本文へジャンプ

「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版」を公開
―実証実験結果などを反映し、各種設置形態への適用性をより向上―

2023年4月28日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NEDOは多様化する太陽光発電システムの設置環境、設置形態に対応するため、特殊な設置形態(傾斜地設置型・営農型・水上設置型)3種類に対応した「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版」を策定し、本日公開しました。同ガイドライン2021年版に実証実験結果などを反映したことで、さまざまな設置形態への適用性をより向上させました。

今後、本設計・施工ガイドラインが特殊な設置形態の太陽光発電システムの導入または改修を検討している事業者などの設計に広く用いられ、高い安全性が確保されることを目指します。

特殊な設置形態の写真(傾斜地設置型、営農型、水上設置型)
図1 特殊な設置形態の例

1.概要

太陽光発電は、2012年の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)開始後に急速に拡大した一方で、台風や積雪、豪雨など自然事象による被害が発生しており、太陽光発電設備の安全性に対する地域の懸念が高まっています。また、近年では太陽光発電の建設に適した場所の減少に伴い、傾斜地や農地、さらには水上へと太陽光発電の設置環境が拡大しています。これらの特殊な設置環境での太陽光発電は、一般的な地上設置型の太陽光発電より設計や施工上の難易度が高いため、電気事業法や地方自治体の条例などにおいても太陽光発電設備設置に対する安全対策が求められています。

このような背景の下、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、「太陽光発電主力電源化推進技術開発※1」プロジェクトにおいて「太陽光発電の長期安定電源化技術開発/安全性・信頼性確保技術開発」を推進し、これまでに得られた知見をまとめ、公開した「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版※2」に、上記の特殊な設置環境の構造設計、電気設計・施工の項目を加えた「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2021年版」を2021年11月に公開しました。

この度、各種設置形態への適用性をより向上させるため、NEDOは国立研究開発法人産業技術総合研究所、一般社団法人構造耐力評価機構、一般社団法人太陽光発電協会、八千代エンジニヤリング株式会社、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、キョーラク株式会社、国立大学法人北海道国立大学機構北見工業大学、再委託先の国立研究開発法人防災科学研究所、公立大学法人大阪 大阪公立大学、学校法人北海道科学大学による調査、実証実験の結果を踏まえ、ガイドラインを改訂し、傾斜地設置型・営農型※3・水上設置型3種類に対応した「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版」を本日公開しました。

今後セミナーなどを通じ、本設計ガイドラインの利用を促進することにより、特殊な設置形態の太陽光発電システムの導入または改修を検討している事業者などの設計に広く用いられ、高い安全性が確保されることを目指します。

本ガイドラインは以下よりダウンロードできます。

サイト内リンク太陽光発電「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版」

2.「特殊な設置形態の太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版」の構成

(1)傾斜地設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版

傾斜地における風速増加による風荷重や積雪荷重が、太陽光発電設備のモジュールや架台・基礎に与える影響について、実験やコンピューターによるシミュレーションの解析結果をもとに、設計方法をガイドラインに反映しました。また、寒冷地における凍上現象の影響を実証実験により確認し、対策方法をガイドラインに反映しました。

(2)営農型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版

営農型太陽光発電設備の傾斜角や遮光率、設置形態の違いによる風荷重が太陽光発電設備の架台や基礎に与える影響などについて、風洞実験などをもとに設計方法をガイドラインに反映しました。

(3)水上設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2023年版

波や風による荷重が水上設置型太陽光発電設備のフロートや固定・連結器具に与える影響について、実システムや屋内水槽実験などをもとに、設計方法をガイドラインに反映しました。また、コネクタの水没時の絶縁性能の変化などの測定結果をもとに、配線方法などをガイドラインに反映しました。

(4)技術資料

参考となる技術情報や、実証実験の結果を本設計ガイドラインの技術資料として整備しました。

3.今後の予定

NEDOでは今後も傾斜地設置型・営農型・水上設置型などの実証実験を進め、太陽光発電設備の安全性確保のための技術資料などを策定し、太陽光発電のさらなる導入を目指し、太陽光発電の主力電源化を推進します。

【注釈】

※1 太陽光発電主力電源化推進技術開発
※2 地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版
(参考)NEDOニュースリリース(2019年7月9日)「サイト内リンク地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版を公開
※3 営農型太陽光発電
別ウィンドウで開きます営農型太陽光発電について

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:山崎、岸谷、志賀
新エネルギー部太陽光発電グループ E-mail:pvgroup123[*]ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:黒川、橋本、根本、坂本、鈴木
TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

  • 新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

関連ページ