Project

日本発の新技術を活かし


太陽光発電の大量導入社会への


課題を克服する。

Project Member

NAGATA Shigeaki

新エネルギー部 太陽光発電グループ
2018年入構
理工学研究科 機械工学専攻

大学・大学院時代は機械工学系の学生として、振動発電に関する研究を行ってきた。趣味は海釣り。海を見ながらリラックスするのが楽しみ。ランチの定番は職場周辺の異国料理巡り。最近のお気に入りはペルー料理。

担当業務

本プロジェクトにおける全体総括。予算の管理や公募の実施など、プロジェクトの骨格に関わる業務。

建物壁面やモビリティでも
太陽光発電できる時代に

太陽光発電は、低炭素の国産エネルギー源として期待される再生可能エネルギーの中で、最も普及している技術だ。日本は、平地面積当たりの導入容量で世界一を誇る。

2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」には「再生可能エネルギーに関しては、S+3E(安全性、安定供給、経済性、環境適合性)を大前提に、2050年における主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組む」とあり、太陽光発電のさらなる導入が必要不可欠となっている。 そんな中、NEDOが2020年度から2024年度にかけて取り組む事業が「太陽光発電主力電源化推進技術開発」である。全体総括を担う永田は語る。

「現在導入されている太陽光発電の多くはシリコン系太陽電池です。設置には広い土地や建物の屋根が適しますが、近年は好条件の適地が不足しています。本プロジェクトでは、導入拡大のために、これまで設置できなかった重量制約の有る屋根、建物壁面、移動体などでも導入できるモジュールやシステムの研究開発を行っています」

プロジェクトには、設置領域の安全確保に資するガイドライン策定を含む安全性・信頼性確保に関わる技術開発、太陽光発電モジュールの低コストリサイクル技術研究開発、日射量予測等の先進的な共通基盤技術開発も含まれており、太陽光発電の大量導入社会を構築するための課題克服を期待されている。

日本発、折り曲げ可能な
太陽電池の研究開発も進む

プロジェクトが克服すべき課題として“コスト”は避けて通れない。永田は次のように語る。 「過去に日本が太陽光発電市場で世界をリードしていた時代がありました。しかし、コストの問題もあり、じわじわと海外勢に先を越されてしまい、現在、日本のシェアは伸び悩んでいます。現状を打破するためにも、太陽光発電における技術開発の目標は『これまで設置できなかった場所に設置できること』に加え『シリコン系太陽電池並のコストの実現』だと考えています」

海外との熾烈な競争の下、日本の勝機はどこにあるのか。
「日本は材料や化学製品などに強みがあります。それらを活かした技術開発で、海外勢と戦っていきます。海外の太陽電池の研究開発動向の調査等も含め、市場の将来像を想定しながら今後の戦略を立てています」 本プロジェクト内で2020年度に採択され実施されてきた事業では、日本発の新技術であり、折り曲げ可能な性質で注目を浴びているペロブスカイト太陽電池の開発も実施してきた。今後は2021年度に公募、採択を行ったグリーンイノベーション基金事業において同技術の実用化を見据えた研究開発がスタートするなど、太陽光発電に対する期待の声が大きな後押しになっていると永田は語る。

「本事業の取り組みは技術開発に関するニュースリリースやガイドラインというかたちで公開してきましたが、外部の方々から『持続すべき取り組みである』という評価を頂いています。現行技術の課題解消を期待する声も非常に大きく、強いモチベーションにつながっています」

災害時にも安定供給できる
セーフティーなエネルギーを

永田は本プロジェクトの全体統括として、予算の管理や公募の実施というプロジェクトの骨格に係る業務を担当している。

「国の機関としてフラットな目線で業界全体を見ることができ、利益第一ではなく、社会の将来像を見据えて何をすべきかにフォーカスできるのがNEDOの強みです。太陽光発電の分野に限ったことではありませんが、材料、モジュール、実環境での実証や実用化は多くの技術がパズルのように合わさることで実現されるものです。そこで発生した共通課題の解消のために、各種委員会の開催や、実用化へ向けた体制を想定した公募の設計など、NEDOだからできる工夫を意識し業務を行っています」

岩手県出身の永田は、太陽光発電に特別な思い入れがある。
「2011年の東日本大震災の際には、電気もずっと使えず、ガソリンを買うために、6、7時間寒い中、外で待つ体験をしました。セーフティーなエネルギーを導入し、化石燃料に頼らず、有事、災害の際にも電気を安定供給できる将来的なまちづくりに向けて、日本のエネルギー業界が進んでいくことを期待しています。太陽光発電は、石油もいらず、天気さえ良ければ発電ができます。最終ゴールである2050年のカーボンニュートラルを目指し、日本中で太陽光発電の導入がさらに進むよう尽力していきたいと考えています」 災害時や電気がなかなか通らない土地でも生活に必要なエネルギーの供給を実現させたいという思いから、エネルギーの研究開発プロジェクトを推進しているNEDOを志望した。永田のNEDOでの奮闘が、生まれ育った地元への貢献につながる。