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「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(第6版)」を公表
―バイオマスエネルギーの利用拡大に向け、新規参入事業者を後押し―

2022年3月14日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業」において、「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(第6版)」を公表しました。

本書はバイオマス種(木質系、メタン発酵系)ごとに地域特性を生かしたシステムとしての事業性を評価し、実用性の高い導入要件や技術指針を取りまとめたものです。今般の第6版は最終版として、バイオマスエネルギー事業に参入しようとする事業者に向け、事業構想から運転段階までの最も大切な要素をまとめた「基礎編」を用意しています。また、「実践編」ではバイオマスエネルギーの利用に欠かせない基礎知識をまとめるとともに、より実践的な検討を可能とする「事業性・地域経済性評価ツール」も公表しました。

NEDOはバイオマスエネルギー事業への参入を検討する事業者に本書やツールを活用してもらうことにより、バイオマスエネルギーの利用拡大に貢献します。

なお、本書およびツールは3月14日以降にNEDOの公式サイトからダウンロードできます。

バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(第6版)表紙画像
図1 バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(第6版)

1.概要

バイオマスエネルギー事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)開始を機に、売電収益を目的とした発電事業での新規参入が活発化しています。しかしバイオマスエネルギー事業を支える国内の基盤はぜい弱であり、将来にわたって事業を継続するには相応の知識と工夫が必要です。

こうした中、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業※1」において、バイオマス種(木質系、メタン発酵系)ごとに、地域の特性を生かした経済的自立システムの導入要件や安定した操業を実現するための技術指針をまとめ、2017年に「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針※2」の初版を公表しました。

その後も同実証事業の成果や有識者による意見などを基に改訂を重ね、今般、最終版として第6版を公表しました。今回公表した第6版では、バイオマスエネルギー事業に参入する事業者に向けて、事業構想から事業性評価段階までの最も大切な要素をまとめた「基礎編」を追加し、より実践的な検討を可能とする「事業性・地域経済性評価ツール」も併せて公表しました。

NEDOはバイオマスエネルギー事業への参入を検討する事業者に対して、事業計画の作成にあたり、本書やツールの活用を促すことにより、バイオマスエネルギーの利用拡大に貢献します。

2.「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(第6版)」の特徴

【1】構想から運転段階までの実施事項を網羅

「基礎編」・「実践編」では構想、事業性評価(FS)、設計施工、設備運転の各段階において、システム全体、バイオマス調達、エネルギー・副産物利用、エネルギー変換設備に対して実施すべき事項を一覧表にまとめました。さらに、「実践編」ではそれぞれの実施事項に対する留意点や詳細情報、各種データなどを解説しています。

  • フェーズ1構想段階、フェース2FS段階、フェーズ3設計施工段階、フェーズ4運転段階の各工程において実施すべき事項を一覧にまとめました。第1章ではバイオマス利用システム全体についてを、第2章ではバイオマス関連を解説しています。
    図2 バイオマスエネルギー事業の実施事項の全体像(実践編の一部を抜粋)

【2】バイオマスエネルギー事業の実現や安定稼働に向け、「リスクや落とし穴」とその解決策に着目

バイオマスエネルギー事業は、構想から運転段階までさまざまな項目を検討する必要があります。そこで「基礎編」・「実践編」ではその項目ごとに技術や地域要素を加味した上で、NEDOの地域自立システム化実証事業の成果と失敗事例を実施事項別に分析した留意事項(リスクや落とし穴)を「チェックリスト」としてまとめました。さらに、「実践編」では各留意事項の詳細とその解決策について解説しています。

  • チェックリストは実施事項欄、留意事項欄、チェック欄、解説欄から構成されております。
    図3 構想段階終了時点のチェックリスト(「実践編」の一部を抜粋)

【3】これからバイオマスエネルギー事業を検討する事業者向けの「基礎編」を追加

バイオマスエネルギー事業に参入しようとする事業者を対象とした「基礎編」を準備しました。「基礎編」では構想からFS段階までに焦点を当て、実施と意思決定事項をフローチャートで説明しています。

  • 組織・自治体における発意→事業主体の検討→事業コンセプトの構築のなかで、事業主体の検討する場合は、計画主体、事業主体が同じか否かでフローを分岐。事業コンセプトの構築では事業目的毎に分岐するフロー等となっております。
    図4 構想からFS段階の実施事項フロー(「基礎編」の一部を抜粋)

【4】「事業性・地域経済性評価ツール」を公表

「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針」を利用する事業者を対象に、構想段階で簡易に事業性および地域経済性を評価できる「事業性・地域経済性評価ツール」を公開しました。バイオマスエネルギー事業はサプライチェーンが非常に長いため、他の再生可能エネルギー事業を上回る地域経済への波及効果が見込まれています。一方、関係者も多く協力体制の構築が困難なことから、安定的な原料・燃料の調達やエネルギー供給が難しくなるという課題もあります。本ツールは、地域内の関係者へのバイオマスエネルギー事業による経済波及効果を定量的に可視化し、構想段階で実施体制の構築を容易にすることを目的としています。また、事業者の検討状況に合わせて「入門編」と「詳細編」を準備し、「入門編」では最小限のパラメータ(エネルギー出力や調達可能量)を入力するだけで、事業収支や地域内の経済波及効果を簡単に評価することができ、「詳細編」ではエネルギー生産量・運用費・設備費など、より細かい設定を行うことで各利用率における感度分析など、詳細な検討を行うことが可能です。

  • 地域経済性計算結果の例としては、入力としてエネルギー生産量、バイオマス調達、販売価格、設備費、運用費、借入金・補助金・税率。シミュレーションでは解析項目として事業分析、地域経済性分析。出力としては事業性分析結果、地域経済分析結果等。
    図5 地域経済性計算結果の一例(ガイドラインと併せてExcelマクロで提供)

3.公開URL

本書およびツールは、3月14日以降に以下のNEDOの公式サイトからダウンロードできます。

「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(第6版)」

バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針(ガイドライン)

【注釈】

※1 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業
要:バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業
間:2014年度~2021年度
2021年度予算:1.7億円
※2 バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針
考:NEDOニュースリリース 2017年9月28日 「バイオマスエネルギー地域自立システムの導入要件・技術指針」を公表

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

  • NEDO新エネルギー部 担当:矢野、宇田、堀田 TEL:044-520-5270

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

  • NEDO 広報部 担当:坂本、橋本、鈴木、根本
  • TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp
  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

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