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NEDOプロジェクトの成果が「オープン部門」「Co-Creation PARK部門」グランプリ受賞
―CEATEC AWARD 2020―

2020年10月19日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOプロジェクトの成果が、Society 5.0の総合展「CEATEC 2020 ONLINE」に展示される技術・製品・サービスなどの中からイノベーション性などが優れたものを表彰する「CEATEC AWARD 2020」のオープン部門 グランプリおよびCo-Creation PARK部門 グランプリを受賞しました。

今回受賞した出展品は、オープン部門 グランプリが、技術研究組合 NMEMS技術研究機構が開発した「IoTネットワーク社会を支えるコインサイズの振動発電器」です。わずかな振動から発電する小型の発電器で、世界最高レベルのエネルギー回収効率93%の達成に加え、コインサイズへの小型化も実現しました。これにより、外部電源を用いない小型無線センサーの安定駆動など、社会インフラの点検・保守管理の自動化をはじめ、IoT社会のさらなる高度化に貢献可能です。

また、Co-Creation PARK部門 グランプリは、(株)AIメディカルサービスが開発した「人工知能による胃がん内視鏡画像読影支援システム」です。内視鏡で撮影された画像から正診率94.3%という世界最高水準の精度で胃がんを鑑別することができる世界初のAIを搭載した内視鏡画像読影支援システムで、胃がんの早期発見や専門医の不足の解消といった医療への貢献に期待できます。

  • MEMS(注釈※1参照)振動発電素子と電力制御回路を融合したボタン電池型振動発電器の製品イメージ
    図1 MEMS※1振動発電素子と電力制御回路を融合したボタン電池型振動発電器の製品イメージ
  • 専門医を上回る精度でがんを鑑別できる胃がん鑑別AI。画像はこの胃が95%の確率で胃がんであることを示す製品イメージ画像です。
    ※画像はこの胃が95%の確率で胃がんであることを示す製品イメージ画像です。
    図2 専門医を上回る精度でがんを鑑別できる胃がん鑑別AI

1.概要

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」および「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の成果が、「CEATEC AWARD 2020」のオープン部門 グランプリおよびCo-Creation PARK部門 グランプリを受賞しました。

「CEATEC AWARD 2020」は、Society 5.0の総合展「CEATEC 2020 ONLINE」に展示される技術・製品・サービスなどの中から、出展者が事前に応募した出展品について、「CEATEC AWARD 2020 審査委員会」が学術的・技術的観点、将来性や市場性などの視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査・選考し、表彰するものです。

今回オープン部門 グランプリを受賞した出展品は、技術研究組合 NMEMS技術研究機構が開発した「IoTネットワーク社会を支えるコインサイズの振動発電器」で、世界最高レベルのエネルギー回収効率93%の達成に加え、コインサイズの小型化も実現し、身の回りにあるわずかな振動を電気エネルギーに変換して利用することができます。

振動発電器にはこれまでにも開発例がありますが、発電するには足で踏んだり、手で振り回したりといった大きな力が必要でした。また、振動から電気エネルギーへの変換効率が低く大きい寸法になりがちで、実用化には手のひらサイズより小型にすることが必須でした。そこで本事業では、髪の毛の太さの100分の1の加工精度で半導体シリコン製の微小振動体を形成し、その表面を独自技術で恒久的に帯電(エレクトレット化)させることにより、機械振動から高効率で電力を発電する振動発電器の開発を実現しました。この技術により、わずかな環境振動から電力を回収して小型無線センサーを駆動させれば、IoT社会に必要不可欠な高付加価値情報を大量に集めることができます。これにより、大きな社会課題となっている道路・鉄道インフラの老朽化対策や施設点検作業の自動化などに貢献できます。

また、Co-Creation PARK部門 グランプリを受賞した出展品は、株式会社AIメディカルサービスが手がけた「人工知能による胃がん内視鏡画像読影支援システム開発」で、発見が難しく約5%から25%の見落としが発生しているとされる胃がんを94.3%の精度で発見することができます。

胃がんを検出・鑑別する内視鏡向けのAIは世界でも類似商品がなく、術者によって技量差が大きい内視鏡検査は均てん化※2が大きな課題となっていました。本事業では国内のがん治療に取り組む100施設以上から約8万本の良質な教師データ※3の提供を受けて、そのデータを用いて病変部位を自動判定するAIを搭載した胃がん内視鏡画像読影支援システムを世界で初めて開発しました。本システムは内視鏡医師を支援するシステムとして高い性能があり、2019年11月に実施した胃がん鑑別試験では正診率94.3%という高い精度を達成しました。また2020年4月に実施した本システムと医師66名による読影試験では、胃がんの検出感度において専門医・非専門医を上回るという結果が得られました。

この技術により、胃がんの早期発見が可能となり胃がんの死亡者数の減少や、均てん化の解決が期待できます。

なお、「CEATEC 2020 ONLINE」は10月20日から23日まで開催されます。また、NEDOブースで本成果を紹介します。

<受賞概要>

【オープン部門 グランプリ】

受賞者:技術研究組合 NMEMS技術研究機構

受賞案件:IoTネットワーク社会を支えるコインサイズの振動発電器

【Co-Creation PARK部門 グランプリ】

受賞者:株式会社AIメディカルサービス

受賞案件:人工知能による胃がん内視鏡画像読影支援システム開発

2.CEATEC 2020 ONLINEの開催概要

日時:
2020年10月20日(火)~23日(金)
場所:
オンライン(別ウィンドウが開きます CEATEC 2020 ONLINE 公式Webサイト)
主催:
CEATEC実施協議会
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)
一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)
スローガン:
CEATEC-Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC)

NEDOブースの出展内容の詳細は、以下のNEDOイベントページで紹介をしています。

  • 「CEATEC 2020 ONLINE」への出展

【注釈】

※1 MEMS
Micro Electro Mechanical Systemsの略称で、一つの基板にセンサーや電気回路などの機械・電気部品を集積したシステムをいいます。
※2 均てん化
全国どこでも癌の標準的な専門医療を受けられるよう、医療技術等の格差の是正を図ることをいいます。
※3 教師データ
入力された情報に対して適切な回答を出力できるよう、人工知能(AI)を訓練するためのデータです。一般的には膨大な量のデータが必要とされます。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO IoT推進部 担当:森山、泰松、森田澪 TEL:044-520-5211­ E-mail:iot-dept@ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、鈴木(美) TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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