第11回JEITAベンチャー賞受賞(アイクリスタル株式会社、株式会社Quanmatic、SyntheticGestalt株式会社、Sotas株式会社)
2026年3月31日
NEDOの支援先であるスタートアップ4社が、第11回「JEITAベンチャー賞」を受賞しました。
本賞は、一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)が主催するもので、電子情報技術産業の発展に貢献し、今後の成長が期待される有望なベンチャー企業を表彰するものです。
以下に、受賞企業の概要をご紹介いたします。(社名五十音順)
■アイクリスタル株式会社(公式サイト)
アイクリスタル株式会社は、AIを活用したプロセスインフォマティクスで半導体製造プロセスを始めとした製造業の製造プロセス最適化を実施している企業です。NEDOの「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」(※)にも参画し、「AIと熟練オペレータの協働による結晶成長技術開発」を進めました。同テーマの中でアイクリスタル株式会社は、半導体の結晶成長プロセスを超高速・高精度に評価可能とするAIモデルを構築するとともに、人間のオペレータが理想と考える結晶成長時の温度分布・組成分布・流れ分布等(オペレータの意図)を、最適化に必要な目的関数に変換する手法を開発しました。
- ※事業概要:
- 人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業
[JEITAによる受賞理由]
アイクリスタル株式会社は、プロセスインフォマティクスを基盤とし、単一プロセスに限らず工程全体の最適化をプロセス横断型デジタル基盤「メタファクトリー」として進めている。各工程の個別最適化ではなく、プロセス知識の体系化・最適化・再利用・現場適用・知識循環を一つの基盤上で展開する仕組みを備えており、半導体製造におけるプロセス全体最適化の有効性を世界初の実ラインとして示すとともに、電子材料、金属加工、樹脂成形、化学プロセスなど多段階かつ高付加価値な製造分野全般に横展開可能な基盤技術として、高い成長性と産業横断の先導性を有している。よって、JEITAベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
■株式会社Quanmatic(公式サイト)
株式会社Quanmaticは、高度アルゴリズムとそれを現実の課題に結びつけるソフトウェア開発技術を用いて量子コンピュータの社会実装を進める企業です。2024年度からは量子コンピュータのユースケース開発を行うNEDOのプロジェクト「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」(※)の支援を受け、早稲田大学とともに「半導体製造業最適化のための量子・古典アプリケーションの研究開発」に取り組んでいます。本テーマでは、量子・古典ハイブリッド技術を活用したアプリケーションを開発し、半導体製造業の前工程における生産計画最適化を実現し、半導体製造業の生産性向上を通じて産業競争力の維持・向上とエネルギー需給の高度化への貢献を目指しています。また、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/人材育成(委託)」(※)では、量子アプリケーション開発を牽引する高度量子人材の育成に取り組んでいます。
[JEITAによる受賞理由]
量子計算とAIを融合した独自手法により、現場特有の複雑な制約を緻密に反映できる最適化計算ソリューションを提供している。既に、設備稼働ロスを約40%削減するなどの実績を有し、単なる理論に留まらない現場が真に使える形での社会実装を実現している。現時点では古典コンピュータ上で量子計算の利点を最大限に引き出しつつ、実務データと実装経験を蓄積する戦略は、量子コンピュータ時代の到来に向けた大きな優位性となるだろう。量子コンピュータの本格実用化に至るまで量子技術を駆使して社会実装を牽引し、複雑な課題の解決が強く期待される。よって、JEITAベンチャー賞に相応しいと判断した。
■SyntheticGestalt株式会社(公式サイト)
SyntheticGestalt株式会社は、創薬および合成生物設計分野における研究を自動化するAI(人工知能)を開発する企業です。「人工知能により発明を自動化する」を掲げ、AIを活用した創薬事業と、ライフサイエンス分野でのAI技術の応用を軸に事業を展開しています。2025年度からは生成AIの基盤モデル開発支援を目的としたNEDOのプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」(※)の支援を受け、開発をさらに拡充し、2025年には国内企業等との共同研究に加え、従来の創薬手法では膨大なコストと時間が必要であったタンパク質標的への創薬を可能にする、100億件超の化合物情報を学習した世界最大の分子特化型基盤AIモデル(SG4D10B)を公開しています。
- ※事業概要:
- GENIAC公式サイト
[JEITAによる受賞理由]
SyntheticGestalt株式会社は、創薬AI、酵素探索AIにかかるサービスを展開し、100億件超の化合物情報を学習した世界最大の分子特化型基盤AIモデルを開発、提供している。同社はすでに国内外の製薬会社などと創薬のための共同研究を実施しており、今後も、独自の基盤モデル開発並びにその高度化に資するデータセットの構築が進むことで、創薬研究にかかる膨大な時間と費用を削減し、ものづくり・脱炭素社会に貢献できる技術開発を進めていくと期待される。よって JEITAベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
■Sotas株式会社(公式サイト)
Sotas株式会社は、化学産業向けに工程管理・化学調査・データベースなどのSaaS(Software as a Service:インターネット経由で必要な時にソフトウェアを利用できるサービス)を提供し、サプライチェーン全体の効率化と業務デジタル化を支援する企業です。「ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業」(※)において化学産業の現場ニーズを活かしてCMP(製品含有化学物質・資源循環情報プラットフォーム)連携を中心とした化学物質情報トレーサビリティの社会実装を担う企業として重要な役割を果たしています。
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「Sotas化学調査」の画面例
[JEITAによる受賞理由]
Sotas株式会社は、化学業界固有の素材調査事業および文書管理を支援するための情報プラットフォームを提供する。グローバル環境において特定化合物の規制が強化される傾向にあるなか、Sotasのプラットフォームは30万件の化学物質に関する法令データベースを随時更新する。化学物質の取り扱いに関する書類「SDS」のPDFを読み込むことで、専門知識を持たない人でも素材の法令判定を自動化できる。化学メーカーにとって取引先から素材の法令判定を依頼されることが急増しており、この負荷が大幅に削減できる。化学メーカーのグローバル進出を後押しするツールといえる。よって、JEITAベンチャー賞に相応しい企業と判断した。
なお、本件に関する詳細は、JEITA公式サイトに掲載されているJEITAベンチャー賞のプレスリリース(319KB)をご参照ください。