本文へジャンプ

航空機エンジン向け国産材料の競争力強化を目指し、新たな研究開発に着手
―革新的な製造プロセスを開発し、基礎・応用開発からの一貫体制を完成―

2022年4月15日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは航空機エンジンに使われる国産材料の競争力強化に向け、新たにエンジン部品の革新的な製造プロセスを確立する研究開発事業に着手しました。

NEDOは2021年度から、航空機の燃費改善や環境適合性向上といった要請に応じた国産材料の開発とその競争力強化に向け、航空機エンジン向けの革新的な合金開発や材料データベースの構築に取り組んできました。今回新たに、こうした航空機エンジン部品の量産化に欠かせない、製造プロセスの効率化・高度化に取り組む研究開発に着手しました。これにより、基礎開発から応用開発、量産技術開発まで一貫した実施体制が整います。機体の軽量化とエンジンの高効率化による燃費の改善により、日本の航空機産業の国際競争力を強化するとともに、2040年までに年間92.8万トンのCO2排出量削減効果が期待できます。

1.概要

近年の世界的なCO2排出量削減の動向を受け、各航空会社はより低燃費の旅客機の導入を進めています。航空機産業にもより燃費性能の高い航空機や航空機エンジンの製造が求められており、技術の獲得競争が激化しています。特に航空機エンジン市場は高い安全性の要求とその品質保証体系、航空当局の認証管理などで参入障壁が高く、欧米企業を中心とした寡占状態にあるといわれています。こうした中、日本の航空機エンジン産業は国際共同開発への参画を通じて事業規模を拡大してきましたが、さらなる事業拡大には技術革新によって優位性を維持する必要があるほか、航空機エンジン開発に設計段階から携わることで欧米企業の戦略的なパートナーとなることが不可欠です。

こうした背景から、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2021年度から航空機の燃費改善や環境適合性向上の要請に応えられる国産材料の開発やその競争力強化に向け、航空機エンジン向けの革新的な合金開発や材料データベースの構築※1に取り組んでいます。今回新たに、こうした航空機エンジン部品の量産に欠かせない製造プロセスの効率化・高度化に取り組む研究開発事業1件に着手しました。本研究開発事業では、航空機エンジン部品の安全性・信頼性に必要な品質を担保すると同時に、量産における工程の効率化・高度化と両立した製造プロセスを確立します。

今回航空機エンジン部品の量産段階における革新的プロセス開発に着手することで、2021年度から進める航空機エンジン向け新合金の開発や国産合金の材料データベース構築と合わせ、基礎開発から応用開発、量産技術開発まで一貫した研究開発体制が実現します。これにより、将来の航空機エンジンへの適用および日本の航空機エンジン産業の国際競争力を強化します。本事業で開発予定の合金が次世代航空機に搭載され、さらに軽量化と航空機エンジンの高効率化によって燃費改善が実現すると、2040年までに年間92.8万トンのCO2排出量を削減する効果が期待できます。

2.事業の内容

【1】事業名

航空機エンジン向け材料開発・評価システム基盤整備事業

【2】事業期間

研究開発項目1:2022年度~2025年度(予定)

【3】研究開発テーマ名および実施予定先

今回、新たに研究開発に着手したテーマは以下の1件です。

研究開発項目 研究開発テーマ名 研究開発実施予定先
1 革新的エンジン部品製造プロセス開発 日立金属株式会社

【4】開発内容

研究開発項目1「革新的エンジン部品製造プロセス開発」

航空機エンジン部材の競争力強化には、高機能材料の開発や材料品質向上に加えて、量産時の歩留まり向上やコスト低減が必須です。そこで、各種材料にあわせた量産プロセスのタクトタイム(1部品あたりの生産ペース)の短縮や投資効率の向上など、製造プロセスの革新が重要となります。本研究開発事業では、特に鍛造※2プロセスに焦点を当て、製造プロセスの効率化・高度化を目指します。具体的には、従来の鍛造プレス機は金型材が高温下で酸化しやすいことから加工時に真空引きをする必要がありましたが、空気中でそのまま加工しても酸化しにくい金型材の適用により、鍛造プロセスを効率化します。また、多品種生産に対応できる金型加熱装置を開発することで、設備投資額を削減します。

【注釈】

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部 担当:飯山、小西 TEL:044-520-5220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:鈴木、坂本、橋本、根本

TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

関連ページ