Interview

技術のチカラで
地球の未来を変える
最前線に立つ。

技術で地球の未来を変えていくことを志し、NEDOで働く佐藤恵太。
革新型蓄電池の実用化の目標に向かって、
プロジェクトを成功に導く役割を果たす。

佐藤 恵太

SATO Keita

次世代電池・水素部 蓄電技術開発室
2015年入構
環境科学研究科 環境共生機能学研究室

2015 スマートコミュニティ部に配属。
2016 スマートコミュニティ部蓄電技術開発室(現:次世代電池・水素部)に配属。

学生時代は、排熱を電気に変換する熱電変換材料の材料開発の研究に取り組んだ。世の中に多く存在する再生可能エネルギーに大きな可能性を感じ、広くエネルギー技術に関わる仕事がしたいと考えてNEDOを志望した。

電気自動車の未来を拓く「蓄電池」開発

私が環境問題に強く関心を抱くようになったのは中学時代。書籍『不都合な真実』などが注目され、地球温暖化問題が議論を呼んでいた時期で、「地球上に自分たちが住む場所がなくなってしまう」と危機感を抱いたのが始まりでした。しかし、地球温暖化にはさまざまな学説や理論があることを知り、むしろわからないことの方が多いのだと気づきました。今の私たちに未来を完全に見通すことはできない。しかし、新しいエネルギー技術で未来を変えていくことはできる。そう考えて大学に進み、NEDOで働く道を選びました。
今、私は「革新型蓄電池」の技術開発プロジェクトに携わっています現在、スマートフォンやEV(電気自動車)の蓄電池として利用されているリチウムイオン電池は非常に優れた蓄電池ですが、コストやエネルギー密度に限界があります。そこで、リチウムイオン電池に代わる「革新型蓄電池」を開発するのが私たちのミッション。この革新型蓄電池が実用化されれば、EVの電池に関する課題が解決されて、本格的な電気自動車時代がやってきます。

プロジェクトを俯瞰して、
進む方向を舵取りする

私たちのプロジェクトは、新たな蓄電池の可能性を探っている段階にあります。現在、有力視されているシステムは4タイプ。それぞれリチウムイオン電池とは全く異なる反応メカニズムで動作する新しいタイプの蓄電池です。例えば「亜鉛空気電池」は、負極は亜鉛で、正極は空気中の酸素です。亜鉛は地球上に豊富に存在しており、正極の活物質が不要となるため、安価で軽量、しかも高エネルギー密度というメリットを兼ね備えています。
これまでは大学や研究機関を中心とした基礎的な研究を行っていましたが、研究が進む段階に合わせて、電池メーカーや自動車メーカーなどの事業者と連携し、実用化に向けた開発を進めています。私の役割は、ベストなタイミングで新たなプレーヤー(事業者)を加えながら、研究成果を実用化へと近づけていくこと。
そのために、最前線にいる研究者からリサーチして、海外の事例や論文などからも広く情報収集していくことも必要です。つねにプロジェクト全体を俯瞰し、その方向をいかに舵取りしていくかがこれからの私の使命です。

未来を真剣に考え、行動を起こす。
最前線に立つ仕事

私がNEDOに入ってよかったと思うのは、仕事を通じてつねに最先端の新しい技術に触れられることです。この変化の早い時代において、技術や社会はどう進化していくのか。NEDOは、未来のテーマに正面から向き合っている人たちが多いので、「これから電気自動車が普及したら産業はどう変わる?」「自動運転が当たり前になったら社会はどうなる?」などのテーマで話し出すと議論が止まらなくなります。私は蓄電池のプロジェクトに関わっていますが、NEDOでは約3年ごとにジョブローテーションがあるので、今後は新エネルギーやロボット技術に関わるプロジェクトにも携わる可能性もあります。その時は、蓄電池分野で得た学びや経験が、他の技術分野でも生かされるかもしれない。そうと思うと、今の仕事の可能性の大きさにワクワクしてきます。人が動くことで技術も広がっていく。それがNEDOの強みの一つだと思います。

ミライのトビラ

日本がリードする電気自動車時代

革新型蓄電池の開発は、2009~2015年に実施された「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」(通称、RISING)から第2フェーズへと突入し、現在のプロジェクトは「RISING 2」と呼ばれています。「RISING」は世界初の革新型蓄電池開発プロジェクトでしたが、その後多くの国が参入し、競争が激化しています。この「RISING 2」では電気自動車の時代を創り、日本が世界をリードする未来を目指します。