Project

次世代のロボットが


人を豊かにする社会へ


日本発の「ロボット革命」の実現を目指す。

Project Member

HARA Daishu

ロボット・AI部
2003年入構
理工学研究科 応用化学専攻

ロボットが社会に実装される際に重視すべきは、産業や日常生活を含めて、どれだけ人の満足度を上げられるか。人とロボットとの親和性を大切にしていきたいと考えます。

担当業務

ロボット新戦略の実現に向けた関連業務のほか、海外で複数の実証プロジェクトを取りまとめている。

ISHIKURA Shun

ロボット・AI部
2011年入構
理工学研究科 応用化学専攻

対象とする要素技術はロボットの根幹を成すものです。これまでになかった技術が育って、将来化けるのではないかと思うと、今後が非常に楽しみです。

担当業務

「次世代ロボット中核技術開発」の立ち上げ当初から担当しており、委託先への研究開発マネジメントなどを実施している。

YAMAGUCHI Shimpei

ロボット・AI部
2012年入構
経営学部 経営学科

プロジェクトの委託先がテレビや雑誌の取材を受けているのを見ると、自分たちのプロジェクトが日本の技術の最先端に携わっていることを実感します。

担当業務

インフラの維持管理に必要な情報を取得するロボット等の開発にあたり、全体を見渡す総括業務を行う。

日本のロボット
新戦略を支える

日本は「ロボット大国」とも言われ、世界トップレベルの技術力を誇る。産業用ロボットの年間出荷額や国内稼働台数で、世界一の座を守り続けてきた。NEDOも1988年から、生活、介護・福祉、防災などの様々な分野での技術開発を進めている。すでに実用化されたものもあり、世界における日本の競争力とプレゼンスを向上させる役割を果たすなど、日本のロボット技術開発の中核を担っていると言える。 ロボット・AI部の原大周は「NEDOのロボット研究開発成果は、日本の産業競争力の強化に貢献するということで、最近はさらに注目を浴びています。ロボットとひとくくりに言っても、いろいろな分野や産業に波及していきますので、社会構造などへの対応も考えなければなりません。また、材料、機械、電気といった要素技術のインテグレーションで動くものですので、幅広いコーディネーションが必要です」と語る。

そんな日本のロボット技術開発も、転機を迎えようとしている。海外ではロボットが経済成長の鍵を握るとして注目を集め、欧米や中国は官民挙げて研究開発を強化し、新たな国際競争が始まっているのだ。また、国内では少子高齢化による将来の人手不足などが懸念され、社会課題の解決や産業創出などの場面でロボットの活躍が求められている。 政府は2015年、ロボットを日本が抱える課題の解決の切り札にすると同時に、世界市場を切り開いていく成長産業に育成していくための「ロボット新戦略」を策定した。ロボットを製造現場から日常生活まで様々な場面で活用し、社会における新たな付加価値を生み出す「ロボット革命」の実現を目指す。

日本の新しいロボット戦略においても、NEDOは重要な役割を担っている。「ロボット新戦略の実現に向けて、次世代に向けた技術開発や、ロボット活用技術開発など、様々な取り組みが始まっています。2020年のロボット国際競技大会の開催に向けても動き出しました」と、原は説明する。

真に社会で活躍できる
ロボットを

「ロボット新戦略」を受けたNEDOの具体的な取り組みの一つが、石倉峻の担当する「次世代ロボット中核技術開発」だ。「既存の研究開発だけではイノベーションは生まれにくいという考えのもと、さらに先の将来を見据えた研究開発を目指しています。従来の延長線上の技術ではなく、今までにない革新的なロボット技術を開発しようというコンセプトのプロジェクトです」と石倉は話す。

開発しているのは、次世代の人工知能のほか、センサ、アクチュエータなどの革新的な要素技術と、それらをインテグレーションする技術。「例えば、ヒトの能力を超える嗅覚センサを開発することで、災害現場で人を発見できるようになるなど、新しいロボット需要の創出にもつながります」と石倉は期待する。さらにマネジメントについて「日本が将来的にも世界最先端であり続けるためには、研究開発を強力なリーダーシップのもとで行うことが重要です。NEDOのプロジェクトマネージャーが中心となり、ロボットが人を豊かにする社会の実現を目指しています」と語る。

「新戦略」では、製造業やサービス以外にも、ロボットの活用を推進すべき分野を挙げている。その中の一つが、インフラの維持管理の分野だ。この分野のプロジェクトを担当する山口晋平は「高度成長期に整備された社会インフラは、建設されて約50年を迎えています。老朽化や莫大な点検コストといった様々な課題を抱える中で、ロボットの力を借りて効率的に点検しようという需要の拡大が予想されます」と話す。

開発しているのは、橋を点検するロボットや、水中でダムの劣化を調べるロボットなど。「ある研究者の『ロボットを持ってフィールドに出よう』という言葉が印象に残っています。現場に出て実際に動かさないと分からないことは予想以上に多い。真に社会で使えるロボットを開発するためには、実際の現場での試行錯誤が欠かせません。そのため、このプロジェクトでは、国土交通省との連携も行っています」と語る。

この他、「新戦略」では、人が立ち入りできない災害現場で調査などを行う災害対応ロボットの開発も重要とされており、このプロジェクトの一環として開発が行われている。

ロボット開発においてNEDOが将来目指す姿とは何か。 「開発のための技術ではなく、ロボットを社会実装するため真に必要な技術の開発を行うのが私たちの役割です。NEDOがロボットに関する情報のハブとなり、ゆくゆくは『ロボットと言えばNEDO、NEDOと言えばロボット』と言われるようにしたいですね」と原は語る。