各地域の特性を活かした地域と共生する持続可能なバイオマスエネルギーの導入を促進するためのプロジェクト※1を実施しています。本プロジェクトにおいて、バンブーエナジー株式会社は、2015年10月から約1年間、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)などに頼らないことを念頭においた、竹の新素材加工工場に併設したバイオマスの熱・電併給カスケード利用によるバイオマスエネルギー地域自立システムの実現可能性の検討を進めてきました。具体的には、地元の豊富な未利用資源としての竹やバーク(樹皮)といったバイオマス原料の調達や、テストプラントでの混焼試験、エネルギーの供給と燃焼灰の有効利用について、地域行政、企業、大学、専門家などと協力し、地域内でのバイオマス原料の調達からエネルギーの変換、利用までを含めたバイオマスエネルギー地域自立システムの実現可能性の検討を実施しました。その後、2017年1月から実証フェーズに移行し、システムの設計や必要となる設備などの検討を進めてきました。

今般、本プロジェクトにおいて、バンブーエナジー(株)は、熊本県南関町に国内初の竹によるORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備※2を備えたバイオマスプラントを完成させました。本施設では、地域での有効利用が課題となっている竹とバーク(樹皮)を原料に用いて、バイオマス燃焼炉とORC熱電併給設備で熱・電気を作り出し、隣接する竹加工工場で最大限活用します。今後、試運転を行い、2019年10月より本格的に実証運転を開始する予定です。実証試験開始にあたっては、原料の安定供給等において地元自治体の全面的な協力を得ており、地域との連携による事業の継続性が確認されています。

本事業を通じて、竹林の荒廃という全国で顕在化しつつある地域課題を解決するべく、竹の総合利活用と高付加価値、さらに地域に存在するバイオマス資源を最大限に活用することを目指し、地域経済循環の向上を実現する地域と共生する持続可能なエネルギーシステムの構築を目指します。

2.今回の成果

今回建設したプラントは、国内初の竹を有効利用したバイオマス燃焼炉とORC熱電併給設備を組み合わせたバイオマスプラントであり、年間8,750t程度の竹を利用する計画で、電気出力は995kW、熱出力は6,795kW(竹加工工場への熱媒油供給2,800kW、温水供給3,995kW)です。今回採用したORC熱電併給方式は、一般的な蒸気タービンを用いた熱電併給方式と比較し、大量の熱量を確保でき、隣接する竹加工工場における乾燥需要を満足できることなどの有効性を事業性評価において確認しており、乾燥などのエネルギー効率の最大化を実証運転の中で検証していきます。

一般的に、竹は燃焼時に灰が低温で溶融し、クリンカ※3を形成し、バイオマス燃焼炉を傷めることから、燃焼が困難になるため、当プラントでは竹30%:バーク70%と混焼比率の最適化を図り、燃焼温度や運転モードを最適化することにより、クリンカの発生を抑制し、竹燃焼時の最大の課題であるクリンカ対策が可能となります。

また、ORC熱電併給方式を採用することにより、一般的な蒸気タービンを用いた熱電併給方式と比較し、設備コストを2億円程度低減できます。さらに、電力を小売電気事業者から購入し、熱をA重油ボイラーで供給する場合と比較し、年間で約1万9千トンのCO2を削減することができます。

加えて、竹やバークを燃焼させた後に残る灰は、環境汚染の原因物質が検出されないこと、抗菌脱臭効果を持つことをテストプラントで確認しており、これらの検証を実証運転の中でも実施し、商品として販売することを目指します。

  • バイオマスシステムの全体フローを表した図
    図2 バイオマスシステムの全体フロー

3.今後の予定

バンブーエナジー(株)は、2023年頃の事業化を目指して、安定的なエネルギー供給体制を構築することで、設備の運転・維持管理手法を確立するとともに、燃焼灰の販売を行うことで経済性の向上を図り、ゼロエミッションの実現を目指します。また、これらの実証事業後は、グループ全体で最終的に120名を超える雇用を計画しており、地方の雇用創出と地域竹資源の保全を図ります。また、地域と連携して放置竹林の整備をすることで災害に強いまちづくりを目指し、地域と共生した持続可能な社会構築に寄与していくとともに、これらの実証事業をモデルとして全国の他の地域へ展開していくことを目指していきます。

なお、NEDOではバイオマスエネルギー利用拡大のために「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針※4」を策定しており、本実証事業の終了後、本実証事業の成果についても反映させ公開する予定です。

【注釈】

※1 プロジェクト
名称:バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業
期間:2014~2020年度
予算:約12.5億円(2019年度)
※2 ORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備
蒸気タービンと同じくランキンサイクルによる発電方式の一種で、蒸気タービンとは異なり熱媒として水ではなく、有機媒体(シリコンオイル)を利用して発電を行う技術です。具体的には、バイオマス燃焼炉で加熱された熱媒油(サーマルオイル)がORCユニット内でシリコンオイルと熱交換し、そのシリコンオイルの蒸気によりタービンを回転させて、発電を行うものです。タービンの冷却水は温水として供給され、暖房・給湯用や産業用の熱源として利用可能です。
※3 クリンカ
バイオマス原料の燃焼灰が溶けて生成される塊です。
※4 バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針
事業者や有識者へのヒアリング調査および関連する参考資料に基づいて、バイオマスエネルギー事業への参入を検討する事業者が事業計画を作成する際に留意すべき点や考慮すべき情報をとりまとめたものです。
バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:森嶋、石川、原田 TEL:044-520-5271
バンブーエナジー(株) 担当:宮崎、牧嶋 TEL:0968-53-8899

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:佐藤、坂本、中里 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp